組織の概要と参加国
2.アラブ連盟
アラブ連盟(Arab League, 略称AL)は20世紀前半のアラブ民族主義の高まりを受けて1945年3月、エジプト、イラク、サウジアラビアなど中東のアラブ7カ国により結成された。加盟国は22カ国とPLO(パレスチナ解放機構)である。エジプトが主導した経緯から本部はカイロに置かれ、エジプトがイスラエルと単独和平を結び連盟から除名された1979年から1989年までの10年間を除き、連盟本部はカイロに置かれ、事務局長も歴代エジプト人である。
連盟の主導権はエジプトが握り、創立以来イスラエルーパレスチナ問題を最重要視しており、イスラエル・ボイコットを主導してきた。君主制国家、強権独裁主義国家が混在する連盟は当初から結束力に欠け、2011年の「アラブの春」運動も当初は静観していたが、民衆弾圧問題でシリアを除名処分にした。しかしロシアとイランのバックアップでアサド政権が安定すると今年に入り復帰を決議している。
連盟はアラブ民族の共同体である。従ってMENA域内のアラブ国家はすべてメンバーであるが、域内であってもアラブ民族以外のイスラエル(ユダヤ民族)、トルコ(トルコ民族)、イラン(ペルシャ民族)は対象外である。ただアラブ民族と言うことだけが共通項であるため、国境問題など個別利害問題に対する調整力が弱く、対外的にも対内的にも実行力に限界が見られる。
(続く)
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