鹿 2012年12月07日 | 生活 梅の谷間 鹿が三匹 路肩に立っていた バスがゆくと 途端 山に入った 黒い鹿 列車に乗って もっとゆくと 夜の駅から 盲人のOLが乗ってきた 息を整えたあと 席に向かって歩いていった 夜の列車には 太陽がない 空がない 窓に反射する ニンゲンの顔
空砲 2012年12月06日 | 生活 山と山の間を 電車は進み 二時間バスに揺られて 湾に着いた 歩くはずの山の道は 景を失い すくに到着した 海に近い屋上 トンビは黒くなく 黒いのはカラス 群は 山のみかんを食い 湾を渡った 銃声が山に鳴り 猿と鳥から みかんを守るための 空砲 奥へ奥へと 歩いていた すれちがう人はなく みかん畑で 作業をする人だけ 山から水を引き みかんの豊作を願い 建てられた祠 ご神体は大きな岩 山の 中に 階段があり それをのぼった 空砲が鳴り 青空
みなもと 2012年12月05日 | 生活 深い眠りから 醒めた朝は とても寒い 12月 体の芯に 薪を焚き 器は知らぬ 場所にゆき もどってきていた 「人間の脳は火を使った時期に一番成熟していたらしい」 と友が言う 願う肉 キノコ ネギ 葉 南国 夜道を ピノキオがヘッドホーンをかけて 走っていった ピノキオの腕は 曲げられ 合掌から 歓喜の跳躍姿になった 鯨の腹の中で 鯨の油で灯りをもらい 机の上で 何事かを 書いて読んでいた ピノキオ エレベーターを降りると 精霊たちが 内庭の中から こちら を 振り返った 東へ向かい 南進し 西に折れて 斜めに 駐車場を歩んでいった カップに 注がれるコーヒー 窓の外を見ている 交差点は大きく 視界は広い 靴は床に落ちた 木に話しかけている人を 見たという 聡恚@を 浮ェる 観葉植物 夜には 何が起きるかというと 暗い空に 星が出るのだ 風が鳴る みなもと
雫(しずく) 2012年12月04日 | 生活 そこの赤い服のおにいちゃん と 大阪の石屋は 彼に言った その赤い服を 地下鉄に乗って 買いにゆきました 白い枕の夢は見ず 目前にある白い枕 赤い服と 白い枕を持って 北に歩いて いた 雨粒が落ちて きていた 通りには 電飾の遊技場 格安の薬屋 お好み焼き 美容院に 中華店 先には 鉄橋がなくなり 川の下を 電車が走っていた あの駅 覚えている 電車は地上から 地下になった 地上ではない そんなものではない 窓から空が見える場所 を 削った 手ぬぐいをもらい 来た道を もどる 引き返す ここで ここの うどんを 食べる それが今日の旬 温かくなった腹で 歩き 来た道を もどる 岩に寝ていた 眠ってしまった 猿も 馬も 湯につかる 湯治でもある 湯の面に 湯気が立ち 風が瞬時 湯気を飛ばす 湯の面に 風が来 面は風の仕業を 見えるように 知らせ 空は 青 グレイ 青 白 寒中 蜜柑の色と 濃い緑の 葉 haha! 岩に寝て 眠ってしまった 東南アジアの女たちが テレビの下で 眠っていた 寒い日本 あなたたちの国は 良いですね 温かくて 必用は 器 丁寧に 大切に扱う きれいな器と きれいな気持ち そこに 人は寄ってゆく ひとつでも 両方ならなおのこと 人は きれいな器と きれいな気持ちに 寄ってゆく 赤い服は夜から着ていた 赤い服は 待っていた 赤い服を 待っていた わたしたちは 願っていた 雫(しずく) を
言葉の樽 2012年12月03日 | 生活 カフェ 音楽の鳴る 一番近い場所 に 座り 音楽よりも 日差しに寄り 席を立ち 日差しの当たる席 に 座る 木漏れ日 コーヒー 静かな午前10時 息を出し 息を吸い 石山 の 丘をのぼり 石山の 貝塚 芭蕉 源氏物語 スーパーマーケット 駐車場 寺 神社 朱の色 紅葉に 言葉の樽に 手を入れて つかみ 指と指の間から 落ちる言葉 手のひらに 残る言葉 それを 紡ぐ 叩く 伸ばす 干す 反対にして また伸ばす 叩く 縮め 伸ばし 皿に盛る こぼれる言葉 また言葉の樽に手を入れて つかむ 放る つまむ 並べて縮める バナナとコーヒー 板チョコをガリガリと食べ 樽に手を入れる 言葉を紡ぐ 丘に立ち 時間と場所に 印をつける 肩胛骨の下 ツボは眼精疲労 こたつで眠る 冬の午後 丘に立ち 並べた言葉を 空に放ち 飛べ 飛べ 朱の寺に 混じる 紅葉の朱 奥の細道 芭蕉は 吉増剛造の会場を あれは名古屋千種の正文館 「ここに芭蕉の本音がありますねえー」 と 吉増は言った あの高価なDVD 欲しい欲しい欲しい 吉増のDVD 芭蕉の足取りを辿って エルビスのラブミーテンダーを流しながら 歩いていた! 吉増の映像BOX 「良いでしょう、映像にとってごらんなさい」 と吉増に言われた 芭蕉の句の細微に 「ここに芭蕉の本音がありますねえ」 石山 の 丘 に のぼり 言葉の樽に 手を入れる
星 2012年12月01日 | 生活 寒いというので 貼るカイロ あん 春回路 あん 春帰ろ らら 橋の上で 渡良瀬川 鳴る 胸で 鳴る渡良瀬川 らら らら 風中 「どっちが南だ」 と マスク男が云う あん わたしたち わたし 指で 南をさし 南は 海だ 楽しき半年でした らら らら あん --- やわらかき クリーム色の 緑 薄き 丁寧な 方法 まろやか 銀色の風 全体の 中で いる 自由 肉体 夏は水分 冬は乾燥 「位置を変えて」 <カーテンは> 初めて見ているような感じ そして 何も 言わず 黙示録「小舟」 BOY∴テ闇の中のマイクスタンド そこに見ていた --- ジェームス・テイラーが 鳴る場所にゆき 何年ぶりかの人と会い 話すことは多く らら あん 最終電車に乗って 家路って 星