京王電鉄では、2018年10月4日に9000系30番台1編成をサンリオキャラクターズのフルラッピングトレインとして運転することを発表し、多摩市市制記念日並びにハローキティの誕生日でもある11月1日より京王線〜都営新宿線で運転を開始しました。この取り組みは、国内外の観光客にサンリオピューロランドがある多摩市への誘致を狙うべく京王電鉄・サンリオエンターテイメントと多摩市によるコラボレーションで実現した地域活性化プロジェクトです。運転開始日には京王多摩センター駅で記念セレモニーも実施され、大きな注目を集めました。
ラッピングトレインに抜擢された30番台の第1編成である9731F。運用範囲が広く、より多くの利用者にPR出来る為、都営新宿線直通対応編成が指定されたようです。京王とサンリオは何かとタイアップを行うことが多く1998年頃から2012年後半頃まで、ドアの注意喚起ステッカーにハローキティとその妹のミミィを起用していた事もありました。また2016年には京王多摩センター駅構内をピューロランド仕様に改装することに合わせて同年3月12日から8月31日まで9749Fにラッピング(この時は車体にリボンや京王の制服を来たキャラのイラストが貼られるに留まっていました)を施した事がありましたが、期限を定めないフルラッピングトレインは今回が初の事例です。
普段は橋本〜本八幡間の運用が中心で滅多に日中に調布以遠には来ない9731Fですが、直通専用に固定されているわけではないので時には京王線特急運用に就く姿も見られます。当初は先頭車にヘッドマークの掲出がありましたが、現在は外されました。なお、実現に当たっては東京都屋外広告物条例が壁になるところですが、キャラクターの占有面積を厳守し下地のピンクは「京王電鉄のカラー」としてクリアしているとのことです。
車内設備は前回記事にした後期車(9736F以降)と比較すると、貫通路幅が狭い他、車内案内表示がLEDスクロール式であること、手摺り形状やドア手掛けの位置も異なります。花とキャラクターのイラストが描かれたドアステッカーは9731Fだけの特別仕様で、運転開始からしばらくは広告物もサンリオ関連で統一されていた時期がありました。
9731F〜9735Fの5編成の車内案内表示器は京王線用8両編成と同様にLEDスクロール式で行先・次停車駅・開扉方向などを表示しており、都営新宿線内の表示にも対応しています。
首都圏での大手私鉄でキャラクター物のラッピング電車は珍しい存在ですが、これより約4ヶ月前には山陽新幹線で車体のラッピングは勿論大幅に車内を改装した列車が登場しました。今や「Kawaii」の代名詞として英語圏でも親しまれ日本を代表するキャラクターとしての地位を築いたハローキティですが、そのブランド力の強さを改めて感じさせられます。