ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

奨励金を活用して障害者の雇用促進を

2014-05-23 10:38:12 | 労務情報

 昨年度から民間企業の障害者雇用率が2%に引き上げられたことにより、法定雇用数を満たさなくなってしまった企業が発生している。特に、常用労働者が50人以上56人未満の企業では、従来は障害者の雇用義務が無かったところ、昨年4月からは最低1人の障害者を雇用しなければならなくなっているので、要注意だ。
 各企業の障害者雇用状況は毎年6月1日時点でハローワークに報告することになっているので、もし法定雇用数を満たしていなかったら、できれば5月中に、新たに障害者を雇い入れる等の手当をしておきたい。

 ところで、企業が障害者を雇用した場合には、助成金を受給できる場合がある。
 例えば、「障害者初回雇用奨励金(ファーストステップ奨励金)」は、直近3年間に障害者(身体障害者、知的障害者または精神障害者)を雇用した実績の無い中小企業が対象労働者を雇い入れ、その後3か月以内に法定雇用率を達成し、かつ、6か月間その状態を継続した場合に、120万円の奨励金を支給するというものだ。これまで障害者を雇用したことのない企業にとっては使いやすい助成金だろう。
 この他、「精神障害者雇用安定奨励金」・「発達障害者雇用開発助成金」といった精神障害者等に関する助成金制度も用意されているので、対象者に応じて活用を検討したい。
 また、法定雇用数を上回る障害者を雇用していれば、「障害者雇用調整金」(超過1人につき月額27000円)や「多数雇用奨励金」(超過1人につき月額21000円)の対象ともなる。

 障害者を雇用することは、助成金を受給できるだけでなく、CSR(企業の社会的責任)を果たしている企業として社内外に向けてのイメージアップを図れ、また、従業員のコミュニケーション能力を培うことができ、発想の多様化を期待できる等のメリットもある。
 前向きに考える価値はありそうだ。


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裁量労働制適用者の休日振替えは可能か?

2014-05-13 17:50:29 | 労務情報

 裁量労働制は、就労時間を労働者の裁量にゆだねる制度であり、会社が具体的な業務遂行の手段・方法や時間配分等を指示しないものとされるが、裁量労働制を適用している従業員(デザイナーやコピーライターや企画・立案・調査等の業務に従事する者)に「休日出勤」を命じることはできるのだろうか。
 これに関しては「できない」と考える経営者も多い。しかし、法律上は、労働契約(労働協約や適法に制定された就業規則を含む)に根拠規定があれば、裁量労働制適用者に対しても休日出勤を命じることは可能なのだ。もちろん、その分の休日勤務手当は支払わなければならないが。

 では、「休日出勤」ではなく「休日の振替え(出勤日と休日とを入れ替える)」はできるのか。それが可能であるなら、休日勤務手当を支払わなくて良い分、コストが抑えられるので、会社としてはこちらで対応したいところだろう。

 これも、理論上は可能ではある。
 が、実務面から見ると、良策とは言いがたい。

 と言うのも、そもそも休日に出勤してもらいたかったのは、例えば「顧客対応のため」とか、「臨時会議開催のため」とか、何かしら理由があったはずだ。であるなら、その顧客対応や臨時会議の時間に合わせて在社していてもらいたいところ、裁量労働制においては、休日を振り替えたとしても、何時に出社して何時に退社するのかは本人の裁量次第であるので、休日を振り替えた意味が無くなってしまう虞があるのだ。
 この点、一般の(裁量労働制を適用していない)従業員と同じように扱えるわけではない。

 つまり、休日出勤は、裁量労働制の対象としている業務にはなじまないものと理解しておくべきだ。
 そういう意味で、「休日出勤は命じられない」と思っている経営者の直観は、実は鋭いと言えるのかも知れない。


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有期雇用であっても差別的取扱いは禁止に(パート労働法改正案)

2014-05-03 14:39:28 | 労務情報

 パートタイム労働法第8条は、通常の労働者(以下、本稿では「正社員」と呼ぶことにする)と同視すべきパートタイマーについては、「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない」と定めている。そして、その「正社員と同視すべきパートタイマー」とは、次の3要件を満たすものとしている。
 (1)業務の内容や責任の程度が正社員と同一
 (2)配置変更その他の人材活用の仕組みが正社員と同一
 (3)無期雇用契約を締結している(有期雇用契約を反復更新して無期雇用と同視できる場合を含む)

 これを前提に、現状、パートタイマーを雇用している会社では、上記要件のうち(1)と(2)には該当しても、有期雇用であることを理由として、正社員と待遇に差を設けていることが多い。それどころか、正社員と同じ待遇にしないようにするため、敢えて有期雇用にしておくケースも見られるくらいだ。

 ところが、今国会に、上記のうち(3)の要件を外す改正法案が上程されている。加えて、改正案は、これに該当しないパートタイマーについても、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、正社員との待遇の相違が不合理であってはならないとする。
 改正法案が可決成立すれば、現在パートタイマーを雇用している会社では、その扱いを見直さざるを得ないことになろう。

 もっとも、正社員とパートタイマーとでは、本来、「業務の内容」や「責任の程度」や「人材活用の仕組み」は、異なっていて然るべきだ。
 今般の法改正とは関係なく、正社員とパートタイマーの役割を明確に区別し、それぞれに適した採用・配属・昇進等の制度を整えておく必要はあるだろう。


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