ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

土用丑の日に休む鰻屋

2010-07-23 23:09:29 | 労務情報

 土用丑の日に鰻(うなぎ)を食するのは、「平賀源内が『本日丑の日』と店先に貼り出すことを勧めて鰻屋が大繁盛した話から」というのが、一応の定説だ。
 たしかに、夏の暑い盛りに栄養価の高い食物を摂るのは理に適ってはいる。しかし、なぜ「丑」の日なのかは不明瞭だ。どちらも「う」の字を用いているからという説もあるが、それを言うなら「卯(うさぎ)」の日でも良いはずだ。
 まあ、発端はどうであれ、土用丑の日にウナギを食べる習慣は、一般的に根付いている。

 しかし、この、一番の書き入れ時であるはずの土用丑の日に休む鰻屋もある。
 都内では、東麻布の「野田岩」、神田明神下の「神田川」、池袋の「かぶと」、阿佐ヶ谷の「阿づ満や(正しくは「あづまや」の変体仮名)」は、昔から丑の日を休む店として有名だ。また、筆者は直接は知らないのだが、日光の「澤本」や岡崎の「桝八」という店も同様と聞く。
 「阿づ満や」の女主人に丑の日を休む理由を尋ねたところ、「店が混雑してしまって良い仕事ができないから」との話であった。なるほど、言われてみれば、客として混雑している日を選んで行くと、「捌きや焼きの雑な物」を出されるか、「大量に作り置きしておいたような物」を出されるか、さもなければ「うんと待たされる」か、のどれかに違いなかろう。また、一見客で店が込むと常連客に迷惑を掛けてしまうという理由もあるのかも知れない。
 昔ながらの老舗は、一時の売上アップよりも永年積み重ねてきた信用の方を大事にするということだろう。

 ところで、丑の日に休業するのは、そんな“職人気質”の理由ばかりでなく、労務的な観点からも意味がある…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  


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転籍には原則として個別同意が必要。在籍出向も要注意。

2010-07-13 13:26:26 | 労務情報
 業務の都合や従業員のキャリアアップのために配置転換を行うことは、時として必要である。しかし、それが自社内での「人事異動」でなく他社への「出向」である場合は、故意でなくとも違法状態に陥ってしまうことが有るので、手続きは慎重に進められたい。

 自社から他社に籍を移して勤務してもらう「転籍出向」(単に「転籍」あるいは「移籍」とも言う)は、会社が一方的に命じることはできないとされている。「転籍」とは、元の会社との雇用関係を終了させて、転籍先との新たな雇用関係を結ぶという意味だからである。
 転籍を命じるには、整理解雇に準ずる場合における例外はあるものの、原則的には対象者から“個別同意”を得ることが必須である。そして、転籍命令を拒んだことを理由として対象者を不利益に扱ったり、あるいは「不利益に扱う」と脅したりするのは、「退職の強要」とみなされるので、やってはならない。
※本稿を書き終えた後で、最高裁が「会社分割に際して部門ごと別会社に転籍するような場合であっても、会社が従業員と協議を行わなかったり内容が著しく不十分だったりすれば、その転籍命令は無効」との判断を下した(H22.7.12最二小)というニュースが耳に入ってきた(グッドタイミング!)が、特に目新しさはなく、従来からの一般的な労使間の認識を再確認したものと言える。

 さて、それに対して、自社に籍を置いたまま他社に勤務してもらう「在籍出向」(単に「出向」とも言う)は、不当な動機によるものや対象者に著しい不利益を強いるもの等でない限り、本人の希望とは関係なく会社が命じることができるとされている。ただし、出向の可能性が有ることを雇用契約や就業規則で定めていないと労使間のトラブルになるケースもある。
 また、出向先に費用を負担させる場合には、その負担額が出向者の人件費を上回っていると「派遣」と判断されてしまうこともあるので、その点に注意しなければならない。

 転籍出向であれ在籍出向であれ、自社の労働力を他社に提供するのであるから、その実施に際しては、安易に目先の損得だけで考えず、長期的かつ広範的な視野を持って検討したいものだ。


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セクハラ対応の失敗例

2010-07-03 16:49:10 | 労務情報

 都内に数店舗をチェーン展開する小売業での実例である。
 (具体名が特定されないよう、設定を一部変えていることをご承知おき願いたい。)

 本社人事部に、ある店の店長から「採用して10日目のアルバイト学生が2日連続で無断欠勤している。」という報告が有った。
 人事部から本人あてに電話を入れてみると、「体調不良のため休んだ。もう辞めたい。」との返答であったので、人事部員は「では退職届を提出しなさい。」と指示した。しかし、本人から退職届は提出されず、欠勤したまま契約期間(3ヶ月間)を満了するに到った。会社は、当然のように、欠勤分の賃金は支払わなかった。

 それから2ヶ月ほど経ったある日…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  


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