我が国の民法は、「契約自由の原則」を採用している。すなわち、契約を締結すること自体や、契約の相手方を選ぶことや、契約の内容や、契約の方法については、当事者が自由に決められるというのが原則だ。
しかし、この「契約自由の原則」が成立するには当事者双方が平等な立場であることが前提となるところ、こと「労働契約」に関して、労働者(雇われる側)と使用者(雇う側)とが対等に契約を締結するのは、まず不可能だ。そのため、戦後、現行憲法の下で、労働者が集団で使用者と交渉できることとする「労働組合法」とともに、労働条件の最低基準を定める「労働基準法」を定め、私的自治に一定の国家権力が介入することとされた。
労働基準法は、こういう経緯で制定されたので、法が定めた基準を満たさない労働契約はその部分において無効とし、違反した者には罰則を科すという“強行法規”の側面を持っているのだ。
まれに「残業代は要らないと本人が言っているので支払わない」と言って憚らない経営者がいるが…‥
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