ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

夢遊病の女

2009年03月02日 | 音楽とわたし
ブラボー!素晴らしい!ありがと~ナタリー!体中鳥肌立っちゃったよ~
先日、S子達との観劇で座ったファミリーサークル、今回は更に、同じ階のボックス席を経験しました。
高い位置にあるとはいえ、限りなく舞台に近い所にあるので、歌手さん達ももちろんのこと、オーケストラの様子も、プロンプター(舞台下の穴蔵に待機して、忘れそうになった歌手さんを助ける役の方)の手の動きまで丸見えです。
なかなかに楽しく面白く、斜めからの舞台も悪くなく、これが20ドル弱の眺めなんてめちゃお得!と思います。
9年目にしてやっと、こういう聞き方もできると教えてくれたS子とAちゃん、ほんとにありがとう。
こんなに近くに住んでいるんだからもったいないです。って……今日みたいにスカスカラッキー!と勢い良くトンネルの中に突入した途端、事故ですっかり車は停車、1時間余もトンネル内に閉じ込められる、みたいな目にも遭ったりもしますが……
まったくもって焦りまくりました。せっかくAちゃんとの待ち合わせ時間に余裕で着くはずだったのに、ハドソン川の底に向かってどんどん下がっていく途中でピタ~ッと止まっちゃって……軽い閉所恐怖症のわたし……薄らと煙が立ちこめてたりした現場に近づく頃には、かなり気分的にヤバヤバでした

さて、お話はとっても単純。なんといってもオペラですもんね。
ラブラブのエルビーノとアミーナが、結婚を間近に控え今まさに幸福の絶頂に。
ところが、アミーナは夢遊という病にかかっていて、それを知らない村人の間では、幽霊が出るとの噂がたっていたのでした。
そこに、領主の息子で、随分前に誘拐されて行方不明になっていた男性が戻ってきて、事もあろうに、アミーナは夢うつつでその男性のために用意された部屋にやって来、そのまま彼のベッドに入って眠ってしまいます。
すっかり誤解したエルビーノ、前々から彼を好いていたリサと結婚することに。
けれども、リサもまた、領主の息子に抱きしめられ、その気になったことがバレちゃって話はご破算に。
絶望するエルビーノの前に、眠ったままフラフラと歩くアミーナが現れ、すっかり誤解が解けてハッピーエンド。

舞台設定がとても変わっていて、そのオペラに出るための歌手達がリハーサルをしている、という設定だったので、
役者の衣装はまったくの普段着、黒板にこれからこれを練習するよっていうタイトルをチョークで書いたりして、ちっちゃなギャグがあちこちに出没。
エルビーノ役のテノールJuan Diego Fitchさんと、アミーナ役のコロラトゥーラNatalie Dessayさんが爆裂に素晴らしい声を聞かせてくれたので、
他のアルトやバリトンの方達も素晴らしかったのに、すっかりかすんでしまってお気の毒でしたが、とても質の高いオペラを聞けて大満足。
それにしてもあのふたりのデュエット、透き通っていて、満席の会場の隅々にまで行き渡る余裕があって、極楽気分を味わうことができました。
ナタリーさん、華奢で、美しくて、ダンスも上手で、どんな姿勢でもどんなピアニッシモでも情感豊かな声を聞かせてくれました。
特に、男性2人に軽々と持ち上げられたとても不安定な状態で、超高音をヒャ~ッと出した時、Aちゃん、目が・になってました。
足元がしっかり地についてない状態で、あんな音がだせるかぁ~?と、同業者としてかなりショックを受けていたようです。
ただ、クライマックス直前、夢うつつで舞台に現れたナタリーさん、さあこれから切ないアリアを歌いまっせ~という時に、
舞台奥の黒板の前に立ち、チョークでなにやら書き始めまして、なになに?と覗いたら、で~っかい字で『ARIA』と……。
はいはい、これからわたし、アリアを歌いますってことね。ちょっと苦笑してしまいました。演出、徹底してましたね。
あと、夢うつつで歩いてくる彼女、なんと客席を歌いながらやって来ました。こんなのは今までに見たことがなく斬新でした。
でも、カーテンコールでは、歌手にはブラボーと賞賛の叫びの嵐でしたが、舞台演出家さん達が登場すると激しいブーイング?!ニューヨーカー恐るべし。
そうそう、休憩の時にロビーに出ると、ジャージー姿の女性と長靴にズボンの裾を思いっきり突っ込んだ女性発見!……ニューヨーカー恐るべし。

横に座っていたAちゃん、観劇中何回も唸ってました。参った……っていう感じで。
帰りの道で、「やっぱああいう人達が世界を股にかけるんだよ」としみじみ。
でもねAちゃん、わたし、あなたのファンとして思うけど、どこを根拠として歌ってもええやん。ああ、またあの人の歌を聞きたいなあって、心待ちにしている人が居て、歌を聞きながら嬉しくなったり癒されたり泣いたり、そんなファンがいっぱいいるあなたは、素晴らしい歌手だよ。

明日また、レッスンを受けたり美術館に行ったりして大忙しのAちゃん。明後日にはもう日本に向かいます。
きっと来年勉強しにおいでよね~。待ってるからね~。56通りと9番街の角っこで、ギュウッとハグして別れました。
ほんとにいっぱいありがとう
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再びの大雪

2009年03月02日 | ひとりごと
今年はほんとによく降ります。
葉っぱの上にこれだけ積もるのも、なんだか珍しくなくなってしまいました。



紅葉の根っこもすっかり埋まってしまいました。



白い柱のすぐ左横に、道路用の除雪車が走っています。
この車よりもう一回り小さめのトラックが、各家のドライブウェイを除雪してくれます。
いつか除雪してくれる様子を撮りたいと思うのだけど、いつもガリガリッという音を聞いて慌ててカメラを手に、というパターン。トホホ……



大雪が降ると必ず登場する、中高校生の雪かきアルバイト君達。
面倒な階段や通り道の雪かきを申し出る彼らに、済まなそぉ~に断る大家さん、「Good Luck!」と彼らに声かけしてました。




こんな日に、わたしはこれから出張レッスンをして、おまけにまたまたマンハッタンはメトロポリタン歌劇場に!!
今日もまたまたAちゃんのお誘いにヒ~ラヒラと乗って、オペラ鑑賞に行ってまいります。ベッリーニの『La Sonnambula』、夢遊病の女であります。
あんたが夢遊病の女でしょ~が!なんて突っ込まないでくださいね
なんだかもう、普段の1年以上分遊んじゃってるような気がします。しかも、旅行に来ている友人に奢ってもらっちゃってるし……
幸先の良い2009年、あとの10ヶ月、バリバリ働かにゃ~!!
コメント (2)
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