労働基準法第41条の2に定める「高度プロフェッショナル制度」(以下、「高プロ」と呼ぶ)は、この4月で施行後2年を経過するが、その使い勝手の悪さからか、実際に適用された労働者はまだ少ないようだ。 今般の新型コロナの影響で在宅勤務が増えたことにより高プロ制度の採用を検討したという企業も、あまり聞かない。
高プロは、元々「ホワイトカラーエグゼンプション」と称され10年以上も前から議論されてきたもので、ようやく「働き方改革」の柱の一つに経営側からの要望を盛り込む形で日の目を見たという経緯がある。 経営側にしてみれば“悲願”であったはずだ。
しかし、蓋を開けてみれば、導入するためのハードルが高すぎて、非常に使いづらい制度となってしまっている。
使いづらさの具体例としては、
1.対象労働者の職種(特定の5職種のみ)・収入(1075万円以上)が限られている
2.制度導入手続きが煩雑である
(1) 労使委員会で5分の4以上の賛成による決議
(2) 管轄労働基準監督署への届け出
(3) 本人からの個別同意
3.健康管理時間(社内外での労働時間の合計)を把握する措置を講じる必要がある
といったことが挙げられる。
中でも「3」は、高プロを導入する(経営側にとって)最大のメリットと考えられていた「労働時間管理からの解放」を覆すものと言える。
そうであれば、社会にあまり好印象を持たれていない「高プロ」を無理して導入するよりも、ほぼ同じ手続きによって、ほぼ同じメリットを受けられる「企画業務型裁量労働制」を導入しようという企業が多いのもうなずける。
ただ、企画業務型裁量労働制は、高プロと異なり、「みなし労働時間」を設定し、つまり「労働時間」という概念が取り払われるわけではなく、また、深夜労働に対しては割増賃金を支払わなければならないといった点には要注意だ。
ちなみに、企画業務型裁量労働制に関しては、対象労働者の範囲拡大も議論されてはいたが、働き方改革関連法には盛り込まれなかったので、今後の動きに注目しておきたい。
一方で、高プロには、対象労働者に誇りと意欲を持たせる点で大きな意味があることを忘れてはいけない。 言わば、高プロは労働者としての「最高位」であって、これを超えるにはフリーランスになる(=労働者でなくなる)しかないということだ。
これらを踏まえたうえで、高プロを活用できる企業は、せっかくの制度であるので、大いに使うべきだろう。 上に「社会にあまり好印象を持たれていない」とは書いたが、「従業員に高給を払っている」のは胸を張って公言できることではなかろうか。
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高プロは、元々「ホワイトカラーエグゼンプション」と称され10年以上も前から議論されてきたもので、ようやく「働き方改革」の柱の一つに経営側からの要望を盛り込む形で日の目を見たという経緯がある。 経営側にしてみれば“悲願”であったはずだ。
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2.制度導入手続きが煩雑である
(1) 労使委員会で5分の4以上の賛成による決議
(2) 管轄労働基準監督署への届け出
(3) 本人からの個別同意
3.健康管理時間(社内外での労働時間の合計)を把握する措置を講じる必要がある
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そうであれば、社会にあまり好印象を持たれていない「高プロ」を無理して導入するよりも、ほぼ同じ手続きによって、ほぼ同じメリットを受けられる「企画業務型裁量労働制」を導入しようという企業が多いのもうなずける。
ただ、企画業務型裁量労働制は、高プロと異なり、「みなし労働時間」を設定し、つまり「労働時間」という概念が取り払われるわけではなく、また、深夜労働に対しては割増賃金を支払わなければならないといった点には要注意だ。
ちなみに、企画業務型裁量労働制に関しては、対象労働者の範囲拡大も議論されてはいたが、働き方改革関連法には盛り込まれなかったので、今後の動きに注目しておきたい。
一方で、高プロには、対象労働者に誇りと意欲を持たせる点で大きな意味があることを忘れてはいけない。 言わば、高プロは労働者としての「最高位」であって、これを超えるにはフリーランスになる(=労働者でなくなる)しかないということだ。
これらを踏まえたうえで、高プロを活用できる企業は、せっかくの制度であるので、大いに使うべきだろう。 上に「社会にあまり好印象を持たれていない」とは書いたが、「従業員に高給を払っている」のは胸を張って公言できることではなかろうか。
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