左手の洋館の窓の下には、青々とした 蔦の葉のようなものが、石の土台石の 方から捲き上がって覆い被さっていた。 その前の方に、イタリーから移植したという、 四季咲きの薔薇 が茂っていて、咲きかけた 赤い蕾や、薄いクリーム色の蕾などが 葉の間に点々と見えた。 薔薇の前に佇んで、 麟一は少し疲れを休めていた。 【吉屋信子作 「地の果まで」 】 |
時折、薄日は射すものの、今日は真珠色の空になりました。
そんな中、今日は自治会挙げての一斉清掃。
例年は6月でしたから、終了後、かなり汗だくになっていましたが、
今は暑くもなく寒くもなく。清掃にも1番良い気候ですね。
さて最近、なぜかウキウキ・・どうして・・?
~なんて思っていましたら・・。
これら薔薇のお陰なのでしょうね、きっと。
お部屋が薔薇のアロマで満たされていますから。
薔薇の香気には鎮静効果や安眠効果があるようですね。
一方、その対極にあるのは先日、ここでも取り上げたジャスミン。
覚醒(かくせい)効果があるそうです。
そのせいでしょうか・・ヨーロッパでは、
秘密の約束は薔薇の花の下でと決まっているそうです。
ジャスミンでは興奮して、
ついうっかり秘密を漏らしてしまうかも知れませんものね。
ところで、1つの花瓶に赤と白の薔薇を挿しましたら・・。
どこかで見た光景。同様の絵がある事を思い出しました。
となれば・・今日はその絵と本物の薔薇に囲まれてお茶タイムと致しましょう。
これだけの薔薇? に囲まれましたら、秘密の洩れる心配はありませんね。
前述のように、ヨーロッパでは会議室には
秘密を守るシンボルとして薔薇を飾る習慣があるそうです。
椅子やテーブルに施された絵や彫刻も同様の意味が込められているとか。
イタリア家具などにも描かれている薔薇や象嵌(ぞうがん)の薔薇。
単なる装飾というだけでなく、(それも豪華な)
こんな意味も込められていたのですね。奥が深いです。
そうそう今日の引用文。
大正9年の作品(「地の果まで」)から抜粋したものです。
今では珍しくない四季咲きの薔薇。
当時はイタリーからの移植だったのですね。
余談ですが、小説の中に描かれた薔薇にも興味を覚えます。