二つ星の空

(旧「風からの返信」-11.21.09/「モーニングコール」/「夢見る灯台」/「海岸線物語」)

風立ちぬ、いざ、生きめやも

2013-08-14 23:20:46 | Weblog
ヴァレリーの詩を、これだけ多くの日本人が意識するようになったのは、堀辰雄が「風立ちぬ」を発表した時代以来だろうか。

タイトルは堀辰雄氏の訳。原語は以下の通り。

Le vent se lève. Il faut tenter de vivre !
「風が立つ。生きようと試みなければならない!」
(ポール・ヴァレリー「海辺の墓地」より)

ジブリの新作映画「風立ちぬ」は、零戦の設計者である堀越二郎氏と、昭和初期の作家である堀辰雄氏に捧げる、とされている。


作品中には、英国詩人クリスティーナ・ロセッティ女史の「風」も出てくるらしい。どさくさに紛れて、ご紹介。

The Wind

Who has seen the wind?
   Neither I nor you;
But When the leaves hang trembling
   The wind is passing thro'.

Who has seen the wind?
   Neither you nor I;
But when the trees bow down their heads
   The wind is passing by.

「風

誰(だれ)が風を 見たでしょう
僕(ぼく)もあなたも 見やしない
けれど木(こ)の葉を 顫(ふる)わせて
風は通りぬけてゆく

誰が風を 見たでしょう
あなたも僕も 見やしない
けれど樹立(こだち)が 頭をさげて
風は通りすぎてゆく」
(訳:西條八十)

おいら、西條八十氏大好きなので、敬意を表して氏の訳を掲載。(問題等ご指摘あれば削除します。)


実は、ロセッティ女史の詩は、こちらの詩も印象に残っている。

What are heavy? Sea-sand and sorrow:
What are brief ? To-day and to-morrow:
What are frail? Spring blossoms and youth:
What are deep? The ocean and truth.
「重いものってなあに? 海の砂と哀しみ。
 短いものってなあに? 今日と明日。
 儚いものってなあに? 春の花と若さ。
 深いものってなあに? 大洋と真実。」
(訳は試訳)

夕日を見ながら、幼い子と大人が問答しているような、素朴な、でものっぴきならない痛みもわずかに感じさせる、そんな詩だ。


高校3年の頃、親友が堀辰雄と立原道造を愛読していて、ある日「読め」と助言してくれた。
残念ながら当時の自分は、漫画「ドカベン」以外では、武者小路実篤とか高村光太郎に傾倒していて(その後、なぜか北原白秋とか泉鏡花に路線変更するのだが)、ちゃんと堀辰雄の世界を理解することができなかったように覚えている。立原道造も。今考えるともったいない。

「海潮音」は好きだった。それは今も揺るぎない志向性(苦笑)。

閑話休題。

「風立ちぬ」も見たいけど、いつ行けるかな。「スタートレック・イントゥ・ダークネス」も見たいけど、3Dは吹き替え版ってのがなぁ。
まぁ、適当なことぼやいてないで、崖っぷちから落ちないように精進します(汗)。

毎日暑いね。みんな元気で。
コメント
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