ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

年休(有休)の時季変更権、「事業の正常な運営を妨げる場合」とは?

2023-04-23 09:59:15 | 労務情報

 年次有給休暇(以下「年休」という)は、原則として労働者が請求した時季に与えなければならないが、請求された時季に年休を与えると事業の正常な運営を妨げる場合には、会社はその時季を変更することができるものとされている(労働基準法第39条第5項)。
 ここで注意を要するのは、会社が年休の時季変更権を行使できるのは、「事業の“正常な”運営を妨げる場合」であって、「事業の“通常の”運営を妨げる場合」ではない点だ。すなわち、単に「業務多忙である」とか「他のメンバーが残業することになる」といった程度の理由では、請求された年休の時季を変更することはできない。

 具体的に時季変更権を行使できるのは…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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夜勤に関する注意点

2023-04-14 15:59:11 | 労務情報

 従業員を夜間に就労させるにあたってはさまざまな注意事項がある。

 まず、労働基準法第37条第3項では、夜勤に対して25%以上の深夜手当を支払うべきことを定めている。
 この点に関し、昼間勤務の延長(いわゆる「深夜残業」)の場合に法定労働時間(原則として1日8時間または週40時間)を超えた時間数に対しては時間外割増も加えるのは周知の事だろうが、元々の所定労働時間がすべて深夜時間帯のみである場合であっても、週休1日制や変形労働時間制などを採用している事業場では法定労働時間を超える夜勤が生じることもあり、そうしたケースにおいては、その超えた時間数に対して「深夜手当+時間外割増」で賃金支払いの義務が生じる。
 そして、労働基準法第41条第2号に該当する管理監督者には時間外割増も休日割増も対象とならないものの、深夜手当(25%以上の部分のみ)は支払わなければならないことも、忘れてはならない。

 さて、夜勤に関してしばしば問題となるのが「実働時間」の概念だ。 特に仮眠時間を設けている夜勤において、その「仮眠」が「休憩(=実働時間に含まれない)」なのか「手待ち(=実働時間に含まれる)」なのかが争いになりがちだ。
 行政解釈上、「休憩時間」とは「労働時間の途中に置かれた、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間」(昭22・9・13発基17号)であるとされ、「労働者が自由に利用できる時間」(昭23・5・14基発769号、昭39・10・6基収6051号)でなければならない。
 なので、例えば、仮眠中に電話が掛かってくることが頻繁にあり、その対応が義務付けられているのであれば、「労働から解放されていない」または「自由に利用できない」ので「休憩時間」とは認められず、一種の「手待ち時間」ということになる。
 ビル管理業や守衛の仮眠時間を「労働からの解放が保障されていない」として労働時間であると断じた裁判例(最一判H14.2.28、東京高判H23.8.2等)も参考にしたい。

 ところで、「夜勤」と似たような働き方として「宿直」が挙げられるが、この二者はまったく性格が異なるものだ。
 「夜勤」が基本的には通常業務を行うのに対して、「宿直」は、通常業務から離れて「寝泊まり」することに意味のある業務をいう。
 したがって、深夜にのみ営業している飲食店などは言うに及ばず、機械が終日稼働している工場など、そもそも夜間に働くことを常態とする事業場においては、仮に交替で勤務しない時間帯を設けたとしてもそれは「休憩」でしかなく、「宿直」を導入できる余地はない。

 ここまで論じてきたように、「休憩」も、「仮眠」も、あるいは「宿直」も、そのメルクマールとして、「労働からの解放」が挙げられる。
 これは、明示的に業務を命じていないだけではなく、労働者が働いているのを会社が黙認していたり、量的・質的に働かざるを得ない業務を与えていたりということも無いことを要する。この点、正しく理解しておきたい。


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派遣受入期間を延長するための意見聴取に関する注意点

2023-04-03 08:59:12 | 労務情報

 同一の業務に労働者派遣を受け入れられる期間は、「専門26業務」や「産休・育休代替要員」等を除き、原則として「1年間まで」とされている。
 1年を超える労働者派遣を受け入れようとする場合は、予め労働者の過半数を代表する者(労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合)に対し、派遣を受けようとする業務・期間等を書面で通知し、その意見を聴かなければならない。これによって、派遣受入れ期間の上限は「1年間」から「3年間」に延長される。

 この意見聴取は、行政機関への届け出は不要であるが、労使間のトラブルの火種となる例も少なくないので、不備の無いようにしておきたい。
 まず、意見を聴くべき「労働者代表」は、「派遣受入れ期間についての意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等により選出された者」でなければならない。職場の親睦会長が自動的に労働者代表になるとか、時間外労働に関する労使協定(三六協定)締結のために選出された労働者代表から派遣受入れ期間についての意見も聴取する(このケースが最も多い)といったものは、適正な選出方法でないので、その意見聴取自体が無効となってしまう。
 そして、意見聴取を行うにあたっては、通知してから意見を聴くまでに充分な考慮期間を設けなければならず、また、「派遣受入れ期間が適当でない」との意見が出された場合には、「その意見を勘案して再検討する」または「会社の考え方を説明する」といった対応により、労働者代表の意見を尊重するよう努めなければならない。

 もっとも、労働者代表から反対意見が出されたとしても、適正な手続きで意見聴取されている限り、派遣受入れ期間の上限は延長される。
 であればこそ、誠意をもって従業員の理解を得られるよう努めるのが会社として望ましい対応と言えるだろう。


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