栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

同じ謝罪でも、こんなウィットに富んだ謝罪を見習いたい。

2014-07-06 18:11:04 | 視点
 号泣議員の見苦しい言い訳がメディア、ネットで取り上げられ話題になっているが、

同じ言い訳、謝罪をするにしても、そのやり方一つで火に油を注ぐ結果にもなるし、

逆に相手をファンにすることもできる。

 例えばこの値上げ通知(写真)。

店の前に張り出されてあったので思わず読んでクスリと笑ってしまった。

普段ならメニューを張り出している場所だと思うが、そこには次のように記されていた。

大変情けない話ですが、4月1日より値上げさせて頂きます。

 普通なら「諸事情のため」とか「昨今の環境変化のため」などと書くところだろう。

それを、「大変情けない話」と、自らの努力不足をまず詫びている。

その姿勢は顧客に好意的に受け取られるはずだ。

というのは、次に続く「4月1日より」という言葉で明らかなように、消費税値上げを意味している。

それは店のメニュー価格が消費税分アップするといういうことだけではなく、仕入れ価格も消費税分

アップするので、本来なら値上げはしたくないが、小さな店では消費税アップ分を吸収することは

出来ないので、申し訳ありませんが値上げさせて下さい、という気持ちが行間に滲んでいる。

そして、その気持ちは顧客にも必ず伝わるはずである。

 さらに続けて

これからは腹九分でお楽しみ下さい。

と書かれてある。

この一文が特にいい。

これを読むと誰もが思わずクスリとするはずだ。

本当はいままで通りに腹一杯食べて欲しいところだが、それぞれに腹(懐)具合もあるでしょうから

腹一杯とはいかないかもしれないが、せめて腹九分で楽しんで下さい、と言う。

こんなウィットに富んだ言い訳をする店は応援したくなる。

 この頃、頭を下げている人はこれぐらいのウィットを少しは見習って欲しいものだ。