会社は、雇用期間の定めのある労働者(以下、「有期雇用労働者」と呼ぶ)や所定労働時間が通常の労働者(以下、「正社員」と呼ぶ)に比して短い労働者(以下、「短時間労働者」と呼ぶ)であって、「職務の内容(業務の内容と責任の程度)」および「職務の内容・配置の変更の範囲その他の事情」に照らして「正社員と同視すべき者」については、差別的取り扱いをしてはならない(パート有期労働法第9条)。
これは、具体的には、次のようなチェックポイントで判断される。
【職務の内容】
(1) 業務の内容(職種)
(2) 中核的業務(その職種を代表し、その職種に不可欠な業務)
(3) 責任の程度(ノルマの有無、突発事象への対応、部下の人数等)
【職務の内容・配置の変更の範囲その他の事情】
(1) 転勤の有無
(2) 転勤の範囲
(3) 職務内容・配置の変更の有無
(4) 職務内容・配置の変更の範囲
(5) 勤務形態(フレックス制や裁量労働制の適用等)
(6) 個人の能力・経験、業務上の成果等
このチェックポイントすべてにおいて正社員と同じである者については、賃金その他の待遇を、比較対象とした正社員と同じにしなければならない(=「均等待遇」)。 と言っても、時給制の者を月給制に変更したり所定労働日や所定労働時間を正社員と同じにしたりすることまで求められるわけではない。
そして、チェックポイントに1以上の相違がある者については、正社員との間に不合理な待遇差を設けてはならない(=「均衡待遇」;同法第8条)。
逆に言えば、合理的な理由により適切な待遇差を設けることは許される。 もっとも、それが妥当であるか否かはしばしば争いになり、最終的には司法の判断に委ねられる。
ちなみに、パート有期労働法は有期雇用労働者および短時間労働者に適用される。
したがって、社内で「パート」と呼称されていたとしても、雇用期間の定めが無く正社員と同じ所定労働時間で働く者(「フルタイムパート」「フルタイマー」などと呼ばれることもある)は、均等待遇や均衡待遇の対象とされていないことに注意したい。 こうした者の労働条件は、個別に(または労働組合を介して)経営者と交渉して定められることになる。
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