雇用保険の被保険者資格を喪失した人(離職した人)のうち、倒産や解雇等により離職を余儀なくされた人は「特定受給資格者」と呼ばれ、いわゆる“自己都合”で離職した人よりも失業給付受給の条件が緩和されている。
ところで、混同されやすいのだが、この「特定受給資格者」とは別に、「特定理由離職者」という区分もある。
「特定理由離職者」とは、「正当な理由のある自己都合により離職した者」と「有期雇用契約の更新を希望したにもかかわらず更新されずに契約満了となり離職した者」とを総称したもの。あくまで“自己都合”による離職には違いないが、当面は「特定受給資格者」と同様の扱いをするものとし、失業給付の所定給付日数面で手厚くしている。(この扱いがまた、混同されやすさに拍車を掛けているのだが…)
この特定理由離職者になるケースのうち、前者(例えば「配偶者の転勤により通勤困難になったための離職」等)は、従来から、給付制限(失業給付が受けられない期間;最大3か月間)の対象としない措置が講じられてきたものであって、離職者には有利に働くものの、会社が特段の影響を受ける話ではない。
さて、問題は後者だ。とりわけ「更新を希望したにもかかわらず」の部分は、人事担当者の実務に大きく影響する。と言うのも、これは、有期雇用契約者の契約満了に際しては、「契約更新を希望するか否か」を尋ねなければならないことを意味しているからだ。
もっとも、希望を聞けば良いだけであって、会社が更新に同意するかどうかは別問題であるし、契約書に「次回更新はしない」と明記してある場合にまで改めて希望を聞かなければならないわけではない。
契約更新について本人の希望を確認していない(あるいは確認したことが無い)という会社は、そんなことが思わぬトラブルの火種ともなりかねないので、雇用管理の在りかたを考え直してみておくべきだろう。
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