中央線や複数の車線がない一般道路の法定速度について、警察庁は5月30日、現行の時速60キロから30キロに引き下げる道交法施行令の改正案を取りまとめた。
通学路や住宅街などの幅員が狭い「生活道路」を対象として想定し、事故抑止を図る。
2026年9月からの実施を目指す。
法定速度のため標識を設置せずに速度を規制することになり、運転手への周知が課題となる。
警察庁は生活道路対策として、2011年から指定エリアの最高速度を30キロに規制する「ゾーン30」などの取り組みを実施。
だが他の道路と比べて歩行者や自転車乗用者が事故に巻き込まれる割合が高く、担当者は「これまで個別に行ってきた生活道路への規制が追いついていない状況がある」と話している。
警察庁は5月31日~6月29日、パブリックコメント(意見公募)を受け付ける。
車の最高速度は、道交法施行令で定める法定速度と、標識などで規制する指定速度がある。
一般道の法定速度は、道父法が施行された1960年以来、車種ごとに一つ設定され、1992年に全車種で60キロに統一された。
30キロと60キロの二つの法定速度を併存させる取り組みは初めてとなる。
松村国家公安奢貝長は5月30日の定例記者会見で「生活道路で歩行者などが被害者となる事故を防止するためには、自動車の速度抑制が重要だ」と述べた。
生活道路に明確な定義はないが、警察庁は、中央線を設置する目安とされる幅員5・5メートルに満たない道路を新たな規制の主な対象に想定。
2023年の道路統計年報では、全国の一般道の長さは122万1220キロで、うち約7割に当たる87万1569キロが該当する。
既に標識や路面標示がある道路は引き続きその規制速度が適用される。
全ての交通事故のうち、5・5メートル未満の道路での事故が占める割合は、ゾーン30などの対策にかかわらず、2013~2023年の11年間で24%前後と横はいで推移。
2023年に起きた死傷事故で歩行者と自転車乗用者が占めた割合は、5・5メートル以上の道路と比べると、約1・8倍の45・3%に上った。
ここ数年同様の傾向という。
生活道路対策を巡っては、警察庁が2011年、各都道府県警にゾーン30の整備を指示し、2024年3月末時点で全国に4358力所設置された。
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