栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

政治は家族のものではない。

2007-04-23 23:57:44 | 視点
 前長崎市長・伊藤一長氏の娘婿、横尾誠氏が伊藤氏の「意志を継いで」立候補したが、結果は落選。
 落選挨拶の際、横尾氏の妻であり、伊藤氏の長女が「率直に言わせてもらえば、長崎市民の方々、父伊藤一長は、その程度の存在だったんですか! 残念です。父が浮かばれない。愛する長崎にこんな仕打ちをされて…」と言ったようだが、この言葉を聞いて横尾氏が当選しなくてよかったと感じた長崎市民は多いのではないだろうか。

 伊藤一長氏と横尾氏は別人格であるし、伊藤氏の政治姿勢を評価した人は多いかもしれないが、それがイコール横尾氏とはならないのは当然のことである。
 長崎市政は長崎市民のものであり、伊藤家のものではない。
それをこの人は勘違いしている。
 長崎市民は伊藤前市長を愛していただろうが、だからといって長崎に住んでもいない人物、政治姿勢さえ分からない人物に投票しろというのはおかしな話だ。
 逆にいえば、こういう人が当選していたら市政は公私混同される恐れがあるだろう。


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世襲政治を防いだ長崎市民の判断

2007-04-23 01:58:11 | 視点
 今回の統一地方選の焦点の一つに長崎市長選があった。
選挙戦のさなかに前長崎市長の伊藤一長氏が銃弾に倒れるという言語道断の出来事があったからだ。
近年、日本社会の右傾化、暴力化が進んでいたが、ここまで来たかとまさに驚天動地。
伊藤氏の無念はいかほどばかりだったかと思うが、その日のうちに身内が立候補を決めたのには驚いた。

 個人の意志を継ぎたいという気持ちは分かる。
しかし、政治家は世襲ではないし、安易な世襲を許してはならない。

 伊藤前市長の娘婿、横尾氏が立候補した背景に同じ西日本新聞の先輩記者、吉田氏の福岡市長当選があったとは思いたくないが、周囲がそのことを例に挙げて立候補を勧めたとは十分考えられる。
 仮にそうであったとしてもまともな政治記者なら、家族だからとか弔い合戦というような気持ちで立候補すべきでないのは分かるはずだ。

 これで当選するようだと長崎市民の感覚を疑いたくなるが、市民は正常な判断に動いたようだ。
これをきっかけに政治家の世襲にノーという国民が増えることを期待したい。