特定の曜日に業務が集中し、その日は決まって残業になってしまうという業種・業態もあるだろう。
そういう場合、法定労働時間(原則的には1日8時間)を超えた時間すべてに対して割増賃金を支払っている会社も少なくないが、こういう業種・業態でも、所定労働時間を見直すことで割増賃金を支払わなくて済むようになることが、往々にしてある。
まず最初に考えたいのは、「時差勤務」だ。
特定曜日に業務が集中するとは言っても、例えば午前中は業務に余裕があるのであれば、始業時刻と終業時刻の両方を後ろにずらせば良い。そうすれば、1日の労働時間は8時間以内のままなので、割増賃金の支払いは不要となる。
時差勤務の導入が難しいなら、次に検討したいのは、「1か月単位の変形労働時間制」(労働基準法第34条の2)だろう。
すなわち、業務の集中する特定曜日の所定労働時間を長くする代わりに他の日の所定労働時間を短くして、週あたりの労働時間を40時間以内に収めるように、「労使協定」または「就業規則」で定めるものだ。あるいは、他の日の所定労働時間を短くするのでなく、「隔週に1日の休日を追加する」といった方法も考えられる。
なお、当該条文の見出しは「1か月単位」だが、条文中には「一箇月以内の一定の期間を平均し」と書かれている。すなわち、必ずしも「1か月単位」でなくて「1週間単位」や「2週間単位」であっても適用可能なので、その点、誤解の無いようにしておきたい。
ちなみに、同法第32条の5(1週間単位の非定型的変形労働時間制)は、予め各日の労働時間を特定することが困難な業種に限っての規定なので、ここでは適用できない。
さて、これらの措置を講じることによる直接的なメリットは、もちろん「残業代の削減」が第一であるが、間接的には、総労働時間を短く抑えることで良質な労働力の維持にも寄与できる。 また、「ワーク・ライフ・バランスの推奨」といった無形の効果も得られることから、CSRの面からも検討してみる価値はあるのではなかろうか。
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