2007年より1000形ステンレス車の増備を開始してから8年目となる2015年には、15次車として6両と4両が2編成ずつ落成しました。この内の6両編成である1367編成は、車体はそのまま東芝製の永久磁石同期同期電動機(PSMS)を採用、4両編成は2本を併結した8両で都営浅草線直通を可能にするべく、正面中央に常用貫通路を設置する構造に設計変更されるなど、特異な仕様の編成として異彩を放っています。4両編成では、貫通式正面だけではなく、伝統的な赤い電車のイメージを持たせるべくカラーフィルムで紅白塗装を再現し、翌年の16次車にも反映されることとなりました。
4両編成単独で本線普通列車運用に充当中の15次車。紅白の塗装をフィルムで再現しています。丸みのある通常の1000形ステンレス車と比べると、平面的な正面スタイルが特徴で、別形式のようにも見えます。8両編成が重要部検査などの理由で不足した際など、フレキシブルな運用を実現出来るように設計され、実際に貫通路と幌を使用した2編成併結の8両で浅草線直通の他、成田スカイアクセス線の運用にも入りました。しかし、あくまで予備車ということか普段は単独で写真の普通列車や、12両快特の増結と浅草線には直通しない新逗子〜羽田空港間のエアポート急行などの運用が主体のようです。
本線特急に充当される16次車8両編成。塗装車体の17次車と比較すると、ドア周辺や窓枠などに銀の地肌が現れており、一目で判別出来ます。東京メトロなどはアルミ車体に同じ技法で昔の車両の塗装を再現しており、京急もその流れを汲んで16次車のスタイルが主流になるかと思いましたが、結局は伝統を重視し塗装車体を復活させたことには非常に驚きました。
15次車の車内は基本的に既存の無塗装ステンレス車を踏襲しており、オールロングシート配置にステンレス製ドアの仕様を受け継いでいます。変更点は主に乗務員室周り(非常用梯子の設置スペースを客室内側に確保したため旅客の店員が2名減少、仕切り扉を引き戸式に変更)に集中しており写真では変化が分からないですね(残念ながらこの日は先頭車に人がおり撮影が出来ませんでした…)
16次車車内設備。この編成から車端部ボックスシートや化粧板仕上げのドアが復活して、簡素(実際はそれなりのコストが掛かってますが)な印象があった15次車(15次車まではロングシートにメーカー標準品のステンレスドア)までの印象が払拭されました。17次車とは座席端の袖仕切にある透明な部分の形状が僅かに違い、液晶画面も通常の17インチ画面を2台と1台+紙の路線図の千鳥配置になっている点が異なります。
今や関東大手私鉄も標準化が進行して没個性化とも言われることが多くなりましたが、限られた制約の中で個性と伝統を守ろうとする姿勢は高く評価したいですね。
※2019年の記事を修正