県立広島病院は2017年度、自然流産した場合に、要因の一つとされる染色体変異の有無をより詳しく調べられるよう、流産した組織を遺伝子レベルで解析する検査を導入する。
染色体を顕微鏡で調べる従来の方法では把握できなかった変異を診断でき、原因特定につながる可能性が高まる。
広島県内の医療機関では初めて。
県によると、新たな検査は流産した組織を採取し、染色体を構成するDNAを専用のデジタル機器で解析。
標準的なDNAとの配列の違いを調べ、変異の有無を確認する。
変異があった場合は、両親に由来するかどうかも分かる。
国立成育医療研究センター(東京)や大阪府立母子保健総合医療センターなどで既に導入されている。
従来の染色体検査は採取した組織の状態により実施できないこともあった。
同病院で2015年度に希望があった40件のうち、検査できたのは25件(62.5%)。
できても原因が不明のケースもあった。
新たな検査は組織の状態にかかわらずほぼ実施でき、これまでなら原因が判明しなかったケースでも特定できる可能性があるという。
検査結果を相手に伝え、解決策を探るカウンセリングに必要な「臨床遺伝専門医」の資格を同病院の生殖医療科の医師1人が取得したため、導入を決めた。
検査は東京の会社に委託する。
県県立病院課は「流産の原因が分からず苦しむ人の救済につながる」と説明する。
検査費用は従来の検査より高くなるため、県は生殖医療検査の技術料の上限額を、現在の6万8660円から、10万5500円に引き上げる方針。