鈴木博喜さんのブログ『民の声新聞』より
↓以下、転載はじめ(文字の強調を加えさせていただきました)
【甲状腺がん】
「福島で多発中」と警鐘鳴らす津田敏秀教授~「避難せず残った人にこそ正しい情報を」
【民の声新聞】2015年10月8日
http://ameblo.jp/rain37/entry-12081824761.html#cbox
福島第一原発事故後、被曝による福島県内での甲状腺がん発生率が、全国平均と比べて、最大で50倍に達しているとの論文を、
岡山大学の津田敏秀教授(環境疫学、医学博士)らがまとめ、国際環境疫学会に受理された。
web上で先行公開されたことを受けて、8日、日本外国特派員協会で記者会見した津田教授は、
「当初の予想を大きく上回るペースで、甲状腺がんが多発している。
しかし、日本国内ではほとんど理解されず、何の準備もなされていない」と警鐘を鳴らし、
「様々な事情で避難できず、福島での生活を続けている人たちにこそ、正しい情報や知識を流し、無用な被曝を避けるべきだ」と訴えた。
【「甲状腺がんはさらに多発する」】
津田教授らは、福島県や福島県立医大が、原発事故当時、18歳未満だった子どもたちを対象に実施している、甲状腺の超音波エコー検査の結果を分析。
人口を基に、福島県を9つの地域に分け、2014年12月31日までに集計された検査結果の公表データから、
二本松市を中心とする中通りの中部で、日本全国の年間発生率と比較して、約50倍に達したことが分かったという。
郡山市でも約38倍、須賀川市や白河市などの郡山以南、いわき市では約40倍だった。
福島市を中心とした北部地区は約19倍、会津地方では約27倍だった。
甲状腺検査が最も早く、2011年に実施された相双地区は約29倍で、中通りに比べて数値そのものは低かったが、
津田教授は、
「潜伏期間を考えると、1年未満で30倍近く多発したことは重要だ」と話した。
一般的に、子どもの甲状腺がんは、100万人当たり1-3人とされるが、
福島県内では、今年6月30日までの検査で、対象となる38万人のうち、137人が甲状腺がんと診断されている(疑いも含む)。
津田教授は会見で、
「WHO(世界保健機構)が、2013年に、がんの多発が予測されると発表したが、その予測ペースをはるかに上回っている。著しい多発だ」と話し、
「チェルノブイリ原発事故から、4年後と同じ傾向をたどっており、今後、さらに甲状腺がんが多発することは避けがたい。
それにもかかわらず、日本国内では、ほとんどこの状況が理解されず、何の準備もなされていない。
政府や福島県は、これまでの誤りを認め、詳細な情報を流すべきだ」と訴えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/0e/ac97cde106dfe54de34007e8bcce877c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/a1/eaa9d343e88482f2ae0ca566e423500b.jpg)
記者会見を開いた岡山大学の津田敏秀教授。
福島県内で甲状腺がんが多発していると警鐘を鳴らし、「何の準備、対策も取られていない」と、政府や自治体を批判した=8日午後、日本外国特派員協会
【「安定ヨウ素剤飲ませていれば…」】
津田教授は2013年以降、スイスや米・シアトル、ブラジルで開かれた国際環境疫学会で、福島での甲状腺がんの多発について発表してきた。
衝撃を受けた海外の研究者らから、「早く論文を書きなさい」と促され、今年に入って作成に取り掛かったという。
会見では、「スクリーニング効果」や「過剰診断」に対する質問も出たが、
「スクリーニング効果による〝偽の多発〟は、せいぜい6-7倍。
ところが、福島県では、20-50倍もの多発になっている。
過剰診断やスクリーニングだと言うなら、ちゃんと論拠となる論文を示して欲しい」と一蹴。
「日本の保健医療政策は、〝陰口〟や〝立ち話〟〝噂話〟によって成り立っている。
批判があるなら直接、言って欲しい。議論の場も設ける」と呼びかけた。
甲状腺がんの原因を、原発事故による被曝と結論付けることへ、「時期尚早」との声が他の専門家からあがっていることについても、
「世界と比べて、日本には疫学者が圧倒的に少ない。
岡山大学には、恐らく日本で一番疫学者が多いが、普段から彼らと議論していても、
『甲状腺の多発を被曝によるもの、と結論付けるのは時期尚早』だとか、
『原発事故が原因ではない』などと言う人は1人もいない。
それは、海外の研究者でも同じだ」と話した。
原発事故後の日本政府の対応を、「チェルノブイリ原発事故の経験がほとんど生かされていない」とし、
「安定ヨウ素剤を、全ての子どもにのませていれば、甲状腺がんが半分に減らせた」と批判した。
英文の論文は、誰でもアクセスすることができ、日本語訳は「できるだけ早く公開したい」(津田教授)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/8a/937349f8a2a35c479a21183e6d402b90.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/57/e9d89fb7b11f4276b9c4c096df27239c.jpg)
津田教授の分析では、全国と比べて最大で50倍に達した福島県内での甲状腺がん発生率。
会見では、
「チェルノブイリと同じ傾向をたどっている。
今後さらに多発しないと、予想を立てる人がいるだろうか」
と話した。
【「帰還政策は明らかに間違い」】
津田教授の想いに反し、政府や福島県は、「帰還政策」を推進。
放射線から遠ざかるための避難・保養を促すどころか、汚染が解消されていない地域に、住民を戻そうとしている。
住民の側も、県外避難より、福島に残って生活することを選んだ人が多いのが現実だ。
「100mSv以下の発がん性は、因果関係が分からない、などとした帰還政策は、明らかに間違い。
しかし、様々な事情で、避難できない人もいる。
大した対策をとらなくても、詳細な情報を流すだけで、コストをかけずに放射線をさけることはできる。
汚染の度合いの高い場所にいる時間を減らすだけでも、被曝量は大きく変わってくる。
現在の福島は、避難するか残るか、その判断材料すら与えられていないのです」
国も行政も地元メディアも、こぞって原発事故を過去の出来事とし、汚染や被曝の危険性など無くなったかのようなムードづくりに専念している。
政府の指示に拠らない、「自主避難者」への支援打ち切りも決まり、自立せよと迫る。
被曝の危険性を口にすると、風評被害を撒き散らすな、と非難される。
伊達市の仁志田昇司市長のように、「心の問題」に収れんさせようとする首長までいるほどだ。
しかし、津田教授は、
「この先、チェルノブイリと同じように、さらに甲状腺がんが多発しないということは考えられない」と、健康被害の拡がりに懸念を示す。
「福島に住み続けなければならない人にこそ、正しい情報・正しい知識が与えられるべきなんです」
原発事故から間もなく、55カ月を迎える。
【国道6号】批判の中、実施された清掃ボランティア~子どもたちの充実感の陰に潜む内部被曝のリスク
【民の声新聞】2015年10月10日
http://ameblo.jp/rain37/entry-12081320098.html
中高生が参加することへ批判が高まった、清掃ボランティア「みんなでやっぺ!! きれいな6国」(NPO法人・ハッピーロードネットなど主催)が10日、
福島県・浜通りを走る国道6号(新地町~いわき市、約50km)で、一斉に実施された。
広野町や楢葉町を、中高生と一緒に歩くと、子どもたちは被曝に対する不安を否定し、参加したことに誇らしげな表情を浮かべた。
砂塵舞う中、マスクせずに、ごみを拾い続けた子どもも。
しかし、笑顔の向こう側に潜む、内部被曝のリスクを考慮すれば、子どもは参加させるべきではなかった、と言わざるを得ない。
【舞い上がる砂塵。マスクしない子も】
「地元だし、ぜひ参加したかった。
被曝の危険?いえ、全く不安はありません。
両親から止められることもありませんでした」
友人と一緒に参加した、双葉高校の女子生徒は、にっこりと笑った。
受付で軍手やマスクが配られたが、どちらも着用しなかった。
行き交うダンプカーが、砂塵を舞い上げる。
「気をつけないと放射性物質も一緒に吸い込んでしまう」と告げると、彼女は「うーん」と首を傾げて、苦笑するばかりだった。
背中に「Jヴィレッジ」と書かれたユニホーム姿で参加した、少年サッカーチームの中学生たちは、
隊列の先頭で次々とごみを拾い、あっという間に袋を一杯にした。
二ツ沼公園から楢葉町に入り、現在は福島県警双葉警察署として利用されている、旧道の駅ならは前で信号を渡り、Jヴィレッジの前を通って、再び二ツ沼公園に戻った。
当初、子どもたちは楢葉町には入らないという説明だった。
ほぼ半数の子どもが、マスクを着用しないまま、国道沿いの歩道を歩いた。
大熊町からいわき市に避難しているという、中学1年生の男の子は、震災時は小学2年生。
下校途中で、巨大な揺れに遭遇した。
「放射線量が高いから、あれから一度も(大熊町の)家に帰れてない」と、寂しそうに話す。
彼も含めて、被曝の危険性について認識している子どもは、皆無だった。
参加している誰もが、誇らしげな、充実した表情を見せた。
別の女子高生は、「ボランティア活動に参加してみたかった」とうれしそうに話した。
双葉翔陽高校の男子生徒も、「この場所に来ることが出来て、本当に良かった」と開会式でスピーチした。
遠藤智・広野町長は、
「浜通りが復興していることを、全国に発信する好機となる」と語ったが、
子どもたちの充実感と、大人の満足感の向こう側には、被曝のリスクが潜んでいることを忘れてはならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/d9/58f6d801c0dc28cc82cb8e71770a9d99.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/4e/76c75479bb2e6da76feaa4f9125a690c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/1b/35086aca6a40382cbac984eeab8655f0.jpg)
中高生も参加した清掃ボランティア「みんなでやっぺ!!きれいな6国」。
楢葉町のJヴィレッジ周辺は、手元の線量計は、0.3μSv/hを超えた。
【「無理解な人が東京で騒ぎ立てている」】
「いろいろなご意見があります」
NPO法人「ハッピーロードネット」の西本由美子理事長(62)の元には、
2011年以降、中断していた国道6号の清掃ボランティアを再開させるにあたり、子どもたちの参加に対する批判が、少なからず寄せられたという。
吉田栄光福島県議(自民、浪江町)も、あいさつで、「様々なご意見があろうかと思う」と触れた。
「子どもたちの未来と健康を守るプロジェクト・郡山」が、中高生の参加に反対を表明すると、全国約70の団体から賛同の連絡があったという。
しかし、西本理事長は、
「子どもたちが清掃をするのは通学路。
国道6号が通学路になっているなんて、知らないでしょ?
地元を全く理解しない人達が、東京で騒ぎ立てているんですよ」と反論した。
「私は、自分で納得して、広野町に戻ってきた。
今日、参加した子どもたちも、家庭で散々話し合って出て来たと思う。
それに対して、周囲が良いとか悪いとかを云々することは、できないと思いますよ」
前夜、清掃ボランティアを再開させるきっかけを作った、相馬高校の男子生徒から、
「僕のせいでおばちゃんが叩かれて、迷惑をかけてごめんね。でも、貫いてくれてありがとう」と、涙ながらに電話がかかってきたという。
「実際にやってみて、子どもたちもいろいろと気付くことがあったでしょう。
良かったことも反省点もあるはずです。
それが教育なんです。
大人が頭ごなしに『やっちゃ駄目だ』って言ったって、子どもたちは納得しませんよ」
長年、子どもたちと接してきた西本理事長なりの教育論にはしかし、現実の被曝のリスクは考慮されていない。
それもそのはずだ。
昨年3月、日本商工会議所の「日商ニュース」に寄せた文章の中で、2013年9月に行ったチェルノブイリ視察を基にこう綴っている。
「今の日本の放射線に対する情報は、偏見に満ちている」
「原発さえ安定していれば、私たちの故郷は、何の不自由なく安心して住める」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/bd/70491ab3dc7892f101ef690c5eb3f332.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/22/1933d72f7298b0b38d6c5918ee89364b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/13/6625c34271853f813c20ac9173ecc226.jpg)
NPO法人の西本由美子理事長(写真上、一番左)は、
「子どもたちは親と散々話し合って参加している。それに対して私は是非を云々できない」と話した。
【小出さん「子どもを動員するな」】
「やってはいけないことです」
本紙は、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さん(66)に対し、主催者が、清掃ボランティアに中高生を参加させたことへの是非を伺った。
小出さんは、「間違っている」とするコメントを、メールで寄せた。
「2011年3月11日夜、『原子力緊急事態宣言』が発令されました。
宣言はいまだに解除されておらず、いま日本という国は、緊急事態下にあります。
そのため、被曝に関する様々な法令も、福島では守らなくて良いことにされ、
子どもも含め、本来なら『放射線管理区域』にしなければならない地に、棄てられてしまいました。
棄てられてしまえば、人々は、そこで生きるしかありません。
自分たちの土地を、何とかしてきれいにしたい。
そして、きれいになった、福島の物を買ってくれと、どうしても言いたくなります。
その気持ちを、私は理解します。
ただ、そのために、例えば、学校給食を地産地消してアピールする。
あるいは、今回のように、汚染を移動させるために、子どもを動員することは間違っています。
子どもは、原発事故に、何ら責任もありませんし、被曝に対して大変敏感です。
大人が被曝をするとしても、子どもだけは、被曝から守らなければいけません」
子どもの命を守るべき大人たち。
しかし、高校生を引率した女性教師は、
「生徒たちには、担任を通じて参加を呼びかけ、保護者の承諾も得ている。
被曝の危険ですか?
まあ、子どもたちがやりたいということは、応援したいですからね」と話した。
ふたば未来学園高校の男性教師も、
「普段、ここで生活していますからね。
不安はないです。
全国の方々には、本当の姿を見て欲しい」と話した。
少年サッカーチームの関係者は、
「まだ避難中の家庭もあり、保護者の考えは様々。もちろん自由参加です」とした上で、
「原発事故で、Jヴィレッジに行ったこともない子どももいる。
こういう行事で、帰属意識を持たせたかった」と話した。
「被曝に関しては、いろいろな意見があって良いと思う。
他県のサッカーチームでも、福島に遠征してくることに反対する保護者がいて、断念することもあるようです」
清掃中、通りかかった福島県警のパトカーから、警察官が、「ごくろうさまです」と、子どもたちにマイクで呼びかけた。
「放射性物質を吸い込まないように」という呼びかけは、残念ながら無い。
「多様な意見を尊重する」と言いながら、実際には、被曝の問題はほとんど論じられないのが実情なのだ。
↑以上、転載おわり
↓以下、転載はじめ(文字の強調を加えさせていただきました)
【甲状腺がん】
「福島で多発中」と警鐘鳴らす津田敏秀教授~「避難せず残った人にこそ正しい情報を」
【民の声新聞】2015年10月8日
http://ameblo.jp/rain37/entry-12081824761.html#cbox
福島第一原発事故後、被曝による福島県内での甲状腺がん発生率が、全国平均と比べて、最大で50倍に達しているとの論文を、
岡山大学の津田敏秀教授(環境疫学、医学博士)らがまとめ、国際環境疫学会に受理された。
web上で先行公開されたことを受けて、8日、日本外国特派員協会で記者会見した津田教授は、
「当初の予想を大きく上回るペースで、甲状腺がんが多発している。
しかし、日本国内ではほとんど理解されず、何の準備もなされていない」と警鐘を鳴らし、
「様々な事情で避難できず、福島での生活を続けている人たちにこそ、正しい情報や知識を流し、無用な被曝を避けるべきだ」と訴えた。
【「甲状腺がんはさらに多発する」】
津田教授らは、福島県や福島県立医大が、原発事故当時、18歳未満だった子どもたちを対象に実施している、甲状腺の超音波エコー検査の結果を分析。
人口を基に、福島県を9つの地域に分け、2014年12月31日までに集計された検査結果の公表データから、
二本松市を中心とする中通りの中部で、日本全国の年間発生率と比較して、約50倍に達したことが分かったという。
郡山市でも約38倍、須賀川市や白河市などの郡山以南、いわき市では約40倍だった。
福島市を中心とした北部地区は約19倍、会津地方では約27倍だった。
甲状腺検査が最も早く、2011年に実施された相双地区は約29倍で、中通りに比べて数値そのものは低かったが、
津田教授は、
「潜伏期間を考えると、1年未満で30倍近く多発したことは重要だ」と話した。
一般的に、子どもの甲状腺がんは、100万人当たり1-3人とされるが、
福島県内では、今年6月30日までの検査で、対象となる38万人のうち、137人が甲状腺がんと診断されている(疑いも含む)。
津田教授は会見で、
「WHO(世界保健機構)が、2013年に、がんの多発が予測されると発表したが、その予測ペースをはるかに上回っている。著しい多発だ」と話し、
「チェルノブイリ原発事故から、4年後と同じ傾向をたどっており、今後、さらに甲状腺がんが多発することは避けがたい。
それにもかかわらず、日本国内では、ほとんどこの状況が理解されず、何の準備もなされていない。
政府や福島県は、これまでの誤りを認め、詳細な情報を流すべきだ」と訴えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/0e/ac97cde106dfe54de34007e8bcce877c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/a1/eaa9d343e88482f2ae0ca566e423500b.jpg)
記者会見を開いた岡山大学の津田敏秀教授。
福島県内で甲状腺がんが多発していると警鐘を鳴らし、「何の準備、対策も取られていない」と、政府や自治体を批判した=8日午後、日本外国特派員協会
【「安定ヨウ素剤飲ませていれば…」】
津田教授は2013年以降、スイスや米・シアトル、ブラジルで開かれた国際環境疫学会で、福島での甲状腺がんの多発について発表してきた。
衝撃を受けた海外の研究者らから、「早く論文を書きなさい」と促され、今年に入って作成に取り掛かったという。
会見では、「スクリーニング効果」や「過剰診断」に対する質問も出たが、
「スクリーニング効果による〝偽の多発〟は、せいぜい6-7倍。
ところが、福島県では、20-50倍もの多発になっている。
過剰診断やスクリーニングだと言うなら、ちゃんと論拠となる論文を示して欲しい」と一蹴。
「日本の保健医療政策は、〝陰口〟や〝立ち話〟〝噂話〟によって成り立っている。
批判があるなら直接、言って欲しい。議論の場も設ける」と呼びかけた。
甲状腺がんの原因を、原発事故による被曝と結論付けることへ、「時期尚早」との声が他の専門家からあがっていることについても、
「世界と比べて、日本には疫学者が圧倒的に少ない。
岡山大学には、恐らく日本で一番疫学者が多いが、普段から彼らと議論していても、
『甲状腺の多発を被曝によるもの、と結論付けるのは時期尚早』だとか、
『原発事故が原因ではない』などと言う人は1人もいない。
それは、海外の研究者でも同じだ」と話した。
原発事故後の日本政府の対応を、「チェルノブイリ原発事故の経験がほとんど生かされていない」とし、
「安定ヨウ素剤を、全ての子どもにのませていれば、甲状腺がんが半分に減らせた」と批判した。
英文の論文は、誰でもアクセスすることができ、日本語訳は「できるだけ早く公開したい」(津田教授)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/8a/937349f8a2a35c479a21183e6d402b90.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/57/e9d89fb7b11f4276b9c4c096df27239c.jpg)
津田教授の分析では、全国と比べて最大で50倍に達した福島県内での甲状腺がん発生率。
会見では、
「チェルノブイリと同じ傾向をたどっている。
今後さらに多発しないと、予想を立てる人がいるだろうか」
と話した。
【「帰還政策は明らかに間違い」】
津田教授の想いに反し、政府や福島県は、「帰還政策」を推進。
放射線から遠ざかるための避難・保養を促すどころか、汚染が解消されていない地域に、住民を戻そうとしている。
住民の側も、県外避難より、福島に残って生活することを選んだ人が多いのが現実だ。
「100mSv以下の発がん性は、因果関係が分からない、などとした帰還政策は、明らかに間違い。
しかし、様々な事情で、避難できない人もいる。
大した対策をとらなくても、詳細な情報を流すだけで、コストをかけずに放射線をさけることはできる。
汚染の度合いの高い場所にいる時間を減らすだけでも、被曝量は大きく変わってくる。
現在の福島は、避難するか残るか、その判断材料すら与えられていないのです」
国も行政も地元メディアも、こぞって原発事故を過去の出来事とし、汚染や被曝の危険性など無くなったかのようなムードづくりに専念している。
政府の指示に拠らない、「自主避難者」への支援打ち切りも決まり、自立せよと迫る。
被曝の危険性を口にすると、風評被害を撒き散らすな、と非難される。
伊達市の仁志田昇司市長のように、「心の問題」に収れんさせようとする首長までいるほどだ。
しかし、津田教授は、
「この先、チェルノブイリと同じように、さらに甲状腺がんが多発しないということは考えられない」と、健康被害の拡がりに懸念を示す。
「福島に住み続けなければならない人にこそ、正しい情報・正しい知識が与えられるべきなんです」
原発事故から間もなく、55カ月を迎える。
【国道6号】批判の中、実施された清掃ボランティア~子どもたちの充実感の陰に潜む内部被曝のリスク
【民の声新聞】2015年10月10日
http://ameblo.jp/rain37/entry-12081320098.html
中高生が参加することへ批判が高まった、清掃ボランティア「みんなでやっぺ!! きれいな6国」(NPO法人・ハッピーロードネットなど主催)が10日、
福島県・浜通りを走る国道6号(新地町~いわき市、約50km)で、一斉に実施された。
広野町や楢葉町を、中高生と一緒に歩くと、子どもたちは被曝に対する不安を否定し、参加したことに誇らしげな表情を浮かべた。
砂塵舞う中、マスクせずに、ごみを拾い続けた子どもも。
しかし、笑顔の向こう側に潜む、内部被曝のリスクを考慮すれば、子どもは参加させるべきではなかった、と言わざるを得ない。
【舞い上がる砂塵。マスクしない子も】
「地元だし、ぜひ参加したかった。
被曝の危険?いえ、全く不安はありません。
両親から止められることもありませんでした」
友人と一緒に参加した、双葉高校の女子生徒は、にっこりと笑った。
受付で軍手やマスクが配られたが、どちらも着用しなかった。
行き交うダンプカーが、砂塵を舞い上げる。
「気をつけないと放射性物質も一緒に吸い込んでしまう」と告げると、彼女は「うーん」と首を傾げて、苦笑するばかりだった。
背中に「Jヴィレッジ」と書かれたユニホーム姿で参加した、少年サッカーチームの中学生たちは、
隊列の先頭で次々とごみを拾い、あっという間に袋を一杯にした。
二ツ沼公園から楢葉町に入り、現在は福島県警双葉警察署として利用されている、旧道の駅ならは前で信号を渡り、Jヴィレッジの前を通って、再び二ツ沼公園に戻った。
当初、子どもたちは楢葉町には入らないという説明だった。
ほぼ半数の子どもが、マスクを着用しないまま、国道沿いの歩道を歩いた。
大熊町からいわき市に避難しているという、中学1年生の男の子は、震災時は小学2年生。
下校途中で、巨大な揺れに遭遇した。
「放射線量が高いから、あれから一度も(大熊町の)家に帰れてない」と、寂しそうに話す。
彼も含めて、被曝の危険性について認識している子どもは、皆無だった。
参加している誰もが、誇らしげな、充実した表情を見せた。
別の女子高生は、「ボランティア活動に参加してみたかった」とうれしそうに話した。
双葉翔陽高校の男子生徒も、「この場所に来ることが出来て、本当に良かった」と開会式でスピーチした。
遠藤智・広野町長は、
「浜通りが復興していることを、全国に発信する好機となる」と語ったが、
子どもたちの充実感と、大人の満足感の向こう側には、被曝のリスクが潜んでいることを忘れてはならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/d9/58f6d801c0dc28cc82cb8e71770a9d99.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/4e/76c75479bb2e6da76feaa4f9125a690c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/1b/35086aca6a40382cbac984eeab8655f0.jpg)
中高生も参加した清掃ボランティア「みんなでやっぺ!!きれいな6国」。
楢葉町のJヴィレッジ周辺は、手元の線量計は、0.3μSv/hを超えた。
【「無理解な人が東京で騒ぎ立てている」】
「いろいろなご意見があります」
NPO法人「ハッピーロードネット」の西本由美子理事長(62)の元には、
2011年以降、中断していた国道6号の清掃ボランティアを再開させるにあたり、子どもたちの参加に対する批判が、少なからず寄せられたという。
吉田栄光福島県議(自民、浪江町)も、あいさつで、「様々なご意見があろうかと思う」と触れた。
「子どもたちの未来と健康を守るプロジェクト・郡山」が、中高生の参加に反対を表明すると、全国約70の団体から賛同の連絡があったという。
しかし、西本理事長は、
「子どもたちが清掃をするのは通学路。
国道6号が通学路になっているなんて、知らないでしょ?
地元を全く理解しない人達が、東京で騒ぎ立てているんですよ」と反論した。
「私は、自分で納得して、広野町に戻ってきた。
今日、参加した子どもたちも、家庭で散々話し合って出て来たと思う。
それに対して、周囲が良いとか悪いとかを云々することは、できないと思いますよ」
前夜、清掃ボランティアを再開させるきっかけを作った、相馬高校の男子生徒から、
「僕のせいでおばちゃんが叩かれて、迷惑をかけてごめんね。でも、貫いてくれてありがとう」と、涙ながらに電話がかかってきたという。
「実際にやってみて、子どもたちもいろいろと気付くことがあったでしょう。
良かったことも反省点もあるはずです。
それが教育なんです。
大人が頭ごなしに『やっちゃ駄目だ』って言ったって、子どもたちは納得しませんよ」
長年、子どもたちと接してきた西本理事長なりの教育論にはしかし、現実の被曝のリスクは考慮されていない。
それもそのはずだ。
昨年3月、日本商工会議所の「日商ニュース」に寄せた文章の中で、2013年9月に行ったチェルノブイリ視察を基にこう綴っている。
「今の日本の放射線に対する情報は、偏見に満ちている」
「原発さえ安定していれば、私たちの故郷は、何の不自由なく安心して住める」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/bd/70491ab3dc7892f101ef690c5eb3f332.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/22/1933d72f7298b0b38d6c5918ee89364b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/13/6625c34271853f813c20ac9173ecc226.jpg)
NPO法人の西本由美子理事長(写真上、一番左)は、
「子どもたちは親と散々話し合って参加している。それに対して私は是非を云々できない」と話した。
【小出さん「子どもを動員するな」】
「やってはいけないことです」
本紙は、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さん(66)に対し、主催者が、清掃ボランティアに中高生を参加させたことへの是非を伺った。
小出さんは、「間違っている」とするコメントを、メールで寄せた。
「2011年3月11日夜、『原子力緊急事態宣言』が発令されました。
宣言はいまだに解除されておらず、いま日本という国は、緊急事態下にあります。
そのため、被曝に関する様々な法令も、福島では守らなくて良いことにされ、
子どもも含め、本来なら『放射線管理区域』にしなければならない地に、棄てられてしまいました。
棄てられてしまえば、人々は、そこで生きるしかありません。
自分たちの土地を、何とかしてきれいにしたい。
そして、きれいになった、福島の物を買ってくれと、どうしても言いたくなります。
その気持ちを、私は理解します。
ただ、そのために、例えば、学校給食を地産地消してアピールする。
あるいは、今回のように、汚染を移動させるために、子どもを動員することは間違っています。
子どもは、原発事故に、何ら責任もありませんし、被曝に対して大変敏感です。
大人が被曝をするとしても、子どもだけは、被曝から守らなければいけません」
子どもの命を守るべき大人たち。
しかし、高校生を引率した女性教師は、
「生徒たちには、担任を通じて参加を呼びかけ、保護者の承諾も得ている。
被曝の危険ですか?
まあ、子どもたちがやりたいということは、応援したいですからね」と話した。
ふたば未来学園高校の男性教師も、
「普段、ここで生活していますからね。
不安はないです。
全国の方々には、本当の姿を見て欲しい」と話した。
少年サッカーチームの関係者は、
「まだ避難中の家庭もあり、保護者の考えは様々。もちろん自由参加です」とした上で、
「原発事故で、Jヴィレッジに行ったこともない子どももいる。
こういう行事で、帰属意識を持たせたかった」と話した。
「被曝に関しては、いろいろな意見があって良いと思う。
他県のサッカーチームでも、福島に遠征してくることに反対する保護者がいて、断念することもあるようです」
清掃中、通りかかった福島県警のパトカーから、警察官が、「ごくろうさまです」と、子どもたちにマイクで呼びかけた。
「放射性物質を吸い込まないように」という呼びかけは、残念ながら無い。
「多様な意見を尊重する」と言いながら、実際には、被曝の問題はほとんど論じられないのが実情なのだ。
↑以上、転載おわり