守田さんの講演会が、24日尾道市で、25日広島市で、行われます。
原発が、何事も無かったかのように、ひとつ、またひとつと、再稼働され始めてしまっている今日この頃、
「もうどうしようもないか」と落胆していらっしゃる方、いらっしゃいませんか?
守田さんは、決してそんなことで落胆しなくていいということを、世界の政治・経済の動き、国民の運動などを交えながら話してくださると思います。
元気と希望がふつふつと、心の中にわいてきますよ。
ぜひぜひ、おすすめです!
没落しゆく原子力産業-稼動反対運動と原発災害対策の強化が問われている!
2015年10月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/7d1a410718fce6c69a97167b7564322b
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3215fa5a4303c892636ad4a4f6e60066
守田です。
24日土曜日、25日日曜日と、広島県の尾道市、広島市で、連続講演をしてきます。
尾道市での講演のタイトルは「福島原発の今!」
主催は、今回も「フクシマから考える一歩の会」。
もう何回呼んでいただいでしょうか。
今年も、7月後半にも呼んでいただいたのですが、わずか3ヶ月で、またお招きいただきました。
さきほど、主催者の一人の大住元さんが、案内を僕のFacebookのタイムラインにもアップして下さいましたので、引用します。
***
川内原発1号機に続き2号機が、10月15日に稼働されました。
愛媛県伊方原発も、規制委員会の審査を終え、伊方町議会も愛媛県議会も、再稼働賛成の議決をしました。
島根原発についても、同じように、再稼働を目指しています。
「もうどうしようもないか」と落胆するのですが、守田さんは決してそうではないことを、世界の政治・経済の動き、国民の運動から話されます。
福島原発の様子、健康被害の広がり、汚染水や放置されている廃棄物処理、帰還政策などについてもお話いただき、私たちの暮らしをどうするか。
ベトナムやトルコの原発を巡る動きと、戦争法にも触れていただきます。
きっと、希望と勇気をいただけるでしょう。
是非、ご都合付けてご参加ください。
***
そうですね、再稼働が強行された上に、伊方・高浜も続きそうなことが報道されると、
確かに、「もうどうしようもないか」と思えてきます。
しかし、これは、なかなか肝心なところをつかんで報道してくれないマスコミのせいでもあるし、政府による世論操作のせいでもあります。
現実は全く逆です!
「もうどうしようもないか」という、崖っぷちに立っているのは、世界の原子力村の人々であり、原子力産業なのです。
尾道市でも広島市でも、これを強調したいです。
端的に言いましょう。
東芝は、粉飾決算問題でガタガタです。
粉飾決算の大元は、原発事業への無理な投資の焦げ付きによる、巨額の赤字。
経団連会長を出すなど、日本のリーディングカンパニーだった会社が、崩れ落ちようとしているのです。
これは、相当に深刻な事態です。
東芝の粉飾決算は、2006年に、市場価格3000億円以下だった米ウェスチングハウス社を、なんと6200億円で買い取ったことが原因。
リーマンショックを被った2008年に、早くも不正会計を開始しています。
もちろん、これを、営業の挽回によって克服しようとしたのですが、あまりに大きな打撃となったのが福島原発事故でした。
理由は、福島原発の2、3、5、6号機が、東芝製の沸騰水型原発であったことにあります。
この時期、東芝は、アメリカに初の原発輸出を行いつつありました。
サウステキサスプロジェクトと言う名で、沸騰水型の原子炉2基の建設が進行中でしたが、これがとん挫。
共同出資していた東電が、引き上げたこともあって、中止に追い込まれてしまいました。
さらに、日本の原発が次々停まってしまい、再稼働ができなくなりました。
これらのことにより、東芝には、定期的に入っていた巨額の点検料も入らなくなりました。
これに対し東芝経営陣は、現場に、一方的に矛盾を転嫁して、無理な営業目標の達成を強いて凌ごうとしたのですが、
そんなことができるわけもなく、ますます粉飾決算が構造化。
ついに耐えきれなくなった現場からのリークで、事態が露見したのでした。
このようにみてくると、この問題には、原発に入れ込み過ぎた東芝の、大いなる失敗が横たわっていることが分かります。
しかも、あまりに根が深く、健全再建の道が見えないため、すでにメインバンクが見放しつつあると言う情報すらあります。
無理な投資を重ねた末に、福島原発事故を起こすことによって、東芝という巨大企業が沈みつつあるのです。
これに対して、もう一つの大きな原発メーカーが、三菱重工です。
加圧水型原発のメーカーです。
東芝製の沸騰水型が信頼を失い、再稼働がおぼつかないことに対し、沸騰水型よりも安全だと宣言して、再稼働に向けて走っています。
すでに、強引に動かされた川内原発も、これに続こうとしている伊方、高浜原発も、同じ三菱重工製加圧水型原発です。
さらにもう一つ、僕が反対運動に関わっているトルコにも、三菱重工製の原発が輸出されようとしていますが、
この三菱重工製の原発も、実は今、「もうどうしようもないか」というところに立ちつつあるのです。
加圧水型原発は、構造的に、「蒸気発生器」というところに大きな欠陥を抱えています。
炉内を、150気圧300度の温水となって回している一次冷却水の熱を、細いパイプを隔てて、二次冷却水に伝える装置です。
そうすると、二次冷却水が沸騰し、発電タービンを回すことになるので、「蒸気発生器」と呼ばれるのですが、
この細管の破断が、度々起こっているのです。
これが、技術的にクリアできない。
その象徴が、三菱重工が、アメリカのサンオフレノ原発に部品輸出して、2010年と2011年に据え付けた、最新型の蒸気発生器でした。
このうちの一つが、わずか2年も経たないうちに事故を起こし、点検の結果、ともに著しく劣化していることが発覚したのです。
これに対して、周辺住民が、粘り強い廃炉要求の運動をする中で、アメリカ原子力規制庁は、サンオノフレ原発の改修の展望がないと判断。
なんと、廃炉が決まってしまったのです。
このため三菱重工は、原発所有者のサウスサウザンドエナジー社から、なんと9800億円の損害賠償訴訟を受けています。
これ自体が、三菱の経営にとって、死活を制する問題ですが、
同時にこのことは、三菱重工が今もってなお、蒸気発生器の致命的欠陥を克服できていないことを、内外に明らかにしました。
問題が知れ渡ると、もう世界のどこでも、東芝のみならず三菱の原発も売れなくなります。
もちろん、国内での新規建設も望めない。
ようするに、二大メーカーが、「どうしようもない」状態に陥っているのです。
既に述べたように、今行なわれている、三菱重工製の原発の再稼働強行や、強引な輸出への動きは、
ほとんど死滅しかかっている原子力産業を、なんとか生き延びさせようとさせるためのものです。
日本政府にとって、これ以上、原発の再稼働を引き延ばすわけにはいかない。
なぜか。
実は、日本の原発はこれまで、平均でほぼ4年4カ月も停まっています。
それなのに、日本は電気が足りている。
何ら困っていない。
それどころか、この体制下で、株価の大幅な上昇さえありました。
原発などまったくいらないのだということが、内外に、どんどん分かってきてしまいました!
だからこそ、強引にも、「原発ゼロ状態」を「無くす」必要があったのでした。
二つ目に、原発そのものが、これ以上停めておくと動かなくなることです。
平均で4年以上といいましたが、世界最大の出力を誇る柏崎刈羽原発等、すでに8年以上も停まっています。
おそよ、あらゆる機械の常識からいって、これほど動かしてなければ、もう機械としてダメなのです。
だから今、動かし始めないと、すべての原発が、技術的にも動かせなくなってしまう。
さらに、これではウランが売れないし、メーカーも点検料も入らないので、
原子力産業全体が、「もうどうしようもない」状態に陥りつつあります。
事実、ウラン濃縮会社の世界4大メーカーの一つ、アメリカのユーゼックが、2014年3月に倒産してしまいました。
ちなみに東芝は、ここにも投資していました。
このままでは、原子力村の斜陽が、さらに続いていく。
これらから、再稼働と原発輸出を強行することで、なんとか「どうしようもない」状態を打破し、
延命の道を探ろうとしているのが、原子力産業です。
ここに表れているのは、私たち日本民衆の、力の大幅な増大です。
福島原発事故を契機に、本当にたくさんの人が、覚醒しました。
覚醒して、どんどんデモを始めた。
スタンディングをはじめた。
全国で毎週、毎週、集会が行われてきました。
それがもう、4年も続いています。
こんなことは、これまでの、この国の歴史になかったことです。
このため、国会では野党を完全に蹴散らしてきた与党が、原発の再稼働をなかなかできなかったのです。
昨年末の総選挙の時に、与党が配ったパンフレットなど、原発の「げ」の字も書いてなかった。
再稼働は、避け続けられてきたのです。
しかし、時間的余裕がないがゆえに、今日、再稼働が行われていますが、
こうした政府の姿勢は、攻勢とはまったく言えません。
このままでは死滅するがゆえに、再稼働に踏み切ったのでしかないのです。
だから、私たちが、これまでの運動を継続し、政府と対決していけば、必ず矛盾が露呈し、この流れを止めることができます。
何せ、二大メーカーである東芝と三菱重工が、ボロボロなのです。
むしろ私たちは、東電だけでなく、東芝の粉飾決算問題=経済犯罪を追及し、
三菱重工の原発の危険性を、世界に広く訴える中で、さらに原子力村を追い詰めていきましょう。
そのことは大いに可能です。
ただし、楽観ばかりできない重大なことがあります。
このままでは死滅するからと、なりふりかまわぬ再稼働に、政府と電力会社、メーカーが走り出したため、
原発事故のリスクが大きく高まっていることです。
とくに川内原発は、欠陥のある蒸気発生器を付けたまま、再稼働しています。
欠陥は、1号機にも2号機にもあります。
1号機は、新型に交換しました。
しかし新型は、アメリカでは2年も持たなかった欠陥製品です。
これに対して2号機は、交換予定を中止して、古い蒸気発生器のままに動かしました。
そもそも、交換を予定していたのだから、現行の蒸気発生器はポンコツなのです。
しかし、新型も危ないがゆえに、交換できなかったのです。
だから、新型の蒸気発生器を付けている1号機も、旧型のままの2号機も、ともに危ない。
どちらがより危ないのかは、おそらく三菱重工自身が分かっていないでしょう。
なりふりかまわぬ再稼働の強行だからこそ、事故リスクはいや増しています。
これに対しては、民衆の側から、原子力災害対策を逞しく作り上げていく以外に、対抗手段はありません。
ぜひとも各地で、このことに取り組んで欲しいのです。
そもそも原発は、燃料プールに核燃料が入っている限り、動いてなくても危険ですから、それだけでも原子力災害対策は必要です。
同時に、原子力災害対策に真剣に取り組むと、原発の是非をいったん横において、原発がどれだけの危険性を抱えているのかを、あらゆる場で討論することができます。
討論の結果、放射線被曝から身を守る力を、身に着けられます。
世界の原子力産業も、同じことが言えます。
完全な斜陽状態です。
しかし、それでもまだ、原子力村が生き延びようとしているので、世界中で、悲惨な原子力災害が発生する可能性が、高まっています。
その上に、イラク・シリアをめぐる戦闘の激化で、原発が戦火に巻き込まれる可能性すら拡大しています。
だからこそ、世界のどこでも、原子力災害対策を民衆の側から積み上げ、放射能からの身の守り方を身に着ける必要性があるのです。
このような状況にかんがみて、今回、新著『原発からの命の守り方』を書き上げたので、ぜひこれを各地で活用していただきたいです。
それこそが、戦争に反対することと並ぶ、平和を守るための重要行動だと、僕は思います。
幸いにして、出版社である海象社さんが、懸命に努力して下さり、
出版が、今回の講演会に、ぎりぎりで間に合うことになりましたので、24日尾道の会場で、新著の初売りをします!
広島会場でも売らせていただきます。
ちなみに尾道市では、「福島原発の今」に即しつつ、現在広がっている健康被害について、詳しくお話します。
内部被曝のメカニズムについて、また、これに対してどう対抗すれば良いのかについて、きちんとお話したいと思います。
同時に、これまで尾道であまりお話できてこなかった、原子力災害対策についても触れ、
時間の許す限り、汚染水問題、帰還問題、そして戦争法などにも触れたいです。
広島市では、こうした中での、トルコの方たちの原発反対運動への取り組みについても、じっくりお話します。
僕は、原発大国のトルコに、原発を日本から輸出することが道義的に許せないので、
日本人としての責任にかけて、この問題に関わってきました。
しかし、最近思うことは、トルコの方の頑張りで輸出が停まったら、日本の原子力産業の息の根が止まり、
その分早く、私たちが、核の悪夢から解放されるということです。
まさに、「情けは人のためならず」…。
トルコの方たちに一生懸命に連帯することは、私たちの幸せにも直結することなのです。
この点について、トルコの様子を交えて、詳しくお話します。
尾道、広島方面の方、ぜひ会場にお越しください。
また、ぜひとも『原発からの命の守り方』を、お買い求めください!
以下、集会案内を貼り付けておきます。
*****
■尾道市
『福島の今 守田敏也講演会』
■日時:
10月24日(土)午後2時~4時
■場所:
図書館大会議室 (室内に子どもスペース設けます)
■参加費:
無料
■主催:
フクシマから考える一歩の会
*****
■広島市
グローバリゼーション講座
『日本が原発輸出するトルコ訪問報告』~トルコ市民4万人の声を聞こう~
■講師:
守田敏也さん(フリー・ジャーナリスト)
■日時:
2015年10月25日(日)14:00~16:30
■場所:
ゆいぽーと(広島市男女共同参画推進センター)5階研修室4
(広島市中区大手町5-6-9、電話:082‐248‐3320、鷹野橋電停から3分)
■参加費:
500円(学生無料)
Globalization Watch Hiroshima
■連絡先:
〒733-0815広島市西区己斐上4-17-15
■TEL&Fax:
082-271-0854、090-6835-8391(渡田)
■ホームページ:
http://globalwatch.o.oo7.jp/
------------------------
守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90
原発が、何事も無かったかのように、ひとつ、またひとつと、再稼働され始めてしまっている今日この頃、
「もうどうしようもないか」と落胆していらっしゃる方、いらっしゃいませんか?
守田さんは、決してそんなことで落胆しなくていいということを、世界の政治・経済の動き、国民の運動などを交えながら話してくださると思います。
元気と希望がふつふつと、心の中にわいてきますよ。
ぜひぜひ、おすすめです!
没落しゆく原子力産業-稼動反対運動と原発災害対策の強化が問われている!
2015年10月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/7d1a410718fce6c69a97167b7564322b
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3215fa5a4303c892636ad4a4f6e60066
守田です。
24日土曜日、25日日曜日と、広島県の尾道市、広島市で、連続講演をしてきます。
尾道市での講演のタイトルは「福島原発の今!」
主催は、今回も「フクシマから考える一歩の会」。
もう何回呼んでいただいでしょうか。
今年も、7月後半にも呼んでいただいたのですが、わずか3ヶ月で、またお招きいただきました。
さきほど、主催者の一人の大住元さんが、案内を僕のFacebookのタイムラインにもアップして下さいましたので、引用します。
***
川内原発1号機に続き2号機が、10月15日に稼働されました。
愛媛県伊方原発も、規制委員会の審査を終え、伊方町議会も愛媛県議会も、再稼働賛成の議決をしました。
島根原発についても、同じように、再稼働を目指しています。
「もうどうしようもないか」と落胆するのですが、守田さんは決してそうではないことを、世界の政治・経済の動き、国民の運動から話されます。
福島原発の様子、健康被害の広がり、汚染水や放置されている廃棄物処理、帰還政策などについてもお話いただき、私たちの暮らしをどうするか。
ベトナムやトルコの原発を巡る動きと、戦争法にも触れていただきます。
きっと、希望と勇気をいただけるでしょう。
是非、ご都合付けてご参加ください。
***
そうですね、再稼働が強行された上に、伊方・高浜も続きそうなことが報道されると、
確かに、「もうどうしようもないか」と思えてきます。
しかし、これは、なかなか肝心なところをつかんで報道してくれないマスコミのせいでもあるし、政府による世論操作のせいでもあります。
現実は全く逆です!
「もうどうしようもないか」という、崖っぷちに立っているのは、世界の原子力村の人々であり、原子力産業なのです。
尾道市でも広島市でも、これを強調したいです。
端的に言いましょう。
東芝は、粉飾決算問題でガタガタです。
粉飾決算の大元は、原発事業への無理な投資の焦げ付きによる、巨額の赤字。
経団連会長を出すなど、日本のリーディングカンパニーだった会社が、崩れ落ちようとしているのです。
これは、相当に深刻な事態です。
東芝の粉飾決算は、2006年に、市場価格3000億円以下だった米ウェスチングハウス社を、なんと6200億円で買い取ったことが原因。
リーマンショックを被った2008年に、早くも不正会計を開始しています。
もちろん、これを、営業の挽回によって克服しようとしたのですが、あまりに大きな打撃となったのが福島原発事故でした。
理由は、福島原発の2、3、5、6号機が、東芝製の沸騰水型原発であったことにあります。
この時期、東芝は、アメリカに初の原発輸出を行いつつありました。
サウステキサスプロジェクトと言う名で、沸騰水型の原子炉2基の建設が進行中でしたが、これがとん挫。
共同出資していた東電が、引き上げたこともあって、中止に追い込まれてしまいました。
さらに、日本の原発が次々停まってしまい、再稼働ができなくなりました。
これらのことにより、東芝には、定期的に入っていた巨額の点検料も入らなくなりました。
これに対し東芝経営陣は、現場に、一方的に矛盾を転嫁して、無理な営業目標の達成を強いて凌ごうとしたのですが、
そんなことができるわけもなく、ますます粉飾決算が構造化。
ついに耐えきれなくなった現場からのリークで、事態が露見したのでした。
このようにみてくると、この問題には、原発に入れ込み過ぎた東芝の、大いなる失敗が横たわっていることが分かります。
しかも、あまりに根が深く、健全再建の道が見えないため、すでにメインバンクが見放しつつあると言う情報すらあります。
無理な投資を重ねた末に、福島原発事故を起こすことによって、東芝という巨大企業が沈みつつあるのです。
これに対して、もう一つの大きな原発メーカーが、三菱重工です。
加圧水型原発のメーカーです。
東芝製の沸騰水型が信頼を失い、再稼働がおぼつかないことに対し、沸騰水型よりも安全だと宣言して、再稼働に向けて走っています。
すでに、強引に動かされた川内原発も、これに続こうとしている伊方、高浜原発も、同じ三菱重工製加圧水型原発です。
さらにもう一つ、僕が反対運動に関わっているトルコにも、三菱重工製の原発が輸出されようとしていますが、
この三菱重工製の原発も、実は今、「もうどうしようもないか」というところに立ちつつあるのです。
加圧水型原発は、構造的に、「蒸気発生器」というところに大きな欠陥を抱えています。
炉内を、150気圧300度の温水となって回している一次冷却水の熱を、細いパイプを隔てて、二次冷却水に伝える装置です。
そうすると、二次冷却水が沸騰し、発電タービンを回すことになるので、「蒸気発生器」と呼ばれるのですが、
この細管の破断が、度々起こっているのです。
これが、技術的にクリアできない。
その象徴が、三菱重工が、アメリカのサンオフレノ原発に部品輸出して、2010年と2011年に据え付けた、最新型の蒸気発生器でした。
このうちの一つが、わずか2年も経たないうちに事故を起こし、点検の結果、ともに著しく劣化していることが発覚したのです。
これに対して、周辺住民が、粘り強い廃炉要求の運動をする中で、アメリカ原子力規制庁は、サンオノフレ原発の改修の展望がないと判断。
なんと、廃炉が決まってしまったのです。
このため三菱重工は、原発所有者のサウスサウザンドエナジー社から、なんと9800億円の損害賠償訴訟を受けています。
これ自体が、三菱の経営にとって、死活を制する問題ですが、
同時にこのことは、三菱重工が今もってなお、蒸気発生器の致命的欠陥を克服できていないことを、内外に明らかにしました。
問題が知れ渡ると、もう世界のどこでも、東芝のみならず三菱の原発も売れなくなります。
もちろん、国内での新規建設も望めない。
ようするに、二大メーカーが、「どうしようもない」状態に陥っているのです。
既に述べたように、今行なわれている、三菱重工製の原発の再稼働強行や、強引な輸出への動きは、
ほとんど死滅しかかっている原子力産業を、なんとか生き延びさせようとさせるためのものです。
日本政府にとって、これ以上、原発の再稼働を引き延ばすわけにはいかない。
なぜか。
実は、日本の原発はこれまで、平均でほぼ4年4カ月も停まっています。
それなのに、日本は電気が足りている。
何ら困っていない。
それどころか、この体制下で、株価の大幅な上昇さえありました。
原発などまったくいらないのだということが、内外に、どんどん分かってきてしまいました!
だからこそ、強引にも、「原発ゼロ状態」を「無くす」必要があったのでした。
二つ目に、原発そのものが、これ以上停めておくと動かなくなることです。
平均で4年以上といいましたが、世界最大の出力を誇る柏崎刈羽原発等、すでに8年以上も停まっています。
おそよ、あらゆる機械の常識からいって、これほど動かしてなければ、もう機械としてダメなのです。
だから今、動かし始めないと、すべての原発が、技術的にも動かせなくなってしまう。
さらに、これではウランが売れないし、メーカーも点検料も入らないので、
原子力産業全体が、「もうどうしようもない」状態に陥りつつあります。
事実、ウラン濃縮会社の世界4大メーカーの一つ、アメリカのユーゼックが、2014年3月に倒産してしまいました。
ちなみに東芝は、ここにも投資していました。
このままでは、原子力村の斜陽が、さらに続いていく。
これらから、再稼働と原発輸出を強行することで、なんとか「どうしようもない」状態を打破し、
延命の道を探ろうとしているのが、原子力産業です。
ここに表れているのは、私たち日本民衆の、力の大幅な増大です。
福島原発事故を契機に、本当にたくさんの人が、覚醒しました。
覚醒して、どんどんデモを始めた。
スタンディングをはじめた。
全国で毎週、毎週、集会が行われてきました。
それがもう、4年も続いています。
こんなことは、これまでの、この国の歴史になかったことです。
このため、国会では野党を完全に蹴散らしてきた与党が、原発の再稼働をなかなかできなかったのです。
昨年末の総選挙の時に、与党が配ったパンフレットなど、原発の「げ」の字も書いてなかった。
再稼働は、避け続けられてきたのです。
しかし、時間的余裕がないがゆえに、今日、再稼働が行われていますが、
こうした政府の姿勢は、攻勢とはまったく言えません。
このままでは死滅するがゆえに、再稼働に踏み切ったのでしかないのです。
だから、私たちが、これまでの運動を継続し、政府と対決していけば、必ず矛盾が露呈し、この流れを止めることができます。
何せ、二大メーカーである東芝と三菱重工が、ボロボロなのです。
むしろ私たちは、東電だけでなく、東芝の粉飾決算問題=経済犯罪を追及し、
三菱重工の原発の危険性を、世界に広く訴える中で、さらに原子力村を追い詰めていきましょう。
そのことは大いに可能です。
ただし、楽観ばかりできない重大なことがあります。
このままでは死滅するからと、なりふりかまわぬ再稼働に、政府と電力会社、メーカーが走り出したため、
原発事故のリスクが大きく高まっていることです。
とくに川内原発は、欠陥のある蒸気発生器を付けたまま、再稼働しています。
欠陥は、1号機にも2号機にもあります。
1号機は、新型に交換しました。
しかし新型は、アメリカでは2年も持たなかった欠陥製品です。
これに対して2号機は、交換予定を中止して、古い蒸気発生器のままに動かしました。
そもそも、交換を予定していたのだから、現行の蒸気発生器はポンコツなのです。
しかし、新型も危ないがゆえに、交換できなかったのです。
だから、新型の蒸気発生器を付けている1号機も、旧型のままの2号機も、ともに危ない。
どちらがより危ないのかは、おそらく三菱重工自身が分かっていないでしょう。
なりふりかまわぬ再稼働の強行だからこそ、事故リスクはいや増しています。
これに対しては、民衆の側から、原子力災害対策を逞しく作り上げていく以外に、対抗手段はありません。
ぜひとも各地で、このことに取り組んで欲しいのです。
そもそも原発は、燃料プールに核燃料が入っている限り、動いてなくても危険ですから、それだけでも原子力災害対策は必要です。
同時に、原子力災害対策に真剣に取り組むと、原発の是非をいったん横において、原発がどれだけの危険性を抱えているのかを、あらゆる場で討論することができます。
討論の結果、放射線被曝から身を守る力を、身に着けられます。
世界の原子力産業も、同じことが言えます。
完全な斜陽状態です。
しかし、それでもまだ、原子力村が生き延びようとしているので、世界中で、悲惨な原子力災害が発生する可能性が、高まっています。
その上に、イラク・シリアをめぐる戦闘の激化で、原発が戦火に巻き込まれる可能性すら拡大しています。
だからこそ、世界のどこでも、原子力災害対策を民衆の側から積み上げ、放射能からの身の守り方を身に着ける必要性があるのです。
このような状況にかんがみて、今回、新著『原発からの命の守り方』を書き上げたので、ぜひこれを各地で活用していただきたいです。
それこそが、戦争に反対することと並ぶ、平和を守るための重要行動だと、僕は思います。
幸いにして、出版社である海象社さんが、懸命に努力して下さり、
出版が、今回の講演会に、ぎりぎりで間に合うことになりましたので、24日尾道の会場で、新著の初売りをします!
広島会場でも売らせていただきます。
ちなみに尾道市では、「福島原発の今」に即しつつ、現在広がっている健康被害について、詳しくお話します。
内部被曝のメカニズムについて、また、これに対してどう対抗すれば良いのかについて、きちんとお話したいと思います。
同時に、これまで尾道であまりお話できてこなかった、原子力災害対策についても触れ、
時間の許す限り、汚染水問題、帰還問題、そして戦争法などにも触れたいです。
広島市では、こうした中での、トルコの方たちの原発反対運動への取り組みについても、じっくりお話します。
僕は、原発大国のトルコに、原発を日本から輸出することが道義的に許せないので、
日本人としての責任にかけて、この問題に関わってきました。
しかし、最近思うことは、トルコの方の頑張りで輸出が停まったら、日本の原子力産業の息の根が止まり、
その分早く、私たちが、核の悪夢から解放されるということです。
まさに、「情けは人のためならず」…。
トルコの方たちに一生懸命に連帯することは、私たちの幸せにも直結することなのです。
この点について、トルコの様子を交えて、詳しくお話します。
尾道、広島方面の方、ぜひ会場にお越しください。
また、ぜひとも『原発からの命の守り方』を、お買い求めください!
以下、集会案内を貼り付けておきます。
*****
■尾道市
『福島の今 守田敏也講演会』
■日時:
10月24日(土)午後2時~4時
■場所:
図書館大会議室 (室内に子どもスペース設けます)
■参加費:
無料
■主催:
フクシマから考える一歩の会
*****
■広島市
グローバリゼーション講座
『日本が原発輸出するトルコ訪問報告』~トルコ市民4万人の声を聞こう~
■講師:
守田敏也さん(フリー・ジャーナリスト)
■日時:
2015年10月25日(日)14:00~16:30
■場所:
ゆいぽーと(広島市男女共同参画推進センター)5階研修室4
(広島市中区大手町5-6-9、電話:082‐248‐3320、鷹野橋電停から3分)
■参加費:
500円(学生無料)
Globalization Watch Hiroshima
■連絡先:
〒733-0815広島市西区己斐上4-17-15
■TEL&Fax:
082-271-0854、090-6835-8391(渡田)
■ホームページ:
http://globalwatch.o.oo7.jp/
------------------------
守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90