さすがに今どき、あからさまに男女差別を肯定する経営者は(少なくとも、それなりの社会的立場に在る経営者の中には)いないと思うが、“実質的”に男女差別につながる制度が残っている会社は、実は、少なくない。
雇用機会均等法およびその施行規則は、「実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置」として具体的に次の3つを列挙し、合理的理由が無い限り、これらの措置を講じてはならないこととしている。
(1) 募集・採用にあたって、労働者の身長・体重・体力に関する事由を要件とするもの
(2) いわゆる「総合職」の募集・採用にあたって、転居を伴う配置転換に応じられることを要件とするもの
(3) 昇進にあたって、転勤の経験があることを要件とするもの
無論、これらの措置や制度も、合理的な理由が有るならば違法とはならない。
例えば、「重量物を運搬する作業」に従事してもらうのに「筋力」を要件とするのは、まったく問題ない。ただし、その場合も、“必要以上”の筋力を求めるのは、合理的な理由とは言えず、実質的に男女を差別しているものとみなされる。
また、総合職の採用や管理職への昇進に際して「転居」や「転勤」を要件とすることも、業務の性質や事業の運営状況に照らして本当に必要な措置と言えるかどうかが問題となる。
その措置や制度が設けられている理由が合理的と言えるか否かの線引きは難しいが、「第三者(端的な例を挙げれば“裁判官”)を納得させられること」を一応の判断基準と考えるべきだろう。
そういった観点から、会社の制度をもう一度チェックしてみては如何だろうか。
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