富士急行では2012年よりJR東日本の205系を改造した6000系を譲受し、それまで主力だった1000系の置き換えを進めますが2018年に導入された埼京線用0番台を改造した6500番台は富士急ハイランド内に設けられた「きかんしゃトーマス」のミニテーマパークである、トーマスランドのラッピング車として運用を開始しました。車体のみならず、車内設備も物語の主人公トーマスとその仲間達がラッピングされる本格的な仕様です。
下降式の側窓と寸法を拡大したドア窓を備えるJR東日本独自仕様をベースとした6500番台6502編成。富士急行に在籍する6000系の中では唯一の形態で、種車は川越車両センターに在籍していたハエ28編成のうち、モハ205-287(クモハ6502)+モハ204-287(モハ6602)+クハ204-107(クハ6552)を転用しており、クモハ6502は通常の先頭車から移植する形で接合する改造を施しています。写真は2023年夏で、この時まで大型ヘッドマークを掲げて運転されていましたが、最近は外されています。
特別仕様として注目される6502編成ですが、JR東日本の205系時代も埼京線・川越線で最後まで活躍し、新製時の1989年から1996年までは京浜東北線に配置され、1991年から約7ヶ月間は山手線に貸し出され運用されたことがあるなどオーソドックスな見た目に反して、異色な経歴を辿った編成でもありました。
初代トーマスランド号は富士急行が独自に設計・製造した5000系が就いており、2019年2月23日まで運用されていました。1975年に製造された富士急行初の冷房車で、地方私鉄にしては意欲的な設計でしたが老朽化と部品の枯渇で6000系に置き換えられることになり、本系列の引退で富士急行の自社発注車は消滅となりました。現在は写真のモハ5001(相方の5002は解体)が下吉田駅構内にて保存されています。
車内も全面的にトーマスのキャラクターでラッピングされ、座席モケット、ブラインドにドアステッカーまで専用のものが用意される凝り様です。ちなみに車内案内表示器はLEDを採用していましたが、本編成よりLCD表示になりました。運用は富士急行のホームページで公開されており、狙って乗車することも可能になっています。