このほど、労働安全衛生法改正案が国会で可決成立した。
今般の改正法の中で特筆すべきは、事業者に「労働者の心理的な負担の程度を把握するための医師・保健師等による検査(ストレスチェック)の実施」を義務付ける(ただし従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務とする)ことだろう。
一部の新聞は「“メンタルヘルス検査”を義務付け」と報じてしまったが、これは勇み足。今般の法改正で義務づけられるのは「高ストレス状態に該当するかの検査」であって、「メンタルヘルス検査」ではないのだ。
これに関しては、労政審が建議(平成25年12月24日付)において、「検査の目的がストレスの状況を把握するものであり、精神疾患の発見を一義的な目的としたものではないことに留意すべきである」と、わざわざ注意喚起しているほどだ。
ところで、厚労省は、「労働者のストレスに関する症状・不調を適切かつ簡便に確認するための標準的な項目」として、平成22年10月に独立行政法人労働安全衛生総合研究所がまとめた「ストレス簡易調査票」に示す9項目を挙げている。
それは、
(1)「ひどく疲れた」
(2)「へとへとだ」
(3)「だるい」
(4)「気がはりつめている」
(5)「不安だ」
(6)「落ち着かない」
(7)「ゆううつだ」
(8)「何をするにも面倒だ」
(9)「気分が晴れない」
の9問について、それぞれ4段階の程度で回答させ、ストレスの度合いを測るというものだ。
無論、これは“例示”であって、これによる検査を実施しなければならないわけではないが、ストレスチェックを具体的にイメージするには分かりやすい材料だ。また、「ストレス」が必ずしも「メンタルヘルス不調」に直結するものではないことも、これで理解できるだろう。
改正法は、公布後1年6か月以内に施行されることとなっている。
趣旨を正しく理解し、誤解と偏見の無いようにしておきたい。
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