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いつもの癖で反射的に窓に目をやりますと、
カーテンが仄かな、オレンジに染まっています。
枕元の時計を見ますと、午前5時半過ぎ。
まだまだ起きる時間ではありません。
しかも休日。でも気になります。
そんな誘惑に勝てなくて、
カーテンの隙間から見た空は・・こんな紫色の美しい空でした。
最近では日の出も随分遅くなり、この時間、まだ明けてはいません。
遥か向こうの、高速道の常夜灯が輝いて見えます。
何だか今朝は、やけに親しげに感じるから不思議です。
いつもでしたら、そろそろパタパタと新聞配達のバイクの音が聞こえるのですが、
今朝は、それもありません。し~んと静まり返っています。静寂(しじま)の時間。
“・・・アンはいつも日の出前の、妖精と昔の神々のものである、
あの神秘的な30分に間に合うよう早く起きるのが好きだった。
アンは教会の尖塔の後ろだけ金色の、
淡い薔薇色の朝空や砂丘の上に拡がる薄い半透明の日の出の
輝き、村の家々の屋根から勢いよく渦巻きながら立ち上り始める
煙を眺めるのが好きだった。” 【「炉辺荘のアン」 第15章】
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さて、気が付けば・・空を見上げている私がいます。
朝から何度、見上げた事でしょう。
それは、広大な青いキャンパスに白い絵の具で自由自在に描きなぐった、
絵画のようにも見え・・。
かと思えば、巨大なスクリーンにも・・。
次から次へと、それこそ様々なキャラクターが登場して来ます。
本当に見ていて飽きません。
「あたしに、こんなに想像力があって幸せだったわね。
きっと素晴らしく役に立つでしょうよ。・・・」 【「赤毛のアン」 第23章】
アンの誇らしげな声が聞こえて来ます。
お陰様で退屈という言葉だけは私にもありません。