従業員が事業場外で業務に従事し、その就労時間を算定しがたい場合には、所定労働時間もしくは通常必要とする時間を労働したものとみなすこととされている。(労働基準法第38条の2)
この「事業場外みなし労働時間制」は、主に、具体的な業務指示を受けずに外勤する営業マン(営業ウーマンを含む。以下同じ)等を適用対象とするが、営業マンであっても、オフィス内で見積書を作成したりするのは事業場外労働ではないので、その時間はみなし労働時間に加算し、結果、必要があれば時間外手当も支払わなければならない。そのため、事業場外みなし労働時間制は「直行直帰型」の勤務でないと使いにくいのが実情だ。
しかし、直行直帰型の勤務は、時間外手当等のコストが削減でき、労働者も業務を効率よく進められ、また「ワーク・ライフ・バランス」も図れるので魅力的である一方、朝礼やミーティングの時間が作れず、フォーマル・インフォーマル両面においてコミュニケーションが取りにくくなるという側面がある。また、モラルが低下しやすいことや会社への帰属意識が希薄になっていくことから、直行直帰型に拒絶反応を示す経営者も少なくない。
こうした矛盾を解決するには、直行直帰型に完全移行するのでなく、“一部導入”するのがお奨めだ。例えば、週1回~週2回程度の「直行直帰デー」を設けて、その日はオフィスを閉めてしまう。全社一斉に導入するのが難しければ、班やフロア単位での輪番制にしても良い。
「直行直帰デー」は、一昨年の“節電要請”に対応する形で採用した会社があり、結果として生産性が上がり、コスト削減も実現したという。
外勤中心の営業マンが多い会社では、導入を検討してみる価値はあるだろう。
※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
(クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
↓

昨今は企業内で組織される労働組合は少なくなっているが、その反面、合同労組(※)が労使紛争に関与するケースが増えている。むしろこういう状況下にあって、かつては組合対策など考える必要の無かった中小・零細企業を含め、すべての企業において、団体交渉を申し入れられる可能性が高まっているとすら言える。
(※)「合同労組」とは、企業の枠を超えて地域単位で労働者を組織する労働組合を言う。具体的には「合同労組」・「一般労組」・「地域ユニオン」等と呼称され、主に中小企業の労働者が個人加盟しているのが特徴。
さて、労働組合(企業内労組であるか合同労組であるかを問わず)から団体交渉を求められた場合、その開催場所はどのように決めるべきだろうか。
団体交渉の開催場所は、労使双方が話し合って決めるべきものである。したがって、組合側が指定した場所とする義務は無いし、「社外開催が望ましい」と主張する識者(特に経営者側弁護士)も多い。
しかし、会社が開催場所を指定し、合理的な理由なくそれに固執してしまうのは、不当労働行為とみなされるケースもあるので気を付けたい。国立大学の地方キャンパス(以前は別の大学であった)の教職員のみで組織する労働組合との団体交渉に関し、「大学本部で開催し、交渉時間は昼休みの1時間に限る」とした大学側の対応を、中央労働委員会が「不誠実団交」(労働組合法第7条違反)と断じた(平成23年(不再)第18号)のは、覚えておきたい事例の一つだ。
一般的に団体交渉は、労働者側に過度の負担を強いないよう、労働者の就労場所の近くで開催するべきであろうし、また、費用支出(社外開催における会場費等)が発生する場合は会社側が負担すべきであろう。これは法律上の義務ではないが、組合から「団体交渉拒否」とのそしりを受けないための防衛策と考えるべきだ。
※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
(クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
↓
