人生とは不思議なものだ…
自分の若かりし頃を再現するような事が思いがけないタイミングでやってくる。
関西の陸自音楽隊に四十数年前に勤務していた頃、
千里ニュータウンのセルシーの「たそがれコンサート」というイベントで初めて司会をした。
自分で一生懸命、司会台本を作り、練習もして本番に臨んだのに、
終演後に先輩自衛官から、
「なに言っとるんかさっぱりわからへん」
「早口すぎる!ディズニーのリスが喋っとるみたいや」
と言われ、落ち込んだ…
司会デビューは苦い思い出だ。
昨日の朝霞市民会館で開かれたスーパーシニア音楽団楽悠のコンサートでは、
久々に司会と歌で出演した。
縁あって数年前から音楽隊OBから声をかけてもらい、
毎年秋に下田市で開かれる昭和歌謡を歌うコンサートにも出演させてもらっている。
人生も終盤の今頃になって
(そもそも自分はなにがやりたいのか?)
と考えることが多くなった。
どこかで、
若かりし頃に抱いた夢や希望を、まだ捨てきれずにいるのではなかろうか?
そんな時にいつも思うのが、
( 音楽は楽しい、コンサートに関われる自分は幸せだ)
ということだ。
昨日の司会では、
オープニングの祝典行進曲が終わって、
團伊玖磨生誕100年の話題から
エッセイ集『パイプのけむり』の祝典行進曲初演当時の行を紹介し、
「ちなみにこの時に演奏した方は?」
と訊くと、
なんと舞台上の出演メンバー、4名から手があがった。
65年前の国立競技場の初演メンバーがいる楽団は日本全国を探してもそうはいない、
スーパーシニア音楽団・楽悠の演奏する『祝典行進曲』には他のバンドにはない付加価値がある…
そう思うと司会にも熱が入る。
1部の《世界の行進曲》で演奏した『フローレンティナー行進曲』の美しいメロディーには
44歳で亡くなった作曲家フチークの、
楽しかったであろうフィレンツェの旅を想像し、
(なんて美しいメロディなんだろう…)
と、思わず胸が熱くなった…
舞台ソデで聴く吹奏楽もなかなかのものだ。
2部の《懐かしのTV・映画音楽》特集では、
「東京ブギウギ」での観客の手拍子と笑顔が嬉しかった。
ステージと観客が一体となった瞬間は至福の喜びがある…
司会と歌、年齢的にはかなりハードだが、
やり終えた後の充実感は大きい。
アンコールでは
自衛官時代、初めてステージで歌わせてもらったマイフェアレディの
「踊り明かそう」を歌った。
もうちょっとで、脚が攣りそうだったが踏ん張った。
まさに、
原点回帰のコンサートだった。
昨日は元中央音楽隊隊長の野中さんとも何十年ぶりかで会えた。
ちなみに團伊玖磨作曲『祝典行進曲』は、
昭和34年4月10日、
馬車パレード後の夕刻5時から明治神宮外苑の国立競技場で行われた
《皇太子殿下ご成婚を祝う夕》で初演。
その時に演奏したのは、
陸自中央音楽隊、海自東京音楽隊、空自航空音楽隊、警視庁音楽隊、東京消防庁音楽隊、皇宮警察本部音楽隊、米空軍第5音楽隊の7バンドの合同演奏だった。
当時の音源を探してみたが…見つからなかった。
先だってAdoさんのコンサートで音響問題を取り上げていた記事を読んだが、
競技場などの広い屋外会場では音の回り込みがあるため、
自分の演奏した音が遅れて聞こえたりするため、演奏しづらい。
65年前の初演時はどうだったのだろうか?
今度、初演メンバーにお会いした時は、
当時の話を詳しく聞きたいものだ。
スーパーシニア音楽団・楽悠の祝典行進曲2019年の演奏動画はこちら
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