厚生労働省は、先日、『平成25年版労働経済の分析』(別名「労働経済白書」;以下「白書」と呼ぶ)を公表した。
白書によれば、日本経済全体の景況については、「昨年中は弱い動きであったが今年1月以降は持ち直しに転じている」とし、雇用情勢についても、有効求人倍率の上昇(0.80倍;前年度より0.15ポイント増)ならびに完全失業率の低下(4.3%;前年度より0.3ポイント減)をもって「厳しさが残るものの改善の動きが見られる」と評している。しかし、一方で、非正規雇用労働者比率が上昇し続けていること(過去最高の35.2%;前年度より0.8ポイント増)を問題視し、なかでも、今回初めて、非正規労働者のうち「世帯所得の低い世帯の主たる稼ぎ手である者」を約149万人と推計したことは、特筆に値するだろう。
白書は、この「主たる稼ぎ手」や「不本意非正規」(正規の仕事が無いため非正規で働いている者;約348万人)といった「より支援の必要性の高い者」に焦点を当てながら、適切な能力開発機会の提供等を通じて、雇用の安定や処遇の改善を図っていくことが重要と提言する。具体的には、「多様な働き方」の普及および改正労働契約法(有期雇用が5年超で無期化)の全面施行により、「無期雇用への移行」が期待されるとしている。
ここで言う「多様な働き方」とは、職種・勤務地・労働時間等を限定した「限定正社員」制度の整備を想定したものだ。これに対しては、労働者団体等からは「労働条件の低下につながる」として反論も出されているところだが、いわゆる正社員の雇用をためらう企業が多い現状において、雇用の創出と安定化に寄与する一策として評価する声も多く聞かれる。
無機質な数字が並ぶ『労働経済白書』だが、こんな読み方をすれば、より一層、理解が深まるのではないだろうか。
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