天気予報へのビッグデータや人工知能(AI)の活用が進んでいる。
予報の精度を向上させるため、全国の会員から集めた膨大な報告をAIで分析。
天候に左右されやすい商品の売れ筋や、ダムに流入する水量も予測する。
ゲリラ豪雨や大型台風の被害が相次ぐ中、「ウェザーテック」と呼ばれる技術が、さまざまな業界で利用されている。
「曇ってきました。風も出てきました」。
8月12日正午すぎ、埼玉県所沢市周辺から、真っ黒い雲の写真とともに現地の天気を知らせる投稿が相次いだ。
約30分後、ゲリラ豪雨の注意報が出され、午後1時すぎに豪雨となった。
気象情報会社「ウェザーニューズ」には、全国の会員からスマートフォンで毎日約18万通の報告が集まってくる。
一人一人がセンサーとなって実際の天気をリアルタイムで把握。
雲の写真をAIで分析し、予測が難しいゲリラ豪雨の予報に使っている。
過去3年間の天気予報や降水分布図をAIに解析させ、高精度の雨雲レーダーも開発した。
これまでは5キロ四方で3時間先までの予測だったが、250キロ四方で15時間先まで可能になった。
担当者は「会員のデータとAIの組み合わせで90%以上の正答確率で予報ができる」と説明する。
一方、日本気象協会は天気予報から売れ筋商品をAIで予測するサービスを提供する。
「今日の『超売れどき』は力ツオのたたきです。 揚げ物は不調です」。
9月下旬、愛知県稲沢市のスーパー「ヨシヅヤ」。
タブレット端末を手にした店長が朝礼で、従業員に販売方針を伝えた。
台風の進路が予想よりそれて、気温が31度まで上昇する予報になった。
システムは天気予報に加え、販売データや会員制交流サイト(SNS)の投稿内容も分析。
600以上の商品の販売傾向を12週間先まで予測する。
浜田店長は「データがあると説得力が増す。 食品ロスも減った」と話す。
また大雨が予想される時にはダムが満杯になる時間も提示する。
ダムには決まった貯水量があり、事前放流する必要があるためだ。
気象データなどから5キロ四方で1時間ごとの雨量を最長15日先まで高精度で予測し、満杯になる前に放流する水量も示す。
千葉県の亀山・片倉ダムや高滝ダムが導入した。
気象協会の担当者は「想定外の気象災害が頻発している。
正確な予報データを使えば、災害リスクを避けられ、無駄な在庫も減らせる」と話した。
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