6月は厚生労働省の「外国人労働者問題啓発月間」。今年の標語は「外国人雇用はルールを守って適正に~外国人が能力を発揮できる適切な人事管理と就労環境を!~」だとか。6月も終わろうとしている頃に今さらではあるが、外国人関係の記事を掲載することにしたい。
さて、同省の取りまとめによれば、昨年10月末現在、外国人労働者数は、1,278,670 人であった。これは前年の同時期と比べて約20万人(18.0%)の増加であり、外国人労働者の届け出が義務化された2007年10月以来、過去最高の数値となっている。
中でも、企業が持続的成長をするためのイノベーション等の担い手として期待が高まっているのが、高度な能力・資質・経験などを有する「高度外国人材」だ。
これに関する国の施策としては、わが国で就労しようとする外国人について、学歴・職歴・年収などをポイント制で評価し、そのポイントの合計が一定点数に達した者には、各種優遇措置のある在留資格「高度専門職1号」または「高度専門職2号」(1号取得者が3年以上在留し資格変更を許可されたもの)を付与する、という仕組みが、2015年4月から実施されている。
主な優遇措置を見てみると、「高度専門職1号」では、(1)在留期間「5年」の付与(通常は1年または3年)、(2)許可された活動以外の活動を行うことが可能(ただし、その分野の関連業務に限る)、「高度専門職2号」では、(1)在留期間が無期限、(2)在留資格で許可された分野に関連しなくても複合的な在留活動を許容、等が挙げられる。
ちなみに、昨年の法改正により、高度専門職は最短1年の在留で永住許可が得られる可能性がある(「日本版高度外国人材グリーンカード」)こととされたが、「高度専門職2号」と「永住」とにそれぞれ一長一短あるので、どちらを選ぶべきかは、当該外国人の働き方や将来ビジョンを考慮する必要がある。
なお、昨年6月9日に閣議決定された『未来投資戦略2017』で、政府は、2020年末までに10,000人、2022年末までに20,000人の高度外国人材認定を目指す、としている。また、アニメーションやファッションなどの分野で活躍する「クールジャパン人材」についても、今年度内をめどに「高度専門職」の制度に組み込まれることが決定されている。
ところで、外国人雇用に関する現状を見れば、今や一部の業態では、人手不足により、留学生による資格外活動(アルバイト)や「技能実習」という名の実質的な単純労働に頼らざるを得なくなっている。これらについての是非論はさておき、今後、わが国の労働人口が減少していく中、外国人労働者が様々な分野で増加していくことは想像に難くない。
好むと好まざるとにかかわらず、自社において外国人労働力をどのように活用するかは、今は外国人を雇用していない企業においても、少なくとも検討は始めておかなければならない課題と言えるだろう。
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