従業員が退職した場合、健康保険および厚生年金保険の被保険者資格は、“退職日の翌日”に喪失する。“退職日当日”は、まだ在籍中であり、被保険者資格も有しているという理屈によるらしい。
実務担当者にしてみれば今さら改めて教わるまでもない既知のことだろうが、会社から提出される「資格喪失届」の「資格喪失年月日」欄に“退職日”が記入されているというミスが頻発しているのも事実だ。
イージーミスに類する話とも言えるが、社内の退職関連書類のほとんどがおそらく“退職日”を用いて作成されるであろうし、雇用保険の「離職年月日」も“退職日”を記入することになっているので、社会保険の手続きでも同じ日付を書いてしまうというのは、むしろ「実務担当者ならではのミス」と言えるかも知れない。
年金事務所や健康保険組合の窓口で係員がミスを指摘してくれれば修正も可能だが、窓口が混雑している時期にはそんな気配りも期待できないし、まして郵送や電子申請では、形式さえ整っていれば即時に受理されてしまう。退職した当の本人も気付かなければそのまま何年も放置され、年金を受給しようとした時に初めて厚生年金保険加入期間が足りないことが発覚するというパターンにつながるわけだ。
ちなみに、こういうケースに該当すると、年金機構(旧・社会保険庁)は、年金記録確認第三者委員会のあっせんに基づいて本人の年金記録を復活し、その一方で、会社に対してその間の年金保険料および納付完了日までの利息相当額の支払いを勧奨する(「勧奨」と言いながら、理由無く従わない場合は企業名が公表されるので、事実上の「強制」)としている。
担当者にとっては単なるイージーミスが、会社にとっては大きな損害や信用問題にも発展する可能性があることを認識して、慎重に処理されたい。
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