雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

この キ 、なんの キ 、気に・・ (コレクタPHと謎の光条)

2015年09月23日 | 機材
おとといの夜(21日)はGPV予報通り23時を過ぎたころから雲が無くなり、
その後 朝まで撮影することができました。
その成果については後日ブログ掲載いたします。

今回は7月にビクセンR200SS用高性能で高価なコレクターPHを購入して以降、
悩まされ続けている謎の光条について報告いたします。

( 画像クリックで等倍の切りだし画像を表示 )
上の画像はおとといの夜に撮影した処理前の1枚画像(20分露光)の一部分を切り取ったものです。

横構図(下が北)で撮影したものですが、明るい星に”キ ”の字の光条が発生しています。
(タテ構図では光条の方向が90度回転する。)
やっかいなのは、明るい星の光条だけでなく 星像すべてにズレが発生して、
まるでガイドエラーによる流れのようになっている事。
(ガイドエラーによる流れは1枚当たり1画素程度しかありません。)

これまでブログに掲載した完成画像は縮小してあるためあまり目立ちませんが、
せっかくの高性能なコレクターの能力を台無しにしかねないものです。

新しいコマコレクターPHを使い始めてから起きた現象だったため、
最初は”ハズレ”のコレクターが届いたのではないかと思いました。
しかしタテ構図にすると光条の向きも変わることから、コレクターは
「推定無罪」ということに。


コレクターをネジ込むことでカメラと一体化。
コレクターに原因があれば、一体となっているカメラを回転させても問題の光条の方向は変わらないはず。

そこで最初にやったことはR200SS鏡筒の光軸調整。
これは6月に主鏡を洗った際にも行っているのですが、
今回は これまでやらなかった斜鏡の傾き調整も行いました。
当然そのためには封印してあったシールをはがす事が必要。
・・・
右はシールをはがして斜鏡の調整が済んだところ
一度はがすとやっかいと思って避けてきたのですが、はがすのが大変なほど
粘着力のある厚いシールで、作業終了後再びくっつける事ができました。

光軸の確認にはレーザーコリメーターを使ったのですが、
芯ずれが少なそうな2インチ/36mmアダプターに挿入して行いました。

主な手順としては
1.レーザー光が主鏡のセンターに来るよう、斜鏡のネジで調整。
シールがなかなかはがれないため、カッターナイフで無理やり、傷だらけに。

2.主鏡で反射して戻ってきたレーザー光がコリメーターの中心に来るよう主鏡のネジで調整。
主鏡を洗った際に貼りつけたセンターマーク(穴あきパッチ)がレーザー光を反射してくれないことに初めて気づく。

3.接眼部から見て、接眼筒・斜鏡・主鏡の中心が大きくずれていない事を確認。
コンパクトデジカメLUMIXの鏡胴が、ちょうど2インチで接眼筒にジャストフィット。
購入時からなのですが、斜鏡の位置がオフセットと逆の方向にずれているような気が・・

初めて 斜鏡の傾きも含めた光軸調整を行ったのですが、
これで謎の光条が無くなるという確信はありませんでした。
それというのも、
前回記事に掲載しましたが画像内の星像がすべて同じ方向にズレて写るというのは、
例えばカメラが光軸に対して傾いて取り付けられ、その結果 内蔵している光害カットフィルタなどで
星像が屈折してズレて写るなんて理屈もありそうです。

更にネット検索で気になったのが9月13日の星空日誌|天体写真の世界のブログ の中で、
ビクセンの高級屈折鏡筒VSD100で直焦ワイドアダプターがスケアリング(平面性)のズレを起こしている
可能性を指摘されていました。
Tリング装着部にガタがある上、ネジを切ってあるリングが薄く 強く締めるとネジ山が壊れそう。
カメラを付けるとボデーが干渉して固定ネジが2本しか使えないなど問題が山積み。

R200SS購入時は純正のコマコレクター3 だったので 直焦ワイドアダプターを使っていたのですが、
カメラ取り付け部が弱く、カメラ落下の危険もあったためネジ頭の大きいものを購入しています。

そう言われてみれば、コマコレクターPHを購入する前はバーダー社の物を長く使用していたのですが、
こちらは直焦ワイドアダプターを使用しません。(だから謎の光条が発生しなかった?)

以上から、この時点で考えられる「謎の光条」の容疑者
光軸調整不良によるもの
直焦ワイドアダプターのガタなどによるカメラ取り付け部のスケアリングの問題
主鏡固定のネジによる圧迫・ひずみ (注)
(注.主鏡を洗った後、取り付けの際にネジを締め付け過ぎたのでは・・というもの)

そして、推定無罪ではありますが・・ コレクターPHに起因するもの

なんとか 容疑者を絞り込みたいと考えていたのですが、その機会が訪れました。
20日夕方、雲が出るまでの短い時間でしたが検証することができました。
光軸調整を行ったあとの光条の検証です。

■ コマコレクタと光害カットフィルタを装着 ■
横構図だったのですが、なぜか横方向にズレが発生。
(これまでも同じ横構図でも光条が横ズレになる事があり)
いずれにしろ光軸調整の効果は無かったようです。

■ 光害カットフィルタだけを装着 ■
コレクターPHを取り外して撮影したものです。
コレクターを外しても謎の光条が発生しているということは、コレクターPHの「無罪確定」か。

■ 光害カットフィルタも取り外し ■
なんということでしょう。
謎の光条が消えたように見えませんか。
という事は、光害カットFILに星像のズレを起こさせているものがいるという事。

検証を行う前、月が見えていたのでコマコレクターPHと光害カットフィルタを装着したまま、
更にCanonのx2エクステンダを付けて撮影してみました。
拡大してみると上下方向にクレーターが色ずれを起こしているのがわかります。

実は以前 ビクセンから、直焦ワイドアダプターを強化・改善した「直焦ワイドアダプターDX」なるものが
発売される予定になっていました。
ビクセンでも高性能屈折VSD100などの販売を契機に、その性能を発揮させるには
アダプター類の精度の向上も必要な事を自覚していたのかも知れません。
私も首を長くして待っているのですが、未だ発売されていません。
コマコレクターPHの性能を発揮できない原因が「直焦ワイドアダプター」と確定した訳ではありませんが、
先日ビクセンにこの事象の報告と、改善されたアダプターの早期供給の要望を送りました。


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強化された「直焦ワイドアダプターDX」が発売されたら
すべて問題解決、という単純な問題ではなさそうなので、
無駄な抵抗かもしれませんが改善策を検討してみます。
光害カットフィルタを使用しないで撮影というのは、
団地内につき難しいでしょう。(高価なFILだし・・)

皆さんからのアドバイスもお待ちしてます。

問題は解決していませんが、21日夜は後半晴れてくれたので撮影できました。

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19 コメント

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参考のカメラアダプター (いっさ)
2015-09-23 16:17:33
雲上さんこんにちは

光条の原因が絞れてきたようですね。
カメラアダプターにつきましては、純正ワイドアダプターを使用していましたが、闇夜の取り付けは「落下」や「片浮き」の心配があり、VC200L内径60mm接眼部より次のボーグ製品を組み合わせ快適に使用しています。

1 M60-M57 AD #7510 ※レデューサー接続
2M57-M57D2 #7458
3M57回転装置DX #7352
4M57-M42 P1AD #7523
5各種カメラマウント

コマクレーターPHのフランジバックはわかりませんがレデューサーでは問題ありません。
ご参考にしてください。
返信する
早速 ありがとうございます。 (雲上(くもがみ))
2015-09-23 17:24:03
いっさ さん いつもありがとうございます。
VC200Lで使えるという事は、ネジ径・ピッチでは問題なさそうですね。
あとはTリングから接眼筒端までの長さを調べてみて、大きく変わらなければ入手したいと思います。

昨日も雲を透して星が見えていたので検証を行ってみたのですが、
コマコレクターPHはピントが非常にシビアな事がわかりました。
対策の試行で0.1mm余りのアルミテープを挟んだだけでピントが大きくかなりずれました。
返信する
Unknown (南風)
2015-09-23 21:22:25
雲上さんこんばんわ。光害カットフィルタはガラスの厚みがかなりあるのでしょうか?通常の光学機器でも光路に斜めに平行平板を入れただけでディストーションが発生しますし反射の具合によっては像が2重になったりします。繰り返し反射による偽像です。
明るい星は反射の影響が大きそうです。フィルターのスケアリングとなると大事ですからアダプタワンオフのほうが対策早いかも。フィルターに複屈折特性があるとさらに面倒ですが、どうなんでしょう?
返信する
アダプタワンオフの意味は? (雲上(くもがみ))
2015-09-23 22:10:48
南風さん こんばんは。
光害カットフィルタはアイダス製のLPS-P2でガラス(?)に蒸着してあるタイプものだと思うのですが、
厚みについては薄いようですが正確にはわかりません。
最初に使用したとき星像が劣化するのではと、気にしたのですが、
ガイド流れなどなどからいつのまにか気にせずに使っていました。
ただ長い間使用していた前のコレクター(ワイドアダプターは使わない)では
このような現象は記憶にありません。
アドバイスいただいた「アダプタワンオフ」の意味は、
別のアダプタを探した方が良いということでしょうか?
調べたらバックフォーカスの問題がやっかいそうです。
返信する
参考アダプター その2 (いっさ)
2015-09-24 10:13:49
雲上さん こんにちは

コマクレーターPHの後部取り付けがM56 P0.75オスとすると次のBORG製品で接続できます。
1 M56-57/60AD #7911 ※PHをねじ込みR200SSの内径60mmと接続
2M57回転装置DX #7352
3M57-M42P1AD #7523
4カメラTリング
全光路長が29mmとなりますがPHのフランジバックが56.5mmとなっていますので旨くいくかどうかですが?
私も以前使用していた純正アダプターの片浮きで光条が2本を経験しました。


返信する
グッドタイミング! (雲上(くもがみ))
2015-09-24 11:19:42
いっささん アドバイスをいただいてから色々調べたのですが、
PHのバックフォーカスが56.5mm、EOアカメラのフランジバックが44mmとすると、
アドバイスいただいた構成では光路長が大きくオーバーしてしまうことに気づきました。
またコレクタPHのネジ径も実測でM55とM57の中間で首をひねっていたところです。(笑)

これだと前の構成より光路長が短くなりますね。
それでもEOSのフランジバックを加えると73mmでオーバーです。
恥ずかしい質問ですがバックフォーカスがオーバーすると、
 1.ピントが合わせられない。
 2.ピントは合うが本来の性能が得られない。
わかっていたら教えてください。
最悪、回転装置DXを省くことも考えて検討してみます。
返信する
参考アダプターその2(続き) (いっさ)
2015-09-24 13:42:23
雲上さんこんにちは

少し複雑な説明になりますがお許しください。
ビクセン表記のコレクターPHデータから次の検討ができます。
(1) 800mm-760mm(0.95倍)に焦点が短くなることからレデューサー効果の凸レンズが組み込まれていると考え、レデューサー効果計算式から凸レンズの焦点距離を求めると1100mmになります。
(2) Borg製品(#7911+#7352+#7523)3点の光路長は29mmです。さらにEOSマウントアダプター(42mmメス)光路長10mmとEOS本体のフランジバックが44mmですから全体のフランジバック長=29+10+44=83mm
83mm-56.5mm=26.5mmがオーバーします。
※PH後部面からCCD面までの距離が56.5mmですから73mmオーバーとはならないはずですが?
(3)
・R200SS 焦点距離800mm
・PH組み込みレデューサー凸レンズ焦点距離1100mm(想定)
・フランジバック長83mmとして計算しますと
・R200SS 焦点距離744mm
・縮小倍率0.93倍
・F3.72となり、760-744=16mm焦点がさらに短くなります。
この計算から16mm焦点の差異は撮影画像に影響はほぼないと考えます。

PHの後部が56mmオスネジですとボーグ製品が問題なく使えますね。
返信する
最終確認 (いつさ)
2015-09-24 14:00:14
現行より16mm焦点距離が短くなるとR200SS本体の接眼部の押し込み量に余裕があるかご確認ください。
返信する
すごい! 脱帽です。 (雲上(くもがみ))
2015-09-24 14:16:36
いっささん 凸レンズの焦点距離の計算などとてもついていけません。
(2)については73mmオーバーではなく、合計バックフォーカスの値のつもりだったのですが、
Tリングの光路長10mmを加えるのを忘れていました。
(3)というわけでフランジバック長83mmは納得です。
他の計算結果はとてもついていけないのですが、
要はフランジバック長を変えて合焦させると、
 ・焦点距離が744mmに変わってしまう
 ・焦点距離の変化16mm短縮というのはコレクタの設計上 許容範囲に収まりそう
ということでしょうか?
ということは合焦させることができそうということですか?
改めて紹介していただいた
1 M56-57/60AD #7911 ※PHをねじ込みR200SSの内径60mmと接続
ですが、
コレクター(M56)はネジ込めたとして反対側で使えるメスネジがM57では無く、
M56のような気がするので、もう少し調べてみます。

いろいろ検討していただいて ありがとうございます。
返信する
残念!(確認結果) (雲上(くもがみ))
2015-09-24 14:25:04
いっささん、今ほど先日撮影した状態のままと思われるR200SSを見てきたのですが・・
接眼部は10mmほどしか繰り出していませんでした。
今より更に16mm押し込むとなるとピントを合わせる事ができない!
ということですか。
返信する

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