成田国際空港へのアクセス輸送を担う京成電鉄の特急スカイライナーは2023年12月30日で運転開始から50周年を迎えることになりました。当初は成田空港開港の遅れから京成上野〜京成成田間のノンストップ特急として運転され、成田空港開港の翌日である1978年5月21日より東京都心部へのアクセスを一手に引き受ける事になり、1991年には成田空港直下(第1ターミナル)への乗り入れと初代AE形に代わるAE100形の登場、並びに競合関係となるJR東日本の「成田エクスプレス」が運転開始し、都心からの空港アクセスルートは長らく両者が共存する形となりました。その後1999年より更なる速達化の為、北総線を経由するルート実現に向けて検討委員会が発足し2002年には新線区間建設と施設保有の事業者が設立され、2010年の開通を目標として計画が具体化しました。これが現在の成田スカイアクセス線(京成成田空港線)で、一部区間で160キロ運転を実施する為、AE100形に代わる高速運転対応の新型車である2代目AE形が登場し、2010年7月17日より運転を開始しています。
AE形の車両デザインと新ロゴマークは世界的ファッションデザイナーの山本寛斎が担当したことで話題を呼び、「風」をテーマにしたデザインとしています。現在は何かとタイアップ企画や特別装飾も見られ、写真は「KENTY SKYLINER」として運用している第4編成で、ケンティーこと男性アイドルグループSexy Zoneのメンバー中島健人が演じる「京成王子」をモチーフにした仕様です。車外のラッピングのみならず、座席の枕カバーが特別仕様になっている他、本人による車内アナウンスも流れています。
50周年を迎えた2023年12月30日からは記念行事が発表され、京成上野・京成成田の両駅には記念装飾が施すと共に、AE3編成に50周年記念マークの掲出が実施されました。来る2024年3月9日には初代AE形の機器流用車である3400形と共に、50周年記念ツアーも実施予定です。
車内は開放感を出す為に大型化した連続窓と天井をドーム型とし、更に2代目AE形と比較して照明装置を2倍設置して明るさと落ち着きある空間を演出しています。
デッキとの仕切り扉上に設置される車内案内表示は国内の鉄道車両向けとしては最大の26インチ画面を設置し、日本語・英語・中国語・韓国語の4ヶ国語による情報提供に加え到着直前には英語、アラビア語、ドイツ語、ヘブライ語、スペイン語、中国語、スワヒリ語、トルコ語、韓国語、イタリア語、モンゴル語、ポルトガル語、ロシア語、フィンランド語、ヒンディー語、マレー語、ペルシア語、フランス語、タイ語、日本語の20ヶ国語で「ありがとう」のメッセージを表示します。
今後成田空港は、C滑走路の新たな建設と分散しているターミナルの集約を計画しており、現在の成田空港駅(第1ターミナル)を廃止し第2ターミナルの南側に新たに建設するされる見込みです。計画は2029年3月下旬の完成を目指しており、夏頃には提言を纏める旨が発表されていますが、実現の暁には空港アクセス特急としての重要度が更に高まります。完成後も2代目AE形が主力としてフルに活躍することと思いますが、完成予定の年は19年目を数え初代AE形が置き換えられている年に近づきます。海外からの旅客が一番最初に利用するであろう日本の鉄道車両ということで、ここはアッと驚く新型車の登場も期待してしまいますね。