町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

東上線に現在も残る東武10000系・未更新車

2022年05月01日 | 東武鉄道

東武東上線〜営団有楽町線直通運転開始に向け、東上線には初のステンレス車両として1981年に9000系の試作車である9101Fが配置されますが、当時残存していた鉄道省割り当ての63形が前身の73007800系グループ置き換えと列車増発に向けての地上専用汎用通勤車の導入を進める事になり、9000系の増備は一時中断され1983年より10000系が登場しました。同年1222日から東上線で運用を開始し、1984320日からは伊勢崎線・日光線でも運用を開始しています。現在伊勢崎線所属の268両はリニューアル工事が施工されていますが、東上線所属の10両編成は未だ工事を施工されないまま運用に就いており、登場時に近い姿を現在も保っています。

直線的なイメージだった9000系に対して丸味を持たせたデザインになった10000系。この編成は11003F11006F4本が在籍し、当初8両編成で11803F11806Fを名乗りましたが、輸送力増強の為に1989年に中間車2両を増結して現在の車号に改められました。10両編成は営業運転で他車と連結することは有り得ないので、他編成が自動分併装置を備えた密着連結器に交換された後も登場以来の密着自動連結器のまま存置されています。

かつては8両編成の11801F11802Fも所属し、2008年には増結用として11201F11202Fが伊勢崎線から転入して来た事もありましたが、30000系の転属により先ず11802F11202F2014228日に館林作業所に入場しリニューアル工事を施行、同年724日には11801F11201Fが施行され伊勢崎線系統に転出しています。

200691日からは東京メトロ有楽町線にも10000系が登場し相互直通運転を開始した為、東上線内では10000系同士並ぶ場面も見られるようになりました。形式は被っていますが付番の方式が全く異なる為、特に問題は無いようです。

車内はグリーン系のロングシートを配置していますが、登場当初はコロラドオレンジと呼ばれる色のモケットで、11606Fより現在の仕様になり他編成も交換されました。ステンレス無地のドアに金属管構成の座席袖仕切りなど、9000系試作車とほぼ共通ですが、戸閉装置は8000系以来の座席下収納式から鴨居設置式に改められ動作音が静かになりました。

現在のところは安定した活躍を見せる10000系ですが、来年で登場から40周年を迎えることや、マイナーチェンジ車である10030系に余剰廃車が生じたこともあり、バリアフリー非対応で残る10000系にも何らかの動きが生じることが予測されます。

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野田線に新風を巻き起こした東武60000系

2022年04月25日 | 東武鉄道

東武野田線は、埼玉県の大宮と千葉県の船橋を結ぶ全長62.7キロの路線で、東武鉄道では伊勢崎線・日光線・東上線に次ぐ基幹路線に位置付けられています。起源は千葉県野田市より全国に醤油輸送を行う貨物線として開通したのが始まりで、同市に本社を置くキッコーマン内の貨物駅より1985年まで鉄道貨物輸送を実施していました。同時期からは沿線の宅地開発が進行し、通勤通学路線としての需要が高まるものの車両面は他線区からの転用車両を使用しており2000年代半ばまで吊り掛け駆動の5000系列が運用されるなど近代化からは遅れを取っている印象が否めませんでしたが、2012年に野田線向け新型車として60000系の導入が発表され、2013615日より運用を開始。翌年201441日からは「東武アーバンパークライン」の愛称を制定するなど大きな変化を見せました。

20132015年に掛けて、18編成108両が製造された60000系は野田線の前身である北総鉄道(現在の北総線とは無関係です)→総武鉄道時代に製造された車両を除き1944年に東武鉄道に吸収されて以来、実に69年目にして初の新型車両となりました。それまでは伊勢崎線・東上線からの転用車を長らく充当するのが慣例(同時期に運用を開始した10030系や現在も残る8000系は他線区からの転入車)でした。

50000系グループをベースにした日立製作所製A-trainの一員ですが、正面形状はアレンジを加え新たに東武鉄道の企業カラーであるフューチャーブルーと、豊かな自然環境を表したブライトグリーンの配色で沿線風景に調和するデザインを目指しています。全編成が一貫して野田線で運用され地下鉄やトンネル区間への乗り入れは行わないものの、非常用貫通扉を備え内側には脱出用の梯子も設置されました。

車内は白を基調に妻面を木目調、座席は水の流れをイメージした青系の座席で爽やかな雰囲気を演出しています。東武鉄道では初の公衆無線LANサービスも本系列より開始しました。強化ガラス製の貫通扉には沿線自治体の市の花をデザインしたステッカーが貼られ、「桜※埼玉県さいたま市・同市大宮区」クハ61600+モハ62600)・「藤※埼玉県春日部市」(モハ62600+モハ63600)・「向日葵※千葉県柏市・船橋市」(サハ64600+モハ65600)・「躑躅※千葉県野田市・流山市・松戸市」(モハ63600+サハ64600)「桔梗※千葉県鎌ヶ谷市」(モハ63600+クハ66600)となっています。

ドア上の車内案内表示器は5007051076編成以降より採用されている17インチ液晶画面を採用しました。戸閉装置は電気式ですが、ナブテスコ社製が新開発したRack☆Starを搭載しています。

現在は増備が止まっている60000系ですが、依然として車齢の高い8000系も残存しているため、近い将来増備が再開されるかに注目ですね。

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東上線地上運用に転じた東武30000系(後期車)

2022年03月31日 | 東武鉄道

東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線への直通運転対応車として製造されながら、乗り入れ開始後僅か3年後の2005年より50050系増備による地上線転用、20111月からは老朽化する8000系置き換えや車両改修工事の効率化を目的とする東上線への転属が開始された30000系ですが、2020年には31606F31406Fが半蔵門線・東急田園都市線への直通運転を終了、2021年には31609F31409Fが運用離脱並びに東上線転属が行われ、初の転用から実に10年の歳月を掛けて150両全車が東上線に集結、本来の用途である地下鉄直通運用から全面撤退となり池袋駅発着の東上線地上運用の主力車両として活躍しています。

30000系の中では後期車に分類される31612F。この編成は20064月に51056Fに乗り入れ他社の保安装置を供出し伊勢崎線・日光線系統の地上専用車になりました。東上線への転属は2014710日で、13日から営業運転を開始しています。2022319日にはHIDだった前照灯のLED化と行先・種別表示のフルカラーLED化を実施し、印象が変化しました。今回新たに採用されたLEDは耐久性が高く、撮影時は1000分の1のシャッタースピードで設定しましたが綺麗に写りました。他編成も順次フルカラーLEDに換装されると思いますが、31612Fと全くの同一品になれば嬉しいですね。

比較的早期に転属が実施された31611F。東上線に一番最初に転用されたのはトップナンバーの31601F(2011126日に南栗橋から森林公園へ回送、同年613日より運転開始)でしたが、本編成は2本目で20111128日より営業入りしました。

車内設備。初期車は背の低い仕切りでしたが、後期車(31607Fから)は背の高い大型仕切りに変更され7人掛け座席にはスタンションポールが最初から設けられ2連ユニット窓の片側は固定式になるなど仕様の見直しが図られました。なお、袖仕切りの色は淡い青系で最終増備の31615Fのみ白いものが採用されていましたが、行先をフルカラーLED化した31612Fも白い仕切りに換装されているようです。

新製時からドア上に千鳥配置される車内案内表示器。向かって左に種別・行先を固定表示、右に次停車駅などの内容をスクロール表示する形態は、日比谷線直通用の20070(現在は20400系化)が踏襲しましたが、50000系列や10000系リニューアル車ではシンプルな1行表示に戻り、本系列のみで見られる仕様となりました。

全編成の転用改造が完了したばかりなので、今後も30000系は東上線で長期間に渡る活躍が見込まれると思いますが、ゆくゆくは大規模リニューアル工事にも期待したいですね。

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地上線区間の主力、東武鉄道10030系(未更新車・東上線)

2022年03月28日 | 東武鉄道

東武鉄道は1983年より地下鉄有楽町線直通用の9000系をベースにした地上専用通勤車として10000系を登場させましたが、1988年からの増備車は正面形状を8000系修繕車に類似した形態とし、凹凸の少ないビードプレス車体やボルスタレス台車の採用など各部に設計変更を実施した10030系に移行しました。主に伊勢崎線・日光線の末端区間や野田線で当時運用されていた旧性能車の更新車で非冷房の3000系列置き換えの為に導入され、1989年からは東上線にも配置されるようになり自社線内の主力車両になりました。2013年からは8000系置き換えの為に伊勢崎線系統から野田線への転属も発生しており、系列内ではバリエーションも多く存在し趣味的な興味も尽きないグループです。

1989年に登場した10両固定編成の11031F。運用に柔軟性を持たせる為に本線・東上線共に6両と4両で導入していましたが、当編成と11032Fの2本は先頭車が中間に入らない10両貫通とされ収容力が向上しました。なおもう1本の11032Fはリニューアル工事とVVVFインバータ制御化を施工され、大きく姿を変えています。

同じく東上線所属の11634F(後部411455F)1990年の新製導入以来、一貫して東上線で運用される編成です。11032F以降は再び6両と4両が中心になり、当編成は6両編成でしたが201210月に11455Fと組み事実上10両固定編成とされ、中間に入る先頭車は前照灯や運転台機器撤去、転落防止幌の設置を行い付随車化されています。

現在のところ東上線所属車のみで見られる中間に封じ込められた元先頭車。小田急電鉄や京王電鉄は6両+4両の10両貫通化に際して前頭部を切断し新たな車端部を接合する大工事を行なっていますが、東武鉄道では最低限の改造に止まっている他、車両番号の末尾を特に揃えていないなど方針の違いがよく現れている部分です。

車内設備は9000系・10000(更新前)と基本的に共通ですが、客用扉内側はステンレス無塗装から化粧板仕上げになり印象が変化しました。写真は1990年までに製造された30番台車で、1991年の増備車では吊り手が三角形になり、1992年度からの50番台では補助送風装置(ラインデリア)が設けられています。

現在はリニューアル工事を施行された編成も存在し、今後も活躍しそうな雰囲気ですが、一方で未更新のままの編成も数多く残っており、近い将来の8000系完全置き換えなどとも関連して何らかの動きが発生することが予想でき、今後に注目したい形式です。

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東武6050系、日光線・鬼怒川線から事実上引退へ

2022年03月15日 | 東武鉄道

東武日光線(南栗橋〜東武日光間)・鬼怒川線普通列車は312日より20400系によるワンマン運転を開始し、1986年以来活躍して来た6050系が鬼怒川温泉以南での運用を終了しました。日光線・鬼怒川線共に関東大手私鉄では珍しく、クロスシート主体でトイレ設備を備えた車両が運用される路線でしたが、今年のダイヤ改正で普通列車は全てロングシート・トイレ無しの一般的な通勤型電車に統一される事になりました。

6050系最後の運用を担当したのは日光線開通90周年を記念して先代6000系の塗装を再現した6162F6179F4両編成でした。国鉄と競合していた東武日光線では、長らく特急車以外にも特別料金不要なクロスシートの快速・普通列車が運用されて来ましたが、その歴史に終止符が打たれた事になります。

20400系への置き換えが進捗しながらも、新藤原600発の区間急行の折り返しである南栗橋824分発の新藤原行きは6050系固定で最後まで残り途中の下今市では会津田島からの東武日光行きに、終点新藤原では野岩鉄道・会津鉄道の会津田島行き(どちらも6050系で運用)に接続する貴重な列車となっていました。

元・地下鉄直通車と快速用2扉クロスシート車が共存する光景も終焉です。312日からは野岩鉄道新藤原〜会津高原尾瀬口間の運用が基本になり、夜間に僅かに鬼怒川温泉までの運用が設定されるのみとなります。

リバイバルカラー編成の車内。先代6000系のイメージに近づけるべく、らくだ色と呼ばれる金茶色のモケットに交換されており通常の6050系とは大きく印象が異なります。2019年に6162Fがリバイバル化された際は各種団体ツアーにも充当されました。

先代6000系を更新する形で登場し、その後は首都圏から東北地方の会津を結ぶ長距離ランナーとして長らく君臨した6050系ですが、遂に東武鉄道の路線からは事実上引退を迎えることとなりました。野岩鉄道に残る編成についても、遠くない将来の引退が予想されますが、その際はどのような車両運用になるのか、今後に注目したいと思います。

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