きーこさんが文字起こしをしてくださった樋口氏とビナード氏のコラボトークの続きです。
<玉音放送にある隠れた真実>
天皇・永久戦犯の地位を守った「残虐なる爆弾」の利用
樋口健二×アーサー・ビナード(文字起こし)
昭和天皇の玉音放送について、「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」、私はこの部分しか知らなかった。
今までに、玉音放送の中身全てを聞いたことも読んだこともなかったし、読んでみようと思ったこともなかったから。
「なぜ、昭和天皇や永久戦犯の正力松太郎などの人々の地位が守られたのか?」
アメリカ人のアーサーが玉音放送を読み解くと、その中ある答えがあった。
「おっ!日本人は知っておくべきだ」
と思ったので、以下その部分の文字起こしをしました。
2015年12月20日
樋口健二氏&アーサー・ビナード氏 コラボトーク講演会
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/YhZIRwFjtec?t=47m27s
アーサー・ビナード:
日本の原子力のペテン、そもそもの出発点はどこか。
僕はずっとそれが気になってて。
というのはね、僕が生まれ育った国は、日本と違って、本当に原子力を作った輩がいるんですよ。
アメリカは、日本みたいに、どこからか買ってきて英語のマニュアルを和訳して、そして福島で湯沸かしをしているっていうのと違うんですよ。
米国とロシアは自分たちで作ったんだから、だから本物のワルなんです。
日本はもう、プチの可愛いペットみたいなやつらで、日本の原発業界は悪質だけど、小物ばっかり。
だけどアメリカは、本当の大悪がいるから。
彼らは、原発労働者の前のマンハッタン計画の中で、労働者を被ばくさせて殺し、実験に使って被ばく…。
放射能汚染をテネシー州で、ネバダ州で、ユタ州で、ニューメキシコ、ワシントンのコロンビアタワーを殺して、もうすごいことを…。
アメリカ国民に一切何も知らせないで、マンハッタン計画の秘密の中でやったでしょ。
でも、日本がいつ、「原子力やるぞ」っていう一部の人たちがくっついて決めたかって。
樋口健二:
1957年ごろ。
かつて読売の社主に、正力松太郎というのがいて、その正力松太郎が永久戦犯だったから、アメリカから公職追放を食らった。
それでね、東京大学法学部を出ている男ですよ、まだ50代ですよ。
自分はどうしてもこのままじゃいけない。このままじゃ追放のままだ。これはアメリカにくっついたら何かできるだろう。
それが原子力なんです。
だから、ウエスティングハウスとGEの機械を持ち込んできたんだ、彼が。
それで、これだけじゃ入れられないから、彼は衆議院議員になったんだよ。
それで、科学技術庁の長官に伸び上がった。
それで、東海村へ原子力研究所を作る。
だから、原子力の父っちゅうのは正力松太郎なんだ。
その時にくっついてたのが、政治家の中曽根。
もう一人が、読売のナベツネ。
これは、20代の東大出のピンピンの記者がいて、これがみんなくっついてって、原子力勧めたんだよね。
言ってみれば、読売の社主が、アメリカの機械を持ち込んできた。
こういうことなんです。
アーサー・ビナード:
正力松太郎って、日本語で考えると、なんか大物政治家とか読売で。
でもアメリカから見るとね、なんか違ってて。
うちでは、正力松太郎じゃなくて正力ネギ太郎って言ってる(笑)
中曽根さんは、中曽根康弘じゃなくて中曽根康カモ。
それでカモネギ、ネギ太郎と康カモであの二人がやったんですよね。
樋口健二:
これからは俺もそういう言葉でやろう(笑)
アーサー・ビナード:
その歴史を、僕もいろんなところで学ばせてもらったんですけど、一つずっと気になっている、出発点というよりも、一つのなんか谷みたいな言葉が、ずーっと僕に刺さってるんですよね。
その言葉が日本国民の耳に入ったのが、1945年の8月15日、正午からなんですよね。
昭和天皇が放送で、国民に対して幾つかの事を知らせたんですね。
それを玉音放送というふうに言われるんですけど、録音したのはその前の日なんですよね。
そのなかで、
「朕(ちん)深く世界の体勢と帝国の現状とに鑑み(かんがみ)非常の措置を以て時局を収集せむと欲し茲(ここ)に忠良(ちゅうりょう)なる爾臣民(なんじしんみん)に告ぐ。
朕は帝国政府をして米英支蘇四国(べいえいしそしこく)に対しその共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」
そこから始まったのね。
で、その後に、いかに大東亜戦争が世紀の戦争であったか、みたいな文言が続くんですよね。
ポツダム宣言違反の文言を盛り込みながら、ポツダム宣言の受諾を発表しているという、不思議な文章なんですけど、
その後に、なんで戦争をやめて、なんでポツダム宣言を受諾するのか?っていう事を説明するんですね。
ちょっとね、古い言葉なので、もしかしたら2回ぐらい読んだほうがいいかもしれないけど、こういう言葉なんですね。
「最善を尽くせるに拘わらず戦局必ずしも好転せず、世界の大勢亦(また)我に利あらず。
加之(しかのみならず)敵は新に残虐なる爆弾を使用して頻に(しきりに)無辜(むく)を殺傷し惨害(さんがい)の及ぶ所(ところ)真(まこと)に測るべからざるに至る而も(しかも)尚交戦を継続せむか終に(ついに)我が民族の滅亡を招来するのみならず延て(ひいて)人類の文明をも破却すべし」
で、これをちょと読み解くとね、
なんで戦争を止めるか?っていうと、「敵は新たに残虐な爆弾を使ったから」なんです。
その「新たに残虐なる爆弾」は、広島のウラン弾と長崎のプルトニウム弾のことを言っているらしいんですよね。
具体的には何も言ってないんです。
だから、プルトニウムも出てこないし、ウランも出てこない。
でも、この新型爆弾「新たに残虐なる爆弾」が使われて、たくさんの人が殺されて、
「慘害の及ぶところまことに測るべからざるに至る」もう測り知れない被害が出ているから、それでやめます。
で、もしも戦争をこれ以上続けたらどうなるか。
「なお交戦を継続せむか終に(ついに)我が民族の滅亡を招来するのみならず延て(ひいて)人類の文明をも破却すべし」というふうに書いているんですね。
これは、日本政府の中枢にいる人が、もしもこれ以上戦争をやったら、核兵器をさらに多く使われる。
核兵器をまた使われたら、「核の冬」というものが来て、
「日本民族の滅亡だけではなくて、人類の文明が全て破壊されるから、なのでここで戦争をやめます」とおっしゃるんですよね。
僕が知りたいのは、なんで千代田区1番地のところに、「核の冬」の情報がきてるの?
なんでそれを知っているんですか?
こういう事を知っているのは、マンハッタン計画の極秘のプロジェクトの中枢にいる物理の専門家と、彼らの話を聞いている大統領や国務長官ですよ。
これ、書けない文章なんですよ、内部資料がなければ。
なんで「核の冬」が、この時点で、おっしゃる事ができるんですか?
で、それが原子力に、僕のなかでは繋がっていくんですよ。
つまり、日本政府にとっても、原爆投下は戦争を終わらせる口実になったんです。
口実として使えたんです。
しかも、国体が護持されて、一部の人を除いてはみんな再就職先が出来たんです。
正力さんも中曽根さんも、ネギ太郎も康カモも、それだけじゃなくて、この玉音放送を読み上げたお方もみんなちゃんと地位が守られて再就職先があったんですよ。
その再就職先を得ることを可能にしたのは、実はこの「残虐なる爆弾」の利用なんですよ。
だから核の利用は、実はここからペテンとして、PRとして、というか逃げ道、口実、その使い方が、実はここから始まっているんじゃないかと、僕は読んでるんですね。
だから、僕らが、この原子力の問題を考えて、市民として何か行動する時に、核開発、原爆、核兵器、今の世界の核支配。
それと、樋口さんがずーっと撮って、同じ目線で、同じ立ち位置で撮られた労働者。
これは全部、深~いところで全部繋がっている。
だから、日本政府、日本の一流企業、電事連の皆さんが、
「下々の労働者を被曝させて殺しても平気」という、この彼らの心意気、彼らの心境は、実はこういうところと繋がっていると思うんですよね。
樋口健二:
いい話でした。
僕知らなかったもの。
皆さん知ってました?
僕は知らなかった。
ー拍手ー
玉音放送の原文&現代語訳文
玉音放送
終戦の詔勅(玉音放送の内容)(より原文と現代語文をつかわせていただきました)
<原文>
<現代語訳文>
終戦の詔勅
朕(ちん)深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し、茲(ここ)に忠良なる爾(なんぢ)臣民(しんみん)に告ぐ。
私は、深く世界の大勢と日本の現状について考え、非常の手段によってこの事態を収拾しようと思い、忠義で善良なあなた方臣民に告げる。
朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し、其の共同宣言を受諾する旨、通告せしめたり。
私は、帝国政府に、米国、英国、中国、ソ連に対して、ポツダム宣言を受け入れることを通告せしめた。
抑々(そもそも)、帝国臣民の康寧を図り万邦共栄(ばんぽうきょうえい)の楽(たのしみ)を偕(とも)にするは、皇祖皇宗(こうそそうそう)の遺範(いはん)にして朕の拳々(けんけん)措(お)かざる所、(さき)に米英二国に宣戦せる所以(ゆえん)も、亦(また)実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに出(いで)て他国の主権を排し、領土を侵すが如きは固(もと)より朕が志にあらず。
そもそも日本国民の安全を確保し、世界の国々と共に栄えその喜びを共にすることは、私の祖先から行ってきたことであって、私もそのように努めてきた。
先に、米国・英国二国に宣戦を布告したのも、我が帝国の自立と東亜の安定を願ってのものであって、他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりするようなことは、もちろん私の意志ではない。
然るに交戦已(すで)に四歳(しさい)を閲(けみ)し朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚(ひゃくりょう)有司(ゆうし)の励精(れいせい)、朕が一億衆庶(しゅうしょ)の奉公各々(おのおの)最善を尽くせるに拘(かかわ)らず、戦局必ずしも好転せず。
しかしながら、戦闘状態はすでに4年を越え、私の陸海将兵の勇敢な戦闘や、私の官僚・公務員たちの勤勉なはたらき、私の1億国民の努力、それぞれ最善を尽くしたにもかかわらず、戦争における状況はよくならず。
世界の大勢、亦(また)我に利あらず。
世界の情勢も、我々には不利に働いている。
加之(しかのみならず)敵は新に残虐なる爆弾を使用して頻(しきり)りに無辜(むこ)を殺傷し惨害(さんがい)の及ぶ所、真に測るべからざるに至る。
それだけではない。敵は、新たに残虐な爆弾を使用して、何の罪もない多くの非戦闘員を殺傷し、その被害はまったく図り知れない。
而(しか)も尚、交戦を継続せむか、終(つい)に我が民族の滅亡を招来(しょうらい)するのみならず、延(のべ)て人類の文明をも破却(はきゃく)すべし。
それでもなお戦争を継続すれば、最終的には日本民族の滅亡を招き、そして人類文明をも破壊することになってしまうだろう。
斯(かく)の如(ごと)くは、朕何を以てか億兆の赤子(せきし)を保(ほ)し皇祖皇宗(こうそこうそう)の神霊に(しゃ)謝せむや。
そのような事態になったとしたら、私はどうして、わが子とも言える多くの国民を保ち、先祖の霊に謝罪することができようか。
是れ、朕が帝国政府をして共同宣言に応せしむるに至れる所以(ゆえん)なり。
これこそが政府に、ポツダム宣言に応じるようにさせた理由である。
朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦(しょめいほう)に対し、遺憾の意を表せざるを得ず。
私は、日本とともに、終始東亜の植民地解放に協力した友好国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。
帝国臣民にして戦陣に死し、職域に殉し、非命(ひめい)に斃(たお)れたる者、及び其の遺族に想を致(いた)せば五内(ごない)為(ため)に裂く。
帝国臣民にして戦場で没し、職場で殉職し、悲惨な最期を遂げた者、またその遺族のことを考えると、体中が引き裂かれる思いがする。
且(かつ)、戦傷を負ひ、災禍(さいか)を蒙(こうむ)り家業を失ひたる者の厚生に至りては、朕の深く軫念(しんねん)する所なり。
さらに、戦場で負傷し、戦禍に遭い、家や職場を失った者の厚生については、私が深く心配するところである。
惟(おも)ふに今後、帝国の受くべき苦難は固(もと)より尋常にあらず。
思うに、これから日本の受けるであろう苦難は、大変なものになる。
爾(なんじ)臣民の衷情(ちゅうじょう)も、朕(ちん)善(よ)く之(これ)を知る。
国民たちの負けたくないという気持ちも、私はよく知っている。
然れども、朕は時運の趨(おもむ)く所、堪(た)へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ、以て万世(ばんせい)の為に太平を開かむと欲す。
しかし私は、これから耐え難いことを耐え、忍び難いことを忍んで、将来のために平和を実現しようと思う。
朕は茲(ここ)に国体を護持(ごじ)し得て、忠良なる爾(なんじ)臣民の赤誠(せきせい)に信倚(しんき)し、常に爾臣民と共に在り。
私は、ここにこうして国体を守り、忠義で善良なあなた方臣民の真心を信頼し、そして、いつもあなた方臣民とともにある。
若(も)し夫(そ)れ、情の激する所、濫(みだり)に事端(じたん)を滋(しげ)くし、或(あるい)は同胞(どうほう)排擠(はいせい)互に時局を亂(みだ)り爲(ため)に大道を誤り、信義を世界に失ふが如きは、朕最も之を戒(いまし)む。
もし、感情的になって争い事をしたり、同胞同士がいがみあって国家を混乱に陥らせて、世界から信用を失うようなことを、私は強く懸念している。
宜(よろ)しく挙國(きょこく)一家(いっか)子孫(しそん)相(あい)傳(つた)え、確(かた)く神州の不滅を信じ、任重くして道遠きを念(おも)い、総力を將來(しょうらい)の建設に傾け、道義を篤くし志操(しそう)を鞏(かた)くし誓って国体の精華(せいか)を発揚(はつよう)し、世界の進運(しんうん)に後れさらんことを期すべし。
国を挙げて一つの家族のように団結し、子孫ともども、固く神国日本の不滅を信じ、道は遠く責任は重大であることを自覚し、総力を将来の建設のために傾け、道義心と志操を固く持ち、日本の栄光を再び輝かせるよう、世界の動きに遅れないように努めなさい。
爾(なんじ)臣民其れ克(なんじ)く朕が意を體(たい)せよ。
あなた方臣民は、私の気持ちを理解し、そのようにしてほしい。
御名御璽(ぎょめいぎょじ)
天皇の署名と印璽
昭和二十年八月十四日
「ポツダム宣言について僕はこう考えています」って安倍さんが言ったら、安倍政権は潰されるんです。
樋口健二×アーサービナード(文字起こし)
なんで安倍総理はこういう言い回しで逃げたか?っていうと、
「ポツダム宣言を読んでます」で、「ポツダム宣言について僕はこう考えています」って安倍さんが言ったら、安倍政権は潰されるんです。
「受け入れられない」と言ったら、米政府は安倍政権潰します。
「僕はポツダム宣言を100%受け入れます」って言ったら、自分の支持基盤、家系の右翼が全部破綻します。
だからどっちも言えないから、安倍さんは「わかんない」と逃げた。
共産党の志位委員長は、王手をかけていたということだったのだろうか…。
「ポツダム宣言も読んでない総理大臣」という、安倍はただのおバカかと思っていたが、
「読んだ」とは言えない事情があったのだ。
「へぇ~そうだったんだ」と納得しちゃう話なので、文字起こししました。
2015年12月20日
樋口健二氏&アーサー・ビナード氏 コラボトーク講演会
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/YhZIRwFjtec?t=59m26s
アーサー・ビナード:
5月に、共産党の志位さんが、とても鋭い質問を党首討論の時にしたんですよね。
安倍総理に対して、「ポツダム宣言の認識はどうですか?」って。
あれはすごい、見事な質問ですよね。
樋口健二:
面白かった。
アーサー・ビナード:
面白かったね。
安倍総理はなんて言ったか?って、
樋口健二:
「読んでません」って言ったんだよね(笑)
アーサー・ビナード:
あのね、厳密に言うと、樋口さんちょっと大雑把でした。
「読んでません」って言ったら、それはまずいですね。
安倍さんが言ったのは、
「まぁ、このポツダム宣言を我々は受諾をし、そして敗戦となったわけでございます。
そして今、えー、わたしも、つまびらかに承知をしているわけではございませんが、
ポツダム宣言の中にあった連合国側の理解、たとえば日本の、日本が世界征服を企んだ、えー、ということを、
どうも、あのー、いまもね、紹介になられました、えー、わたしは、わたしもいま、えー、この部分を、つまびらかに読んでおりませんので、えー、承知は、えー承知はしておりませんから、
え、いまここで、直ちに論評することは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、えー、ですね、いずれにせよ、えー、まさに先の大戦の痛切な反省によって、今日の歩みがあるわけでありました」
樋口健二:
よく取ってきましたね。「読んでねえ」っていうところだけ聞いてた。(笑)
アーサービナード:
「読んでない」んじゃなくて「つまびらかに」、これ、日本語、特殊な日本語の使い方。
樋口健二:
僕が直訳するとね、「読んでねえ」と同じなんだ。
アーサー・ビナード:
そう、心境的には正しいんですけど、
「つまびらかに読んでいないので、承知はしていない」
「承知はしていないので、直ちに論評することは差し控えたい」、っつったんですね。
だったらさ、6月に読んだ上でなんか言えよ。
だったらさ、志位さんは機会あるごとに、志位さんだけじゃなくて「読んだかよ?」「読んで来い」って、毎日毎日、誰かがこれをつきつけなきゃダメなんですよ。
だって8月に、つまびらかにポツダム宣言を読まずに、70年談話を出しやがってんだよ。
つまびらかにポツダム宣言を読んでいない奴が、どうやって70年談話を出すんですか?
だから、今からでも遅くないから、皆さん聞いてくださいよ、安倍さんに。
つまびらかに読んだか?
じゃあどうなんだ?って。
で、なんで安倍総理は、こういう言い回しで逃げたか?っていうと、
「ポツダム宣言を読んでます」って、「ポツダム宣言について僕はこう考えています」って安倍さんが言ったら、安倍政権は潰されるんです。
選択肢は二つあるんです。
「ポツダム宣言を読んだ」って言っちゃうと、あとは進む道は二つしかないんです。
一つは、
「ポツダム宣言にはいろんな問題があって、歴史的な事実と食い違っているところがあるので、そこは受け入れられない」って。
そう言ったら、安倍さんの支持の基盤になっているはずの右寄りの人たちは、もしかしたらね「ポツダム宣言は問題がある」って、ずっと右翼の伝統としてあるから喜ぶかもしれないけど、
安倍総理がそんなことを言ったら、もうその日の日付が変わる前に総辞職ですよ。
ポツダム宣言に文句をつけるっていうことは、もう政治生命終わり。
米政府は安倍政権潰します。
で、アメリカ国内でばーっと爆発します。
「ポツダム宣言受け入れない?コノヤロー!70年経って何を言いやがるんだ」って言って、
安倍さんは政治を、総理大臣を辞めるんじゃなくて、議員の生命が終わりなんです。
だから、「ポツダム宣言に問題がある」ていうことは、口が裂けても言えないんです。
でも、じゃあ、
「ポツダム宣言に何の問題もありません」「ポツダム宣言大好きです。僕はポツダム宣言100%受け入れます」って言ったら、
自分の支持基盤、自分の伝統、家系の右翼が、全部破綻しますから。
だから、どっちも言えないから、安倍さんは、
高校生といろんな話をすると、彼らもよく使うんです。
追い込まれるとね、「わかんない」。
で、安倍さんは「わかんない」。
ちょっと違う「つまびらか」とかっていう言葉は使っているけれど、要するに「わかんない」。
なんでポツダム宣言を問題にすると、こういうことがあぶり出されるかというと、ポツダム宣言はすごい文章がいいんですよ。
みんな読むべきなんです。
なんでこれがまかり通るかというと、皆さんもポツダム宣言を読んでいないからなんです。
樋口健二:
僕は出てますから。
アーサー・ビナード:
でも、訳がイマイチなんで、僕は今、和訳を作ろうとしていて。
来年(2016年)は、ポツダム宣言をつまびらかに読むっていうのを。
で、ポツダム宣言の中に番号が振ってあって、すっごくまともなことが書いてあるんです。
6番が1番、安倍さんと直接関わる部分なんですけど、6番にはなんて書いてあるか?というと、
6. There must be eliminated for all time the authority and influence of those who have deceived and misled the people of Japan into embarking on world conquest, 世界征服ってここなんですよね。
for we insist that a new order of peace, security and justice will be impossible until irresponsible militarism is driven from the world.
まだちょっと訳が…、
樋口健二:
じゃ訳して~。
アーサー・ビナード:
日本国民をペテンにかけて、
樋口健二:(笑)
アーサー・ビナード:
いや、本当ですよ。
misled(間違った方向に導いた)とdeceived(人を〉だます,欺(あざむ)く)って、ペテンって訳さないと伝わらないです。
日本国民をあざむいて、世界征服のペテンにかけ、袋小路に導いてしまう指導者たち。
彼らの支配力、権威、あらゆる影響力を、社会から永久に追放しなければなりません。
これですよ。
だから、岸とか正力ネギ太郎とか、また権力を握ったり権威になったり、支配力を持つということは絶対にありえない。
ポツダム宣言受諾というのは、そういうことを意味するのだから。
日本国民を欺いた指導者たちの支配力、権威、あらゆる影響力を、社会から永久に追放しなければなりません。
無責任な軍国主義を根絶やしにしない限りは、正義と安全を基調とする世界の秩序は生まれないからだ。
っていうことなんです。
で、この「ポツダム宣言を受諾しました」って言いながらも、実は何も遂行していないです。
何も現実と噛み合わせていないんですよね。
なにもしてない。
それは、日本政府の生き残りっていうか、日本の権力者、支配階級の生き残りの作戦だったんだけど、
このポツダム宣言に一番違反して、ポツダム宣言を反故にして、このポツダム宣言を作り上げたアメリカ国民を一番バカにしているのは、米政府なんです。
樋口健二:
てめぇの国ですか。
アーサー・ビナード:
そうです。
ポツダム宣言に違反しているのは、もちろん日本政府もそうだけど、日本政府はポチの、属国の、米属機関でしょ。
樋口健二:
そのとおり。
アーサー・ビナード:
ポツダム宣言を実行に移す権限と力を持っていたのは、アメリカ政府なんです。
GHQ(連合国最高司令官総司令部 General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powers)なんですから。
で、こういう文章を作って、アメリカ国民に大々的に発表して、
「大日本帝國の悪い奴をみんなこれでやっつけます」
「彼らは日本社会から摘出して、まともな日本に生まれ変われるように俺たちがするから任せてください」って言って、
アメリカ国民を、1945年の7月下旬に、そういうことを発表して、ある意味信頼を得たんです。
ところが結局、占領が始まると、全然そういうことをしないで、ポツダム宣言を全部、米政府が反故にした。
その蓋がまた開くと、米政府がヤバい。
だから彼らの無責任、彼らの裏切り、アメリカ国民を裏切った米政府の問題があぶり出されるから、絶対取り上げちゃいけない。
樋口健二:
共同通信というところがおそらく、「ポツダム宣言読みませんか」なんていう本を出しているはずなんだよね。
アーサー・ビナード:
だろうね、出したほうがいいと思うよ、僕がやると時間がかかるから。
樋口健二:
でも、あなたのほうが、明確な日本語になるじゃない。
アーサー・ビナード:
本にする前に、インターネットにバーッとアップして、みんなで読みたい。
「ポツダム宣言をつまびらかに読む」ホームページを作りましょう。
樋口健二:
本にしてよ。僕は本で読みたい。
アーサー・ビナード:
わかりました。
安倍総理の答弁2分過ぎから→https://youtu.be/XsKrST00fBg?t=2m9s
ポツダム宣言
原文(出典:国立国会図書館 Birth of the Construction ofJapan>The Constitution and Other Documents)
現代語訳(神奈川県議会議員大山奈々子 ポツダム宣言つまびらかに読んでみました)←読みやすい訳文なので
外務省の日本語訳(出典:外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻 1966年刊)←きーこさんはこの訳も掲載してくださったのですが、文字制限の2万字を超えてしまうため、ここでは省略させていただきます。
Proclamation Defining Terms for Japanese Surrender
Issued, at Potsdam, July 26, 1945
日本の降伏のための定義および規約
1945年7月26日、ポツダムにおける宣言
1. We-the President of the United States, the President of the National Government of the Republic of China, and the Prime Minister of Great Britain, representing the hundreds of millions of our countrymen, have conferred and agree that Japan shall be given an opportunity to end this war.
1.我々、アメリカ合衆国大統領、中華民国主席とイギリス首相は、我々の数億の国民を代表して協議した結果、この戦争終結の機会を日本に与えることで意見が一致した。
2. The prodigious land, sea and air forces of the United States, the British Empire and of China, many times reinforced by their armies and air fleets from the west, are poised to strike the final blows upon Japan. This military power is sustained and inspired by the determination of all the Allied Nations to prosecute the war against Japan until she ceases to resist.
2.アメリカ、イギリス、そして中国の陸海空軍は、何度も陸軍、航空編隊の増強を受けて巨大になっており、日本に対して最後の一撃を加える体制が整っている。この軍事力は、日本が抵抗をやめるまで同盟国によって維持できるものだ。
3. The result of the futile and senseless German resistance to the might of the aroused free peoples of the world stands forth in awful clarity as an example to the people of Japan. The might that now converges on Japan is immeasurably greater than that which, when applied to the resisting Nazis, necessarily laid waste to the lands, the industry and the method of life of the whole German people. The full application of our military power, backed by our resolve, will mean the inevitable and complete destruction of the Japanese armed forces and just as inevitably the utter devastation of the Japanese homeland.
3.世界中の自由な人々は立ち上がった。それに対してドイツが採った無益かつ無意味な抵抗の結果は、日本の人々に対しても極めて明快な例として示されている。現在日本に向かって集中しつつある力は、ナチスの抵抗に対して用いられた力―全ドイツ民の生活、産業、国土を荒廃させるのに必要だった力―に比べると、測り知れないほど大きいものだ。決意をもって、我々の軍事力全てを投入すれば、日本軍は壊滅し、また、日本の国土は焦土と化すだろう。
4. The time has come for Japan to decide whether she will continue to be controlled by those self-willed militaristic advisers whose unintelligent calculations have brought the Empire of Japan to the threshold of annihilation, or whether she will follow the path of reason.
4.日本が決断する時は来ている。知力を欠いた身勝手な軍国主義者によって制御され続け、滅亡の淵に至るのか。それとも、理性の道を選ぶのか。
5. Following are our terms. We will not deviate from them. There are no alternatives. We shall brook no delay.
5.我々の条件は以下の通り。条件からの逸脱はないものとする。代替条件はない。遅延も一切認めない。
6. There must be eliminated for all time the authority and influence of those who have deceived and misled the people of Japan into embarking on world conquest, for we insist that a new order of peace, security and justice will be impossible until irresponsible militarism is driven from the world.
6.日本の人々をだまし、間違った方向に導き、世界征服に誘った影響勢力や権威・権力は、排除されなければならない。無責任な軍国主義が世界からなくなるまでは、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能である。
6.(とても理解しやすい アーサー訳)
日本国民をあざむいて世界征服のペテンにかけ、袋小路に導いてしまう指導者たち。彼らの支配力、権威、あらゆる影響力を社会から永久に追放しなければなりません。無責任な軍国主義を根絶やしにしない限りは、正義と安全を基調とする世界の秩序は生まれないからだ。
7. Until such a new order is established and until there is convincing proof that Japan's war-making power is destroyed, points in Japanese territory to be designated by the Allies shall be occupied to secure the achievement of the basic objectives we are here setting forth.
7.そのような新秩序が確立されるまで、また日本の戦争遂行能力が壊滅したと明確に証明できるまで、連合国軍が指定する日本領土内の諸地点は、連合国軍がこれを占領するものとする。基本的目的の達成を担保するためである。
8. The terms of the Cairo Declaration shall be carried out and Japanese sovereignty shall be limited to the islands of Honshu, Hokkaido, Kyushu, Shikoku and such minor islands as we determine.
8.カイロ宣言の条項は履行されるべきものとし、また、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする。
9. The Japanese military forces, after being completely disarmed, shall be permitted to return to their homes with the opportunity to lead peaceful and productive lives.
9.日本の軍隊は、完全に武装解除されてから帰還を許し、平和で生産的な生活を営む機会を与えることとする。
10. We do not intend that the Japanese shall be enslaved as a race or destroyed as a nation, but stern justice shall be meted out to all war criminals, including those who have visited cruelties upon our prisoners. The Japanese Government shall remove all obstacles to the revival and strengthening of democratic tendencies among the Japanese people. Freedom of speech, of religion, and of thought, as well as respect for the fundamental human rights shall be established.
10.我々は、日本を人種差別し、奴隷化するつもりもなければ国を絶滅させるつもりもない。しかし、われわれの捕虜を虐待した者を含めて、全ての戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を行うものとする。日本政府は、日本の人々の間に民主主義的風潮を強化しあるいは復活するにあたって、障害となるものは排除する。言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重が確立されなければならない。
11. Japan shall be permitted to maintain such industries as will sustain her economy and permit the exaction of just reparations in kind, but not those which would enable her to re-arm for war. To this end, access to, as distinguished from control of, raw materials shall be permitted. Eventual Japanese participation in world trade relations shall be permitted.
11.日本は産業の維持を許される。そして経済を持続し、正当な戦争賠償の取り立てに充当する。しかし、戦争を目的とする軍備拡張のためのものではない。この目的のため、原材料の入手はこれを許される。ただし、入手と支配とは区別する。世界貿易取引関係への日本の事実上の参加を許すものとする。
12. The occupying forces of the Allies shall be withdrawn from Japan as soon as these objectives have been accomplished and there has been established in accordance with the freely expressed will of the Japanese people a peacefully inclined and responsible government.
12.連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯び、かつ責任ある政府が樹立される限りにおいて、直ちに日本より撤退するものとする。
13. We call upon the government of Japan to proclaim now the unconditional surrender of all Japanese armed forces, and to provide proper and adequate assurances of their good faith in such action. The alternative for Japan is prompt and utter destruction.
13.我々は日本政府に対し日本軍の無条件降伏の宣言を要求する。かつ、誠意を持って実行されるよう、適切かつ十二分な保証を求める。もし拒否すれば、日本は即座にかつ徹底して撃滅される。
<玉音放送にある隠れた真実>
天皇・永久戦犯の地位を守った「残虐なる爆弾」の利用
樋口健二×アーサー・ビナード(文字起こし)
昭和天皇の玉音放送について、「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」、私はこの部分しか知らなかった。
今までに、玉音放送の中身全てを聞いたことも読んだこともなかったし、読んでみようと思ったこともなかったから。
「なぜ、昭和天皇や永久戦犯の正力松太郎などの人々の地位が守られたのか?」
アメリカ人のアーサーが玉音放送を読み解くと、その中ある答えがあった。
「おっ!日本人は知っておくべきだ」
と思ったので、以下その部分の文字起こしをしました。
2015年12月20日
樋口健二氏&アーサー・ビナード氏 コラボトーク講演会
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/YhZIRwFjtec?t=47m27s
アーサー・ビナード:
日本の原子力のペテン、そもそもの出発点はどこか。
僕はずっとそれが気になってて。
というのはね、僕が生まれ育った国は、日本と違って、本当に原子力を作った輩がいるんですよ。
アメリカは、日本みたいに、どこからか買ってきて英語のマニュアルを和訳して、そして福島で湯沸かしをしているっていうのと違うんですよ。
米国とロシアは自分たちで作ったんだから、だから本物のワルなんです。
日本はもう、プチの可愛いペットみたいなやつらで、日本の原発業界は悪質だけど、小物ばっかり。
だけどアメリカは、本当の大悪がいるから。
彼らは、原発労働者の前のマンハッタン計画の中で、労働者を被ばくさせて殺し、実験に使って被ばく…。
放射能汚染をテネシー州で、ネバダ州で、ユタ州で、ニューメキシコ、ワシントンのコロンビアタワーを殺して、もうすごいことを…。
アメリカ国民に一切何も知らせないで、マンハッタン計画の秘密の中でやったでしょ。
でも、日本がいつ、「原子力やるぞ」っていう一部の人たちがくっついて決めたかって。
樋口健二:
1957年ごろ。
かつて読売の社主に、正力松太郎というのがいて、その正力松太郎が永久戦犯だったから、アメリカから公職追放を食らった。
それでね、東京大学法学部を出ている男ですよ、まだ50代ですよ。
自分はどうしてもこのままじゃいけない。このままじゃ追放のままだ。これはアメリカにくっついたら何かできるだろう。
それが原子力なんです。
だから、ウエスティングハウスとGEの機械を持ち込んできたんだ、彼が。
それで、これだけじゃ入れられないから、彼は衆議院議員になったんだよ。
それで、科学技術庁の長官に伸び上がった。
それで、東海村へ原子力研究所を作る。
だから、原子力の父っちゅうのは正力松太郎なんだ。
その時にくっついてたのが、政治家の中曽根。
もう一人が、読売のナベツネ。
これは、20代の東大出のピンピンの記者がいて、これがみんなくっついてって、原子力勧めたんだよね。
言ってみれば、読売の社主が、アメリカの機械を持ち込んできた。
こういうことなんです。
アーサー・ビナード:
正力松太郎って、日本語で考えると、なんか大物政治家とか読売で。
でもアメリカから見るとね、なんか違ってて。
うちでは、正力松太郎じゃなくて正力ネギ太郎って言ってる(笑)
中曽根さんは、中曽根康弘じゃなくて中曽根康カモ。
それでカモネギ、ネギ太郎と康カモであの二人がやったんですよね。
樋口健二:
これからは俺もそういう言葉でやろう(笑)
アーサー・ビナード:
その歴史を、僕もいろんなところで学ばせてもらったんですけど、一つずっと気になっている、出発点というよりも、一つのなんか谷みたいな言葉が、ずーっと僕に刺さってるんですよね。
その言葉が日本国民の耳に入ったのが、1945年の8月15日、正午からなんですよね。
昭和天皇が放送で、国民に対して幾つかの事を知らせたんですね。
それを玉音放送というふうに言われるんですけど、録音したのはその前の日なんですよね。
そのなかで、
「朕(ちん)深く世界の体勢と帝国の現状とに鑑み(かんがみ)非常の措置を以て時局を収集せむと欲し茲(ここ)に忠良(ちゅうりょう)なる爾臣民(なんじしんみん)に告ぐ。
朕は帝国政府をして米英支蘇四国(べいえいしそしこく)に対しその共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」
そこから始まったのね。
で、その後に、いかに大東亜戦争が世紀の戦争であったか、みたいな文言が続くんですよね。
ポツダム宣言違反の文言を盛り込みながら、ポツダム宣言の受諾を発表しているという、不思議な文章なんですけど、
その後に、なんで戦争をやめて、なんでポツダム宣言を受諾するのか?っていう事を説明するんですね。
ちょっとね、古い言葉なので、もしかしたら2回ぐらい読んだほうがいいかもしれないけど、こういう言葉なんですね。
「最善を尽くせるに拘わらず戦局必ずしも好転せず、世界の大勢亦(また)我に利あらず。
加之(しかのみならず)敵は新に残虐なる爆弾を使用して頻に(しきりに)無辜(むく)を殺傷し惨害(さんがい)の及ぶ所(ところ)真(まこと)に測るべからざるに至る而も(しかも)尚交戦を継続せむか終に(ついに)我が民族の滅亡を招来するのみならず延て(ひいて)人類の文明をも破却すべし」
で、これをちょと読み解くとね、
なんで戦争を止めるか?っていうと、「敵は新たに残虐な爆弾を使ったから」なんです。
その「新たに残虐なる爆弾」は、広島のウラン弾と長崎のプルトニウム弾のことを言っているらしいんですよね。
具体的には何も言ってないんです。
だから、プルトニウムも出てこないし、ウランも出てこない。
でも、この新型爆弾「新たに残虐なる爆弾」が使われて、たくさんの人が殺されて、
「慘害の及ぶところまことに測るべからざるに至る」もう測り知れない被害が出ているから、それでやめます。
で、もしも戦争をこれ以上続けたらどうなるか。
「なお交戦を継続せむか終に(ついに)我が民族の滅亡を招来するのみならず延て(ひいて)人類の文明をも破却すべし」というふうに書いているんですね。
これは、日本政府の中枢にいる人が、もしもこれ以上戦争をやったら、核兵器をさらに多く使われる。
核兵器をまた使われたら、「核の冬」というものが来て、
「日本民族の滅亡だけではなくて、人類の文明が全て破壊されるから、なのでここで戦争をやめます」とおっしゃるんですよね。
僕が知りたいのは、なんで千代田区1番地のところに、「核の冬」の情報がきてるの?
なんでそれを知っているんですか?
こういう事を知っているのは、マンハッタン計画の極秘のプロジェクトの中枢にいる物理の専門家と、彼らの話を聞いている大統領や国務長官ですよ。
これ、書けない文章なんですよ、内部資料がなければ。
なんで「核の冬」が、この時点で、おっしゃる事ができるんですか?
で、それが原子力に、僕のなかでは繋がっていくんですよ。
つまり、日本政府にとっても、原爆投下は戦争を終わらせる口実になったんです。
口実として使えたんです。
しかも、国体が護持されて、一部の人を除いてはみんな再就職先が出来たんです。
正力さんも中曽根さんも、ネギ太郎も康カモも、それだけじゃなくて、この玉音放送を読み上げたお方もみんなちゃんと地位が守られて再就職先があったんですよ。
その再就職先を得ることを可能にしたのは、実はこの「残虐なる爆弾」の利用なんですよ。
だから核の利用は、実はここからペテンとして、PRとして、というか逃げ道、口実、その使い方が、実はここから始まっているんじゃないかと、僕は読んでるんですね。
だから、僕らが、この原子力の問題を考えて、市民として何か行動する時に、核開発、原爆、核兵器、今の世界の核支配。
それと、樋口さんがずーっと撮って、同じ目線で、同じ立ち位置で撮られた労働者。
これは全部、深~いところで全部繋がっている。
だから、日本政府、日本の一流企業、電事連の皆さんが、
「下々の労働者を被曝させて殺しても平気」という、この彼らの心意気、彼らの心境は、実はこういうところと繋がっていると思うんですよね。
樋口健二:
いい話でした。
僕知らなかったもの。
皆さん知ってました?
僕は知らなかった。
ー拍手ー
玉音放送の原文&現代語訳文
玉音放送
終戦の詔勅(玉音放送の内容)(より原文と現代語文をつかわせていただきました)
<原文>
<現代語訳文>
終戦の詔勅
朕(ちん)深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し、茲(ここ)に忠良なる爾(なんぢ)臣民(しんみん)に告ぐ。
私は、深く世界の大勢と日本の現状について考え、非常の手段によってこの事態を収拾しようと思い、忠義で善良なあなた方臣民に告げる。
朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し、其の共同宣言を受諾する旨、通告せしめたり。
私は、帝国政府に、米国、英国、中国、ソ連に対して、ポツダム宣言を受け入れることを通告せしめた。
抑々(そもそも)、帝国臣民の康寧を図り万邦共栄(ばんぽうきょうえい)の楽(たのしみ)を偕(とも)にするは、皇祖皇宗(こうそそうそう)の遺範(いはん)にして朕の拳々(けんけん)措(お)かざる所、(さき)に米英二国に宣戦せる所以(ゆえん)も、亦(また)実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに出(いで)て他国の主権を排し、領土を侵すが如きは固(もと)より朕が志にあらず。
そもそも日本国民の安全を確保し、世界の国々と共に栄えその喜びを共にすることは、私の祖先から行ってきたことであって、私もそのように努めてきた。
先に、米国・英国二国に宣戦を布告したのも、我が帝国の自立と東亜の安定を願ってのものであって、他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりするようなことは、もちろん私の意志ではない。
然るに交戦已(すで)に四歳(しさい)を閲(けみ)し朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚(ひゃくりょう)有司(ゆうし)の励精(れいせい)、朕が一億衆庶(しゅうしょ)の奉公各々(おのおの)最善を尽くせるに拘(かかわ)らず、戦局必ずしも好転せず。
しかしながら、戦闘状態はすでに4年を越え、私の陸海将兵の勇敢な戦闘や、私の官僚・公務員たちの勤勉なはたらき、私の1億国民の努力、それぞれ最善を尽くしたにもかかわらず、戦争における状況はよくならず。
世界の大勢、亦(また)我に利あらず。
世界の情勢も、我々には不利に働いている。
加之(しかのみならず)敵は新に残虐なる爆弾を使用して頻(しきり)りに無辜(むこ)を殺傷し惨害(さんがい)の及ぶ所、真に測るべからざるに至る。
それだけではない。敵は、新たに残虐な爆弾を使用して、何の罪もない多くの非戦闘員を殺傷し、その被害はまったく図り知れない。
而(しか)も尚、交戦を継続せむか、終(つい)に我が民族の滅亡を招来(しょうらい)するのみならず、延(のべ)て人類の文明をも破却(はきゃく)すべし。
それでもなお戦争を継続すれば、最終的には日本民族の滅亡を招き、そして人類文明をも破壊することになってしまうだろう。
斯(かく)の如(ごと)くは、朕何を以てか億兆の赤子(せきし)を保(ほ)し皇祖皇宗(こうそこうそう)の神霊に(しゃ)謝せむや。
そのような事態になったとしたら、私はどうして、わが子とも言える多くの国民を保ち、先祖の霊に謝罪することができようか。
是れ、朕が帝国政府をして共同宣言に応せしむるに至れる所以(ゆえん)なり。
これこそが政府に、ポツダム宣言に応じるようにさせた理由である。
朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦(しょめいほう)に対し、遺憾の意を表せざるを得ず。
私は、日本とともに、終始東亜の植民地解放に協力した友好国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。
帝国臣民にして戦陣に死し、職域に殉し、非命(ひめい)に斃(たお)れたる者、及び其の遺族に想を致(いた)せば五内(ごない)為(ため)に裂く。
帝国臣民にして戦場で没し、職場で殉職し、悲惨な最期を遂げた者、またその遺族のことを考えると、体中が引き裂かれる思いがする。
且(かつ)、戦傷を負ひ、災禍(さいか)を蒙(こうむ)り家業を失ひたる者の厚生に至りては、朕の深く軫念(しんねん)する所なり。
さらに、戦場で負傷し、戦禍に遭い、家や職場を失った者の厚生については、私が深く心配するところである。
惟(おも)ふに今後、帝国の受くべき苦難は固(もと)より尋常にあらず。
思うに、これから日本の受けるであろう苦難は、大変なものになる。
爾(なんじ)臣民の衷情(ちゅうじょう)も、朕(ちん)善(よ)く之(これ)を知る。
国民たちの負けたくないという気持ちも、私はよく知っている。
然れども、朕は時運の趨(おもむ)く所、堪(た)へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ、以て万世(ばんせい)の為に太平を開かむと欲す。
しかし私は、これから耐え難いことを耐え、忍び難いことを忍んで、将来のために平和を実現しようと思う。
朕は茲(ここ)に国体を護持(ごじ)し得て、忠良なる爾(なんじ)臣民の赤誠(せきせい)に信倚(しんき)し、常に爾臣民と共に在り。
私は、ここにこうして国体を守り、忠義で善良なあなた方臣民の真心を信頼し、そして、いつもあなた方臣民とともにある。
若(も)し夫(そ)れ、情の激する所、濫(みだり)に事端(じたん)を滋(しげ)くし、或(あるい)は同胞(どうほう)排擠(はいせい)互に時局を亂(みだ)り爲(ため)に大道を誤り、信義を世界に失ふが如きは、朕最も之を戒(いまし)む。
もし、感情的になって争い事をしたり、同胞同士がいがみあって国家を混乱に陥らせて、世界から信用を失うようなことを、私は強く懸念している。
宜(よろ)しく挙國(きょこく)一家(いっか)子孫(しそん)相(あい)傳(つた)え、確(かた)く神州の不滅を信じ、任重くして道遠きを念(おも)い、総力を將來(しょうらい)の建設に傾け、道義を篤くし志操(しそう)を鞏(かた)くし誓って国体の精華(せいか)を発揚(はつよう)し、世界の進運(しんうん)に後れさらんことを期すべし。
国を挙げて一つの家族のように団結し、子孫ともども、固く神国日本の不滅を信じ、道は遠く責任は重大であることを自覚し、総力を将来の建設のために傾け、道義心と志操を固く持ち、日本の栄光を再び輝かせるよう、世界の動きに遅れないように努めなさい。
爾(なんじ)臣民其れ克(なんじ)く朕が意を體(たい)せよ。
あなた方臣民は、私の気持ちを理解し、そのようにしてほしい。
御名御璽(ぎょめいぎょじ)
天皇の署名と印璽
昭和二十年八月十四日
「ポツダム宣言について僕はこう考えています」って安倍さんが言ったら、安倍政権は潰されるんです。
樋口健二×アーサービナード(文字起こし)
なんで安倍総理はこういう言い回しで逃げたか?っていうと、
「ポツダム宣言を読んでます」で、「ポツダム宣言について僕はこう考えています」って安倍さんが言ったら、安倍政権は潰されるんです。
「受け入れられない」と言ったら、米政府は安倍政権潰します。
「僕はポツダム宣言を100%受け入れます」って言ったら、自分の支持基盤、家系の右翼が全部破綻します。
だからどっちも言えないから、安倍さんは「わかんない」と逃げた。
共産党の志位委員長は、王手をかけていたということだったのだろうか…。
「ポツダム宣言も読んでない総理大臣」という、安倍はただのおバカかと思っていたが、
「読んだ」とは言えない事情があったのだ。
「へぇ~そうだったんだ」と納得しちゃう話なので、文字起こししました。
2015年12月20日
樋口健二氏&アーサー・ビナード氏 コラボトーク講演会
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/YhZIRwFjtec?t=59m26s
アーサー・ビナード:
5月に、共産党の志位さんが、とても鋭い質問を党首討論の時にしたんですよね。
安倍総理に対して、「ポツダム宣言の認識はどうですか?」って。
あれはすごい、見事な質問ですよね。
樋口健二:
面白かった。
アーサー・ビナード:
面白かったね。
安倍総理はなんて言ったか?って、
樋口健二:
「読んでません」って言ったんだよね(笑)
アーサー・ビナード:
あのね、厳密に言うと、樋口さんちょっと大雑把でした。
「読んでません」って言ったら、それはまずいですね。
安倍さんが言ったのは、
「まぁ、このポツダム宣言を我々は受諾をし、そして敗戦となったわけでございます。
そして今、えー、わたしも、つまびらかに承知をしているわけではございませんが、
ポツダム宣言の中にあった連合国側の理解、たとえば日本の、日本が世界征服を企んだ、えー、ということを、
どうも、あのー、いまもね、紹介になられました、えー、わたしは、わたしもいま、えー、この部分を、つまびらかに読んでおりませんので、えー、承知は、えー承知はしておりませんから、
え、いまここで、直ちに論評することは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、えー、ですね、いずれにせよ、えー、まさに先の大戦の痛切な反省によって、今日の歩みがあるわけでありました」
樋口健二:
よく取ってきましたね。「読んでねえ」っていうところだけ聞いてた。(笑)
アーサービナード:
「読んでない」んじゃなくて「つまびらかに」、これ、日本語、特殊な日本語の使い方。
樋口健二:
僕が直訳するとね、「読んでねえ」と同じなんだ。
アーサー・ビナード:
そう、心境的には正しいんですけど、
「つまびらかに読んでいないので、承知はしていない」
「承知はしていないので、直ちに論評することは差し控えたい」、っつったんですね。
だったらさ、6月に読んだ上でなんか言えよ。
だったらさ、志位さんは機会あるごとに、志位さんだけじゃなくて「読んだかよ?」「読んで来い」って、毎日毎日、誰かがこれをつきつけなきゃダメなんですよ。
だって8月に、つまびらかにポツダム宣言を読まずに、70年談話を出しやがってんだよ。
つまびらかにポツダム宣言を読んでいない奴が、どうやって70年談話を出すんですか?
だから、今からでも遅くないから、皆さん聞いてくださいよ、安倍さんに。
つまびらかに読んだか?
じゃあどうなんだ?って。
で、なんで安倍総理は、こういう言い回しで逃げたか?っていうと、
「ポツダム宣言を読んでます」って、「ポツダム宣言について僕はこう考えています」って安倍さんが言ったら、安倍政権は潰されるんです。
選択肢は二つあるんです。
「ポツダム宣言を読んだ」って言っちゃうと、あとは進む道は二つしかないんです。
一つは、
「ポツダム宣言にはいろんな問題があって、歴史的な事実と食い違っているところがあるので、そこは受け入れられない」って。
そう言ったら、安倍さんの支持の基盤になっているはずの右寄りの人たちは、もしかしたらね「ポツダム宣言は問題がある」って、ずっと右翼の伝統としてあるから喜ぶかもしれないけど、
安倍総理がそんなことを言ったら、もうその日の日付が変わる前に総辞職ですよ。
ポツダム宣言に文句をつけるっていうことは、もう政治生命終わり。
米政府は安倍政権潰します。
で、アメリカ国内でばーっと爆発します。
「ポツダム宣言受け入れない?コノヤロー!70年経って何を言いやがるんだ」って言って、
安倍さんは政治を、総理大臣を辞めるんじゃなくて、議員の生命が終わりなんです。
だから、「ポツダム宣言に問題がある」ていうことは、口が裂けても言えないんです。
でも、じゃあ、
「ポツダム宣言に何の問題もありません」「ポツダム宣言大好きです。僕はポツダム宣言100%受け入れます」って言ったら、
自分の支持基盤、自分の伝統、家系の右翼が、全部破綻しますから。
だから、どっちも言えないから、安倍さんは、
高校生といろんな話をすると、彼らもよく使うんです。
追い込まれるとね、「わかんない」。
で、安倍さんは「わかんない」。
ちょっと違う「つまびらか」とかっていう言葉は使っているけれど、要するに「わかんない」。
なんでポツダム宣言を問題にすると、こういうことがあぶり出されるかというと、ポツダム宣言はすごい文章がいいんですよ。
みんな読むべきなんです。
なんでこれがまかり通るかというと、皆さんもポツダム宣言を読んでいないからなんです。
樋口健二:
僕は出てますから。
アーサー・ビナード:
でも、訳がイマイチなんで、僕は今、和訳を作ろうとしていて。
来年(2016年)は、ポツダム宣言をつまびらかに読むっていうのを。
で、ポツダム宣言の中に番号が振ってあって、すっごくまともなことが書いてあるんです。
6番が1番、安倍さんと直接関わる部分なんですけど、6番にはなんて書いてあるか?というと、
6. There must be eliminated for all time the authority and influence of those who have deceived and misled the people of Japan into embarking on world conquest, 世界征服ってここなんですよね。
for we insist that a new order of peace, security and justice will be impossible until irresponsible militarism is driven from the world.
まだちょっと訳が…、
樋口健二:
じゃ訳して~。
アーサー・ビナード:
日本国民をペテンにかけて、
樋口健二:(笑)
アーサー・ビナード:
いや、本当ですよ。
misled(間違った方向に導いた)とdeceived(人を〉だます,欺(あざむ)く)って、ペテンって訳さないと伝わらないです。
日本国民をあざむいて、世界征服のペテンにかけ、袋小路に導いてしまう指導者たち。
彼らの支配力、権威、あらゆる影響力を、社会から永久に追放しなければなりません。
これですよ。
だから、岸とか正力ネギ太郎とか、また権力を握ったり権威になったり、支配力を持つということは絶対にありえない。
ポツダム宣言受諾というのは、そういうことを意味するのだから。
日本国民を欺いた指導者たちの支配力、権威、あらゆる影響力を、社会から永久に追放しなければなりません。
無責任な軍国主義を根絶やしにしない限りは、正義と安全を基調とする世界の秩序は生まれないからだ。
っていうことなんです。
で、この「ポツダム宣言を受諾しました」って言いながらも、実は何も遂行していないです。
何も現実と噛み合わせていないんですよね。
なにもしてない。
それは、日本政府の生き残りっていうか、日本の権力者、支配階級の生き残りの作戦だったんだけど、
このポツダム宣言に一番違反して、ポツダム宣言を反故にして、このポツダム宣言を作り上げたアメリカ国民を一番バカにしているのは、米政府なんです。
樋口健二:
てめぇの国ですか。
アーサー・ビナード:
そうです。
ポツダム宣言に違反しているのは、もちろん日本政府もそうだけど、日本政府はポチの、属国の、米属機関でしょ。
樋口健二:
そのとおり。
アーサー・ビナード:
ポツダム宣言を実行に移す権限と力を持っていたのは、アメリカ政府なんです。
GHQ(連合国最高司令官総司令部 General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powers)なんですから。
で、こういう文章を作って、アメリカ国民に大々的に発表して、
「大日本帝國の悪い奴をみんなこれでやっつけます」
「彼らは日本社会から摘出して、まともな日本に生まれ変われるように俺たちがするから任せてください」って言って、
アメリカ国民を、1945年の7月下旬に、そういうことを発表して、ある意味信頼を得たんです。
ところが結局、占領が始まると、全然そういうことをしないで、ポツダム宣言を全部、米政府が反故にした。
その蓋がまた開くと、米政府がヤバい。
だから彼らの無責任、彼らの裏切り、アメリカ国民を裏切った米政府の問題があぶり出されるから、絶対取り上げちゃいけない。
樋口健二:
共同通信というところがおそらく、「ポツダム宣言読みませんか」なんていう本を出しているはずなんだよね。
アーサー・ビナード:
だろうね、出したほうがいいと思うよ、僕がやると時間がかかるから。
樋口健二:
でも、あなたのほうが、明確な日本語になるじゃない。
アーサー・ビナード:
本にする前に、インターネットにバーッとアップして、みんなで読みたい。
「ポツダム宣言をつまびらかに読む」ホームページを作りましょう。
樋口健二:
本にしてよ。僕は本で読みたい。
アーサー・ビナード:
わかりました。
安倍総理の答弁2分過ぎから→https://youtu.be/XsKrST00fBg?t=2m9s
ポツダム宣言
原文(出典:国立国会図書館 Birth of the Construction ofJapan>The Constitution and Other Documents)
現代語訳(神奈川県議会議員大山奈々子 ポツダム宣言つまびらかに読んでみました)←読みやすい訳文なので
外務省の日本語訳(出典:外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻 1966年刊)←きーこさんはこの訳も掲載してくださったのですが、文字制限の2万字を超えてしまうため、ここでは省略させていただきます。
Proclamation Defining Terms for Japanese Surrender
Issued, at Potsdam, July 26, 1945
日本の降伏のための定義および規約
1945年7月26日、ポツダムにおける宣言
1. We-the President of the United States, the President of the National Government of the Republic of China, and the Prime Minister of Great Britain, representing the hundreds of millions of our countrymen, have conferred and agree that Japan shall be given an opportunity to end this war.
1.我々、アメリカ合衆国大統領、中華民国主席とイギリス首相は、我々の数億の国民を代表して協議した結果、この戦争終結の機会を日本に与えることで意見が一致した。
2. The prodigious land, sea and air forces of the United States, the British Empire and of China, many times reinforced by their armies and air fleets from the west, are poised to strike the final blows upon Japan. This military power is sustained and inspired by the determination of all the Allied Nations to prosecute the war against Japan until she ceases to resist.
2.アメリカ、イギリス、そして中国の陸海空軍は、何度も陸軍、航空編隊の増強を受けて巨大になっており、日本に対して最後の一撃を加える体制が整っている。この軍事力は、日本が抵抗をやめるまで同盟国によって維持できるものだ。
3. The result of the futile and senseless German resistance to the might of the aroused free peoples of the world stands forth in awful clarity as an example to the people of Japan. The might that now converges on Japan is immeasurably greater than that which, when applied to the resisting Nazis, necessarily laid waste to the lands, the industry and the method of life of the whole German people. The full application of our military power, backed by our resolve, will mean the inevitable and complete destruction of the Japanese armed forces and just as inevitably the utter devastation of the Japanese homeland.
3.世界中の自由な人々は立ち上がった。それに対してドイツが採った無益かつ無意味な抵抗の結果は、日本の人々に対しても極めて明快な例として示されている。現在日本に向かって集中しつつある力は、ナチスの抵抗に対して用いられた力―全ドイツ民の生活、産業、国土を荒廃させるのに必要だった力―に比べると、測り知れないほど大きいものだ。決意をもって、我々の軍事力全てを投入すれば、日本軍は壊滅し、また、日本の国土は焦土と化すだろう。
4. The time has come for Japan to decide whether she will continue to be controlled by those self-willed militaristic advisers whose unintelligent calculations have brought the Empire of Japan to the threshold of annihilation, or whether she will follow the path of reason.
4.日本が決断する時は来ている。知力を欠いた身勝手な軍国主義者によって制御され続け、滅亡の淵に至るのか。それとも、理性の道を選ぶのか。
5. Following are our terms. We will not deviate from them. There are no alternatives. We shall brook no delay.
5.我々の条件は以下の通り。条件からの逸脱はないものとする。代替条件はない。遅延も一切認めない。
6. There must be eliminated for all time the authority and influence of those who have deceived and misled the people of Japan into embarking on world conquest, for we insist that a new order of peace, security and justice will be impossible until irresponsible militarism is driven from the world.
6.日本の人々をだまし、間違った方向に導き、世界征服に誘った影響勢力や権威・権力は、排除されなければならない。無責任な軍国主義が世界からなくなるまでは、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能である。
6.(とても理解しやすい アーサー訳)
日本国民をあざむいて世界征服のペテンにかけ、袋小路に導いてしまう指導者たち。彼らの支配力、権威、あらゆる影響力を社会から永久に追放しなければなりません。無責任な軍国主義を根絶やしにしない限りは、正義と安全を基調とする世界の秩序は生まれないからだ。
7. Until such a new order is established and until there is convincing proof that Japan's war-making power is destroyed, points in Japanese territory to be designated by the Allies shall be occupied to secure the achievement of the basic objectives we are here setting forth.
7.そのような新秩序が確立されるまで、また日本の戦争遂行能力が壊滅したと明確に証明できるまで、連合国軍が指定する日本領土内の諸地点は、連合国軍がこれを占領するものとする。基本的目的の達成を担保するためである。
8. The terms of the Cairo Declaration shall be carried out and Japanese sovereignty shall be limited to the islands of Honshu, Hokkaido, Kyushu, Shikoku and such minor islands as we determine.
8.カイロ宣言の条項は履行されるべきものとし、また、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする。
9. The Japanese military forces, after being completely disarmed, shall be permitted to return to their homes with the opportunity to lead peaceful and productive lives.
9.日本の軍隊は、完全に武装解除されてから帰還を許し、平和で生産的な生活を営む機会を与えることとする。
10. We do not intend that the Japanese shall be enslaved as a race or destroyed as a nation, but stern justice shall be meted out to all war criminals, including those who have visited cruelties upon our prisoners. The Japanese Government shall remove all obstacles to the revival and strengthening of democratic tendencies among the Japanese people. Freedom of speech, of religion, and of thought, as well as respect for the fundamental human rights shall be established.
10.我々は、日本を人種差別し、奴隷化するつもりもなければ国を絶滅させるつもりもない。しかし、われわれの捕虜を虐待した者を含めて、全ての戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を行うものとする。日本政府は、日本の人々の間に民主主義的風潮を強化しあるいは復活するにあたって、障害となるものは排除する。言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重が確立されなければならない。
11. Japan shall be permitted to maintain such industries as will sustain her economy and permit the exaction of just reparations in kind, but not those which would enable her to re-arm for war. To this end, access to, as distinguished from control of, raw materials shall be permitted. Eventual Japanese participation in world trade relations shall be permitted.
11.日本は産業の維持を許される。そして経済を持続し、正当な戦争賠償の取り立てに充当する。しかし、戦争を目的とする軍備拡張のためのものではない。この目的のため、原材料の入手はこれを許される。ただし、入手と支配とは区別する。世界貿易取引関係への日本の事実上の参加を許すものとする。
12. The occupying forces of the Allies shall be withdrawn from Japan as soon as these objectives have been accomplished and there has been established in accordance with the freely expressed will of the Japanese people a peacefully inclined and responsible government.
12.連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯び、かつ責任ある政府が樹立される限りにおいて、直ちに日本より撤退するものとする。
13. We call upon the government of Japan to proclaim now the unconditional surrender of all Japanese armed forces, and to provide proper and adequate assurances of their good faith in such action. The alternative for Japan is prompt and utter destruction.
13.我々は日本政府に対し日本軍の無条件降伏の宣言を要求する。かつ、誠意を持って実行されるよう、適切かつ十二分な保証を求める。もし拒否すれば、日本は即座にかつ徹底して撃滅される。