既に多くの会社が実施済だとは思うが、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、毎年1回以上、「ストレスチェック」を行い、結果を労働基準監督署に報告しなければならない(労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生規則第52条の21)。
この法令は平成27年12月1日から施行されているので、該当する事業場は今年11月30日までに少なくとも1回はストレスチェックを実施しているはずだ。もし未実施の会社があれば、至急手配されたい。
ところで、ストレスチェックに関しては、コストや労力や情報管理の煩雑さからそのデメリットばかりが取り上げられがちで、「法律で義務づけられたので仕方なく実施した」と感じている会社も多いようだ。
しかし、せっかく実施するなら、それ以上のメリットを得られるようにしなければ勿体ないではないか。
では、ストレスチェックを実施するメリットは何か。
そもそもストレスチェックの目的は「自らの状態を知る」ということだ。ストレスを自覚することで本人のセルフケアを促すきっかけになり、貴重な労働力を失わずに済む可能性が高まるなら、それは会社にとっても大きなメリットと言えるだろう。
派生的には、従業員が健康を害した(もしくは自らの命を絶った)ことにより会社が訴訟を提起されるリスクも軽減できる。(こちらをストレスチェックの主目的ととらえる向きもあるようだが、あくまで付随効果と考えるべきだろう)
また、「会社(上司)が従業員(部下)にどのようなストレスを掛けているか」を把握できて、職場環境を改善するための参考資料となる。
その効果をより上げるために、会社は、職場ごとの集計結果を入手するのが望ましい。ただし、それが10人未満になる場合は原則として該当者全員の同意が無ければ提供されない点には要注意だ。
さらには、全国的な統計が公表されるのを待たなければならないが、他の会社と比べて自社はストレスが高いのか低いのか、言い換えれば「働きやすい会社」なのかどうか、相対的な位置が分かることもメリットの一つと言える。
なお、先刻ご承知のことと思うが、“適度なストレス”は生産性向上や業務改善の動機づけにもなるもので、ストレスすべてを悪者扱いするのは失当だ。
問題は、“過度のストレス”もしくは“自覚できていないストレス”なのであって、ストレスを受ける側(本人)も、ストレスを掛ける側(会社)も、それを知る手段としてストレスチェックの活用を考えるべきだろう。
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