中日新聞の連載
【がんがつなぐ足し算の縁】笠井信輔(28) 活用したい相談窓口
2023年1月24日
治療情報の宝庫 すぐにでも電話を
「私も行きました。一人で抱えていたものを吐き出し、大泣きし、そしてプロのアドバイスをもらって、スッキリし心が楽になりました」
とてもすてきな経験談です。
これは私の講演会に来てくださったがん経験者の方からのお便り。
どこで「心が楽になった」のか? それは「がん相談支援センター」。
全国453カ所のがん拠点病院の中にあり、がん患者でも、その家族でも、がんになっていない人でも、患者さんの友達でも、恋人でも、誰でも利用できます。
自分の通っている病院以外の相談センターに聞いてもOK。
電話して自分の名前を名乗らなくてもいいのです。
がんになった人にとって重要なものは2つ。「お金」と「情報」です。
そして、令和時代はますます「情報」が重要になってきています。
病院によって治療結果に格差が生まれているので、「経験値の豊かな病院を選びたい」と誰もが思います。
「治療法は手術? 抗がん剤? 放射線? どれを選べばいいのか?」「お金が足りない、どうすれば?」「セカンドオピニオンを受けたいが、どこに診てもらえばいいのかわからない」。がん患者やその家族の悩みはつきません。
こうした相談になんでも乗ってくれるのが「がん相談支援センター」。
「そんなつまらないこと聞かないでください」なんて絶対にいいません。
私は、「笠井信輔のこんなの聞いてもいいですか」というがん啓発のユーチューブ番組に3年前から出演しています。
その番組で相談員の方にお話を聞きました。
意外と多い相談が「主治医とウマが合わない」「主治医の治療方針に委ねられない」という相談。
医師も神ではないので、患者さんとうまくいかないこともあるんだそうです。
自分の病院の先生の苦情なので、相談しにくい場合は、どこかよその病院の相談センターに電話してみるのもいいでしょう。
しかし、意外と効果的なのは自分の病院の相談センターに相談することだとか。
そうした先生は、苦情のような相談が複数寄せられていることがあるので、相談員が間に入って、問題解決の道筋をつけるなんてこともやるそうです。ほんとにありがたい窓口です。
先日、とある大きな有名病院で偶然、「がん相談支援センター」を見つけたので訪ねると、すいているのになかなか対応してくださらない。するとやっと現れた相談員が「すみません。相談員私1人なんで」。驚きました。
病床数は1000以上。1日の外来者数2000人規模の病院にがん相談支援センター相談員がたった1人!
以前は人数も多く、よい場所にあったのに規模縮小。実はこれ、この病院に限ったことではないそうです。
認知度も低く、利用者が少なければ縮小されていくのが世の常です。
しかし、無駄でも、無価値でもない。
こんなに素晴らしい「無料」の相談窓口が全国にあることを知らない人が多すぎるのです。
何か困ったり、不安に思ったりすることがあったら、すぐに電話してみてください。
次回は2月7日です。
かさい・しんすけ 1963年生まれ。フジテレビのアナウンサーとして情報番組「とくダネ!」などを担当。フリーになった直後の2019年、血液のがん「悪性リンパ腫」のステージ4と診断された。現在は、がんが体から消える「完全寛解」の状態。59歳。
以上です。
前回も「「がん相談支援センター」の事が書かれていました。
どうもあまり利用する方がいないようです。
「がん相談支援センター」という窓口があることをご存じない方が多いようです。
青春 松山千春