ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

キング牧師が貫いた非暴力の抗いを胸に、雪のハーレムを歩く

2016年01月17日 | 日本とわたし
昨日は朝から、それもあわや電車に乗り遅れそうになったので、通りを猛ダッシュで走った挙句、何段もの階段を駆け上がり(本人は駆け上がっているつもりだけど、他人にはそうは見えなかったに違いない)、さらには遥か彼方に止まっている電車まで、プラットホームをヨタヨタと走るという、
待ち合わせをした歩美ちゃんが、オロオロと心配しているのを目の端っこに見ながら、心臓がバクバクを通り越して痛み出すぐらいの運動をした。
やっとのことで電車に乗り、さんざっぱら心配かけた歩美ちゃんと隣り合わせに座り、とりあえず一息つく。

1月17日、OVERSEAs総がかり行動 in ハーレム!



とてもたくさんの言葉で語られたこのスピーチを、ここに全文載っけるとたちまち制限の2万語を超えてしまい、記事として載せることができない。
なので、ビデオの直前の文節を少し加えて、ここに掲載する。
全文→http://www.americanrhetoric.com/speeches/mlkivebeentothemountaintop.htm

これらの言葉の中からにじみ出てくる、キング氏自身が強く予感している死。
それを聞けば聞くほど、胸が締め付けられる思いになる。
アトランタから最期の地メンフィスに移動する飛行機から、その緊張は存在していた。
暗殺。
だからチェックにチェックを重ね、そのために飛行機の離陸が遅れた。
メンフィスに到着してからも、複数の(病的な思考で支配された白人たちによる)脅迫があった。

******* ******* ******* *******

前略
And they were telling me --.
Now, it doesn't matter, now.
It really doesn't matter what happens now.
I left Atlanta this morning, and as we got started on the plane, there were six of us.
The pilot said over the public address system,
"We are sorry for the delay, but we have Dr. Martin Luther King on the plane.
And to be sure that all of the bags were checked, and to be sure that nothing would be wrong with on the plane, we had to check out everything carefully.
And we've had the plane protected and guarded all night."

And then I got into Memphis.
And some began to say the threats, or talk about the threats that were out.
What would happen to me from some of our sick white brothers?

Well, I don't know what will happen now.
We've got some difficult days ahead.
But it really doesn't matter with me now, because I've been to the mountaintop.

And I don't mind.

Like anybody, I would like to live a long life.
Longevity has its place.
But I'm not concerned about that now.
I just want to do God's will.
And He's allowed me to go up to the mountain.
And I've looked over.
And I've seen the Promised Land.
I may not get there with you.
But I want you to know tonight, that we, as a people, will get to the promised land!

And so I'm happy, tonight.
I'm not worried about anything.
I'm not fearing any man!

Mine eyes have seen the glory of the coming of the Lord!!


↓(以下、紺色の文字部分のみ、まうみ訳)
この先には険しい日々が待ち受けているだろう。
でも今、私にとってそれはもう、大して重要なことではない。
何故なら、私はすでに、山の頂上に立ったからだ。

だからもう、いいんだ。

誰でもがそうであるように、私も長生きしたい。
長寿はいいものだからね。
でももう、今の私は、長生きできないのではないか、などと心配しない。
私はただ、神が望むままに行動したい。
そして神は、私が山頂を目指して登ることをお許しになった。
そして私は山頂から、山の向こうを見た。
そして私はそこに、約束の地を見た。
私はみなさんと一緒に、そこに辿り着くことはできないかもしれない。
でも今夜、これだけは知ってもらいたい。
私たちは国民としてひとつになって、きっとあの約束の地に辿り着く!

今夜はだから、私はとても幸せだ。
心配することは何もない。
誰のことも恐れていない!

我が眼は、主の到来の栄光を見た!*
*「リパブリック賛歌(Battle Hymn of the Republic)」の歌い出し。
「怒りの葡萄の酒倉を主は踏みつけている(He is trampling out the vintage where the grapes of wrath are stored)」と続く。
南北戦争で奴隷制廃止を目指す北軍が歌い、戦後は人種差別撤廃を求める公民権運動で歌われた。



このスピーチを、わかこさんが所属する教会の、キング牧師の生誕(1月15日)を祝う礼拝で聞いた。
彼の言葉が書かれた画用紙を、高く掲げて歩くゴスペル聖歌隊の子どもたちを目で追っているうちに、滲んでよく見えなくなってしまった。

暴力に非暴力で抗う。

それを貫いた人の言葉を聞きながら、抗い続ける道を選ばざるを得なかった、沖縄のお年寄りたちの姿を思い浮かべていた。


ここが、わかこさんの教会。


一階の広場では、ランチの準備中。




礼拝中は写真も携帯も禁止。なので、すべてが終わってから撮らせてもらった。






戦争反対署名をお願いする。
わかこさんのおかげで、たくさんの人に署名をしてもらうことができた。



初めてのゴスペル礼拝は、じわじわと満ちてくる高揚感と自由感に包まれて、汗をかいたり涙が出たり。
長い長い牧師さんの説教は色とりどりの内容で、キング牧師が辿った険しい道を語っているかと思えば世間話になり、かと思うと歌が始まる。
その歌がまた上手い!
さらに、バックを務めるミュージシャンの演奏がまたまたすごい!
これは礼拝か、はたまた演奏会か。
いつの間にかわたしも、両手を高く掲げたり広げたりしていた。
神のご加護を。

わかこさん、ありがとう。

ソウルフードのランチを教会でご馳走になり、


その後は外に出て、ハーレムの街をマーチする。


教会の前で集合写真を撮り、ここから合流するメンバーを待っていたら、あらあら、警察官さんたちから職務質問を受けた。


ちゃんと説明すると彼らの表情も和らぎ、「私たちに何か頼みたいことはないか?」と聞いてきたので、
「マーチに参加してください!」と言ったら、当たり前だが断られた、笑顔で。

ジョージさんは、いつも撮影係を引き受けてくれる。
今回も、たくさんの、活き活きとしたすばらしい写真を撮ってくれた。
わたしもとりあえず、マーチをしながら撮ったので、それらと合わせてここに載っける。







マルコムX氏がスピーチ中に殺害された、オードゥボン舞踊場が見えてきた。




出発当初から降り始めた雪が、本格的に降ってきた。
粒が小さいので積りはしないが、それでもやっぱり寒い寒い!
でも、歩美ちゃんのお太鼓に合わせて、『We Shall Overcome』を歌いながら歩いていると、
通りすがりの人たちが立ち止まってくれたり、一緒に歌ってくれたり、写真やビデオを撮ってくれたり、ピースサインで応えてくれたり、「ハレルヤ!」と声をかけてくれたり、
その笑顔が、その気持ちが嬉しくて、ありがたくて、そして何より、みんな戦争なんかこの世から無くなっちまえと思ってるんだとしみじみわかって、

それはそれは温かかった。










We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome someday
Oh deep in my heart
I do believe
We shall overcome someday

We shall hand in hand
We shall hand in hand
We shall hand in hand someday
(chorus)

We shall all be free
We shall all be free
We shall all be free someday
(chorus)

We are not afraid
We are not afraid
We are not afraid today
(chorus)

We are not alone
We are not alone
We are not alone today
(chorus)

The whole wide world around
The whole wide world around
The whole wide world around someday
(chorus)

We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome someday
Oh deep in my heart
I do believe
We shall overcome someday


(まうみ訳)
私たちは必ず乗り越える
私たちは必ず乗り越える
私たちは必ず乗り越える いつの日か

ああ、心の深いところから
私はそう強く信じている
私たちは必ず乗り越える いつの日か


私たちは手に手をとって協力し合う
私たちは手に手をとって協力し合う
私たちは手に手をとって協力し合う いつの日か
(コーラス)


私たちはみんな自由になる
私たちはみんな自由になる
私たちはみんな自由になる いつの日か
(コーラス)


私たちは恐れない
私たちは恐れない
私たちは恐れない 今
(コーラス)


私たちは独りじゃない
私たちは独りじゃない
私たちは独りじゃない 今
(コーラス)


私たちの思いはこの広い世界に広がる
私たちの思いはこの広い世界に広がる
私たちの思いはこの広い世界に広がる いつの日か
(コーラス)


私たちは必ず乗り越える
私たちは必ず乗り越える
私たちは必ず乗り越える いつの日か

ああ、心の深いところから
私はそう強く信じている
私たちは必ず乗り越える いつの日か







マーチの後は、わかこさんはじめ、OVERSEAsのメンバーが心を込めて折ったジュゴンの千羽鶴版、名付けて『千頭ジュゴンちゃん』と一緒に、辺野古に届けてもらう寄せ書きをするため、IHOPに行く。
ちなみに、この千頭ジュゴンちゃんは、東京在住のけいこさんが、直接辺野古まで行って届けてくださるのだそうだ。




残念ながらここはパンケーキが売りのレストランで、いろいろなものを中断中のわたしには、注文できるものがひとつも無かった…とほほ。

みんなで再び記念写真。






寄せ書きと同時に、在外投票についての話し合いがあった。
この件についてはまた、別の記事で。
今年の7月に行われる参議院選挙。
海外に暮らす日本人が、投票をするという、主権者としての責務を果たすために、まずするべきこと、しなければならないことを、とても分かりやすくまとめてくださったわかこさん。
そのブログ『在外選挙に行こうhttp://zaigaisenkyo.blogspot.comの紹介と共に書こうと思う。
コメント
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