常磐線の直流電化区間である上野〜取手間で運転される快速列車には国鉄時代の1967年以来103系電車が主力として用いられ、JR東日本発足後の1987年からは10両+5両を併結した通勤型電車では最長となる15両編成での運転も開始されました。これらの置き換えのため、中央・総武緩行線に次いでE231系0番台が増備されることになり2002年3月3日より運転を開始しました。中央・総武緩行線向け車両の仕様を基本としながらも分割・併合に対応する機能や旅客へのサービス向上対策でVIS(情報提供装置)とJR東日本の通勤車両ではワンマン列車を除いて自動放送装置が搭載されるなど、機器類は更に進歩しています。
白い前頭部マスクにエメラルドグリーンとウグイスの二色の帯を巻いていますが、当初は103系のカラーを引き継いだエメラルドグリーン単色でした。しかし千代田線と直通する常磐緩行線との違いを出すため営業運転開始直前にウグイスの細い帯が加えられています。現在のJR線で全車両が普通車の通勤車で15両運転を行うのはこの常磐線快速のみとなっています。2015年には上野東京ラインの開通に伴い、朝夕通勤時間帯に東海道本線の品川まで乗り入れる運用も設定されました。
10両基本編成の取手側と5両編成の両側先頭車には自動分併装置が搭載されており、常磐線の15両の他に成田線の我孫子支線では10両編成・5両編成がそれぞれ単独での運用の他に5両編成2本を併結した10両が見られます。行先表示器には行先駅名のみを表示している仕様でしたが、上野東京ライン開通による品川までの運転区間拡大を受けて路線名と行先駅名を交互に表示するように改修されています。また2007年よりスカートを尖った大型のものに交換したため、登場時に比べて正面の印象が変化しました。現在は前照灯のLED化が進行していますが、こちらは相模線から引退し廃車になった205系500番台の流用品だそうです。
車内はロングシートで中央・総武緩行線向けと同様ながら、暖房器を斜め吊り構造にすることで、暖房効果を高めている他、車端部の荷物棚を僅かに延長するなど微細な見直しが図られています。ドアは半自動機能はありませんが、折り返し待ちや待避などで長時間停車することもあるため、「3/4閉」機能が乗務員室のドアスイッチに追加され、3箇所のドアを締め切ることが可能になっており後年追加されたドア注意ステッカーの車外側にも案内があります。
0番台ながら乗客視点で一番違うのがこのLED2段表示を可能にした車内案内表示装置で、次の停車駅や乗り換え案内、開く扉の方向や運行情報などを表示し情報量が大きく向上しました。この設備は1000番台国府津車両センター配置分と2007年度の小山車両センター向け増備車にも採用されますが、常磐線快速では始発駅で主な駅への所要時間も表示している他、下の段に表示する案内の文面が他線区では「この電車は、〇〇線です」に対し「この電車は快速〇〇行きです」と表示するなど色々他線区とは違いが見受けられます。
早いもので初登場から23年目を数えますが、現在はVVVFインバーター制御装置も更新が完了しサービス面でも遜色ないことから、まだまだ長い期間活躍しそうです。