現行「2.0%」(50人に1人)とされている民間企業の障害者雇用率は、平成30年4月1日からは「2.2%」(45.45人に1人)へ、次いで3年以内に「2.3%」(43.48人に1人)へと引き上げられる(平成29年6月30日政令第175号)。
企業経営者としては、これによって障害者雇用率を満たさなくなってしまい「障害者雇用納付金」(※)を納めるような事態に陥ることの無いよう、今から準備しておきたい。
※ 常用雇用労働者(週20時間以上の短時間労働者は0.5人として算入)が200人を超える事業主は未達成1人あたり月額5万円、100人を超え200人以下の事業主は未達成1人あたり月額4万円、100人以下の事業主は対象外。
ところで、今般の障害者雇用率の改定について、厚生労働省は「精神障害者の雇用義務化等を踏まえたもの」と位置づけている。
この「精神障害者の雇用義務化」という用語だけを抜き出して、経営者の中には「精神障害者を必ず雇用しなければならない」と理解している向きもあるようだが、身体障害者や知的障害者の雇用数をもって障害者雇用率を達成できるなら、それに加えて精神障害者も雇わなければならないわけではない。
しかし、その誤解を一笑に付すことはできない。
というのも、障害者を採用したら施設の整備や援助を行う者の配置等の措置を講じなければならない(障害者雇用促進法第36条の3)ところ、その対象となる「障害者」は、従来の「身体障害者+知的障害者」に加えて、今年4月からは「精神障害者」に対しても、この「合理的配慮の提供義務」が課せられることになるからだ。
そういった意味で、「障害者雇用率を算出する算式の分子部分に精神障害者も加えられただけでしょ」との甘い認識(実際そう思っている企業経営者も多い)の方が、より危険と言える。
もっとも、「精神障害者」と言って一括りにはできず(これは身体障害者や知的障害者にも当てはまることだが)、その種類や程度は人によって異なる。
「障害者」というレッテル貼りをしてしまうのでなく、各人の能力や適性に応じた処遇を考えることが肝要なのであって、そう考えてみれば、障害を持たない者に対するそれと基本的には変わらないのだ。
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