近年は定年制の廃止を検討している、もしくは既に廃止した、という企業も見られるようになってきたが、それでもなお大多数の企業において、定年制は堅持され続けている。
ところで、定年制は、一般的には、いわゆる正社員を対象とした制度とされているが、パートタイマー等(ここでは「アルバイト」や「嘱託社員」なども含めて考える)には適用されないのだろうか。この問題に関して、本稿では、労働契約上の観点からアプローチしてみたい。
まず、パートタイマー等を期間を定めて雇用している場合は、定年制は適用されない。
と言うのも、そもそも「定年制」というのは従業員を一定の年齢をもって退職させる制度であるので、「期間」が満了すれば雇用が終了する契約であるのに「年齢」という別の雇用終了事由を加えるのは契約上そぐわないからだ。定年制は、無期雇用の従業員にこそ意味のある制度と理解しておくべきだ。
さて、では、無期雇用の(=期間を定めずに雇用している)パートタイマー等には定年制が適用されるかと言うと、そうとは限らないのが難しいところだ。
無期雇用のパートタイマー等に定年制が適用されるかどうかは、特約の無い限り「就業規則」によるわけだが、その就業規則自体がパートタイマー等に適用されていなければ当然、定年制も適用されないからだ。「この就業規則は、第○章の手続き(新規学卒者を想定した選考方法)により採用された従業員に適用する」と書いてあったり、「パートタイマーについてはパートタイマー就業規則を別途定める」と書いておきながらそれが制定されていないといったケースがありがちだ。
定年制が適用されないならば、理屈の上では、文字通りの「終身雇用」ということになる。
もっとも、その場合でも「解雇」や「退職勧奨」の対象とならないわけではないが、それで会社として良いのかどうか、考えてみる必要はあるだろう。
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