ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

休養室の設置義務について

2024-10-13 15:53:12 | 労務情報

 常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する事業者は、休養室または休養所(以下、本稿では単に「休養室」という)を、男性用と女性用に区別して設けなければならない(労働安全衛生規則(安衛則)第618条、事務所衛生基準規則(事務所則)第21条)。
 ところが、「産業医・衛生管理者(業種によっては完全管理者も)の選任」や「衛生委員会(業種によっては安全衛生委員会)の設置」(これらも常時50人以上の事業場に義務づけ)は大多数の会社で守られている印象だが、「休養室」に関しては、労働基準監督署の調査でその不備を指摘される例がしばしば見られる。

 もしかしたら経営者の中には「休憩の設備」と混同している向きもあるのかも知れない。
 休憩の設備は、事業場の規模を問わず、著しく暑熱・寒冷・多湿であったり有害ガスや粉塵を発散する等の有害な作業場では設置が義務付けられている(安衛則第614条、粉じん障害防止規則第23条第1項、特定化学物質障害予防規則第37条第1項)が、それ以外の事業場では「設けるように努めなければならない」という“努力義務”とされている(安衛則第613条、事務所則第19条)。

 これに対し、休養室は、単に休憩できる場所という意味ではなく、体調不良の者が横になって休むことが想定されており、利用者のプライバシーと安全が確保されるよう、
  (1) 入口や通路から直視されないように目隠しを設ける
  (2) 関係者以外の出入りを制限する
  (3) 緊急時に安全に対応できるようにする
等の配慮が求められている。
 もっとも、長時間の休養が必要な場合は速やかに医療機関に搬送または帰宅させることが基本であることから、随時利用できる機能が確保されていれば、専用の設備である必要はないとされる。

 ところで、休養室の設置義務者に関し、現行法令では「事業者は‥」と定めているため、会社ごとに休養室を設けなければならないこととされているが、これに関して見直しを求める声も挙がっている。
 例えば、大規模商業施設のテナントとして入居している会社の場合、その施設内に要件を満たす休養室が設けられていれば各テナントは休養室設置義務を果たしたものとみなすのはどうか、という意見だ。 たしかに、この意見には一理ある。

 今後の法規制の動きも気になるところだが、それ以前に、もし休養室設置義務について知らなかった(または誤解していた)のであれば、すぐにでも対処を考えるべきだろう。


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