珍しく都内の息子からの電話。
どうやら、また耳鳴りが強くなったらしい…
都内は降っていないと言っていたが、
こっちは雷雨だ。
息子のマンションから歩いて数分の散歩コースから見える選手村は、
息子曰く、
「あそこは何の変哲もないタダのコンクリート群」なのだそうだ。
一番気に入っていた晴海埠頭の風景も消えたと嘆く…
「今は立ち入り禁止だよ」
と憤る。
息子の住む賃貸マンションも便乗値上げで
昨年から1年ごとの更新になったらしい。
しかも昨年は外壁の塗装工事で悩まされ
今は水道管工事の音で悩まされていると言う…
「リモートワークじゃない方が楽だよ」
と、タイミングの悪さをグチる。
そばにいた夫に電話を代わると、
酔っ払った夫が、また変なことを言い始めた。
「◯◯の住んでる所は《タクシードライバー》で、オレたちが住んでいる場所は《ベイブ》なんだよ」
と。
意味不明だが、
夫が言いたいのは、
映画の中の世界観だ。
アスファルトから蒸気が立ち昇っていくような都会の風景と、
自然に囲まれた長閑な田舎の風景の違い…
「誰だっけ、…そうだそうだ、ロバート・デ・ニーロだったな」
と話し始めた。
息子と夫の共通の趣味である映画の話をし始めると長くなるのは、いつものことだ。
再び代わって
「クルエラ行くの?」
と訊けば、
「ディズニープラスでやってるよ」
と言う。
なるほど、
わざわざ映画館に行かなくとも配信で新作映画も観られるのだ。
映画館はますます苦境に立たされるわけだ。
エマ・ストーンのヴィランも観たいが、
我が家には映画の世界感そのもののHalもいる。
Halを見ながら、夫も私もつくづく思うのだ。
《ベイブ》の世界で暮らすほうが自分たちに似合っている…
と。
写真はカミナリに怯えてピアノの下に隠れたHal。