昨年4月から改正施行された労働契約法の第18条には「通算5年を超えて反復更新された有期契約は、労働者の申し出により無期契約に転換させる」旨が定められており、現行法文上は、これがすべての期間雇用者に例外なく適用されるものとされている。しかし、これに関しては、特に経営サイドから見直しを求める声が上げられていた。
これを受けて、2月14日、労働政策審議会は、この無期転換ルールに特例を定めるべき旨、厚生労働大臣に建議した。
それによれば、特例の対象労働者は「高収入かつ高度な専門的知識・技術・経験を有する者」と「定年後に同一の事業主等に継続雇用される者」の2種類で、具体的には、前者については、企業内の期間限定プロジェクトが完了するまでの期間(ただし10年を上限とする)は無期転換申込権が発生しないこととし、後者については、定年後に同一事業主または特殊関係事業主に引き続いて雇用されている期間は通算契約期間に算入しないこととする。
これらは、雇用期間の上限を原則3年のところ「5年まで可」とする労働基準法第14条第1項の例外規定に準じたものと言える。ただし、1つ目に関しては、相応の高収入が条件となる点(対象労働者の範囲や収入要件等は法案成立後に改めて労政審が検討する予定)、2つ目に関しては、満60歳以上の労働者すべてが対象となるわけではない点が、労働基準法の定めとは異なるので、注意を要する。
また、建議では「この特例は、厚労省が策定する『対象労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針』に沿った対応を取ることができるとして厚労大臣に認定された事業主のみを対象とすべき」としている点も、押さえておかなければならない。
政府は、この建議の内容を踏まえ、3月7日、特別措置法案を取りまとめ、国会へ上程した。これが可決成立すれば、来年4月1日から施行される見込みだ。今後の動静を注視していきたい。
【参考】労働基準法第14条第1項
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。
1 専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
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