今日の日刊IWJに、
■今、神社で何が起こっているのか。
神社本庁=日本会議=安倍政権が進める「神社で改憲」運動の愚!
ぜひみなさまも、近所の神社を確かめてみてください!
という、佐々木隼也さんが書かれた記事が載っていました。
そんなアホな…と、?マークがいっぱい頭の中に生じたまんま読み進めていくうちに、暗澹たる気持ちに…。
↓以下、引用はじめ
初詣客で賑わう全国の神社で今、ある「異変」が起きています。
ある神社では、境内に堂々と、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏の改憲推進ポスターが貼られ、その傍らには、改憲推進署名が置かれているのです。
そんなアホな…。
三が日に、ネット上での目撃情報を目にするにつけ、悪い冗談ではないか、もしくはごくごく一部の血迷った神社だけの暴走ではないか、などと考えていました。
右だ左だリベラルだ、という思想信条など超越して、万人の信仰・自然を司る「神聖」な場所であるはずの神社で、いち政権を利するような政治運動が展開されているなんて…まさか。
ということで、神社本庁が仕事始めとなる1月5日に、港区の飯倉片町にあるIWJ事務所から半径3km圏内の神社を、試しに回ってみました。
すると、明治の軍人・乃木希典を祀った乃木神社と、虎ノ門にある金刀比羅宮で、改憲署名を発見しました。
どちらも、外部の団体が設置したものではなく、神社が自ら大々的に置いているものでした。
さらに驚くべきは、神社本庁に取材してみたところ、
この神社での改憲署名は、櫻井氏が、日本会議や神社本庁と設立した、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲運動に「協力したものだ」と、はっきり、堂々と、言い放ったことです。
同会は、2015年11月10日、「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」を開催。
安倍総理もビデオメッセージを寄せ、
「今後とも、ご尽力をいただきたいと存じます。憲法改正に向けて、ともに着実に歩を進めて参りましょう」などと、露骨に支援を呼びかけています。
つまり、同会の目的は、安倍政権の改憲を支援することなのです。
神社本庁が、極右組織と一体となり、あからさまな安倍政権支援の政治運動を行うなど、許されるのでしょうか?
↑以上、引用おわり
なんてことに…と慌てて検索してみると、きーこさんがご自身の体験を交えて記事を書いてくださっていました。
ここに写真と文章の一部を転載させていただきます。
↓以下、転載はじめ
<神社の政治的活動は許されるのか!>
初詣が悪夢に変わった日~神社の真の姿~
「九条を守ろう。憲法を守ろう」というと、政治的だからと問題にされる。
「憲法改正を推進します」と言って、神社の境内の中で署名のお願いをすることは、政治的問題ではないのか?
お正月の参拝に、数多くの人々が訪れる神社が、そのような政治的活動をしてもいいものなのか?
このような行為は許されることなのかどうか、わたしはすべての人に問いたい。
お正月の初詣に行って来られたきーこさん。
お祓いの申し込みをして、待機場所に行く途中に見たものは…。
憲法の内容を見直しましょう
賛同署名のお願い
美しい日本を子供たちへ
そしてどんな内容の署名なのか、チラシに書いてあることを読んでみたきーこさん。
美しい日本を子供たちへ
国民の手で作ろう、美しい日本の憲法
あなたのご協力で、憲法改正を実現する1000万賛同者の輪を!
世界に躍進する日本を創造するため、今や憲法改正は現実の課題です。
悠久の歴史に育まれた美しい伝統や文化、そして世界の平和と繁栄に貢献する日本の使命、それらを盛り込んだ憲法が、今こそ求められています。
憲法改正には国会発議とともに、国民投票で過半数(30000万票以上)の賛成が必要となります。
そのため、私どもは今「美しい日本の憲法を作る1000万人の賛同者」を全国に呼びかけています。
美しい日本を大切な子供たちに伝えていくため、どうか皆さんご協力ください。
きーこさんが参拝された神社は、東京都杉並区の大宮八幡宮。
東京のへそで縁結び・子育てで有名な神社で、最近では「20㎝ぐらいのおじさんの妖精が出る」ということで、パワースポットとしても有名になっているのだそうです。
櫻井よしこ氏については、ここにも何度か書いてきました。
彼女が広告塔となって盛んに訴えていることのほとんどに、わたしは賛成することができません。
きーこさんも書いておられるようなので、紹介させていただきます。
櫻井よしこの意見広告「もんじゅ」稼働は政府が決めろ~名前を連ねる人そして外れる人々
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4482.html
横尾忠則氏が抗議した。櫻井よしこ氏の「原発推進意見広告」
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1074.html
原発大賛成。
もんじゅは動かせ。
安保法制大賛成。
憲法を改正して国防軍を持とう!
等々…あの石原慎太郎と仲良しの女史なのだ。
そして…きーこさんはこの記事を書いた後、神社に行って驚いた人がたくさんいたことを知りました。
東京都港区 乃木神社入り口
東京都港区赤坂 氷川神社<櫻井よしこ氏の改憲ポスター>・神社の門に
櫻井よしこ氏の改憲ポスターが神社の門に。
淡路島 伊弉諾神宮
神社の入口に山谷えり子の看板。拝殿前に「憲法改正」の旗が幾つも。
京都 上賀茂神社
札幌 北海道神宮の本殿の前
この、全国各地の神社で起きている改憲署名運動について、IWJの佐々木隼也さん、リテラの梶田陽介さんが、記事を書いてくださいました。
↓以下、転載はじめ
【IWJブログ】
境内に櫻井よしこ氏の改憲ポスターが!
全国各地の神社で起きている「異変」
日本会議・神社本庁・安倍政権が一体となって「政教分離」を定めた憲法に違反する、改憲署名を推進!
【IWJ Independent Web Journal】2016年1月6日
http://iwj.co.jp/wj/member/archives/43292
▪️特設テントを設置して大々的に署名募集を行う乃木神社
一方で、署名を設置しない社、設置した事実を否定する社も…
東京都港区の乃木神社では、入口の売店すぐ横に特設テントが張られ、大々的に改憲署名を募っていた。
▲乃木神社の特設テント
改憲署名の設置の仕方は、神社によって様々で、同じ港区でも、虎ノ門にある金刀比羅宮では、櫻井氏のポスターの下に、「署名は社務所にて受付」と書かれているのみだった。
▲金刀比羅宮に貼られた改憲ポスター(右)
また、「港七福神宝船のお社」として有名な麻布十番稲荷神社や、「江戸氷川七社の一つ」麻布氷川神社、西久保八幡神社などは、櫻井氏のポスターも、改憲署名も設置していなかった。
11月下旬に、ネット上で、「賽銭箱の上に署名が設置されている」との目撃情報があった愛宕神社については、
敷地のどこを探しても、ポスターや署名は確認できなかった。
宮司に、署名は撤去されたのかを聞くと、「うちの社ではやっていない」と否定した。
しかし、後に電話で問い合わせると、別の担当者は、「署名はやっていたが、正月に入る前に撤去した」と回答。
「設置した経緯や設置期間を、お答えするつもりはありません」と、強い口調で電話を切られた。
神社によって設置している社としていない社があり、また設置期間や設置方法もばらばらで、愛宕神社のように、設置していた事実を否定する不可解な反応もあった。
ぜひ、本稿をご覧の方も、近所の神社で設置の有無を確認し、直接問い合わせてみていただきたい。
いずれにせよ、外部の団体ではなく、各神社が主体的に設置し、署名運動を展開していることが分かる。
▪️日本会議と「一心同体」となって改憲運動を進めていることを堂々明言した神社本庁
署名用紙には、「東京都神社庁」の文字が記載されていた。
神社庁とは、全国の神社の多くを包括する、神社本庁の地方機関である。
東京都神社庁のHPを見ると、「憲法改正を推進します」というバナーが貼られ、「憲法改正運動を推進する宣言」が掲載されている。
・東京都神社庁HP「憲法改正運動を推進する宣言」
憲法改正運動を推進する宣言
※東京都神社関係者大会(平成27年11月14日於明治神宮会館)で採択した宣言です。
日本国憲法は、昭和21年、敗戦後、占額下で制定されたものである。
我が国民は一致協力の下に、戦後の復興と経済の発展を成し遂げ、現在国際社会において大きな信頼を得る国へと発展させた。
しかし、憲法が制定されて以来69年を経た今日、国を取り巻く国際環境は激変している。
現在の憲法が将来に亘って自国の繁栄と安全を確保し、以て国際社会の発展に寄与する内容のものであるのかを見つめ直すことが必要と思われるに至った。
このような中にあって、国民の声により「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、昨年10月に神社本庁参画のもと設立された。
東京都神社庁においても「美しい日本の憲法をつくる東京都民の会」を主体として、憲法改正論の喚起と、憲法改正を実現する1000万人賛同者拡大運動を展開することとなった。
この秋(とき)にあたり、神社界では積年の課題である、現憲法の制定時に失われた日本国としての普遍的な意志と、建国以来守り受け継いで来た伝統精神を憲法に取り戻し、
「誇りある日本をめざして」との信念のもと、憲法改正の運動に取り組むこととなった。
東京都神社総代会としても、国の根幹である憲法に、正しい国民精神が涵養される麗しい日本の国柄が、活かされることを強く希望するものである。
よって本日、東京都神社関係者大会にあたり、東京都神社総代会は東京都神社庁と共に、憲法改正の本運動推進に取り組むことを総意として採択し、茲に宣言するものである。
平成27年10月14日
東京都神社総代会
東京都神社庁は誇りある日本を目指して、憲法改正を推進します。
東京都神社庁
なぜ神社が、しかも、安倍政権が憲法改正に着手しようとしている2016年の今、あからさまにそれを支援するような政治運動を展開しているのか。
IWJは、神社本庁に取材を行った。
神社での改憲署名設置は、神社本庁が主導しているのか、という質問に、担当者は「そのような狭い活動ではない」と前置きし、次のように続けた。
「『美しい日本の憲法をつくる国民の会』さんが、1000万人の(改憲推進の)拡大運動を進めており、神社本庁をはじめ、東京都神社庁も、会の活動に協力をしている。
全国の神社での署名運動は、その一貫で行っている。
この署名用紙も、国民の会が作っているものです」
「美しい日本の憲法をつくる国民の会」とは、櫻井よしこ氏や日本会議(※)会長の田久保忠衛・杏林大学名誉教授、日本会議名誉会長の三好達・元最高裁判所長官が共同代表を務め、
事務局長を日本会議事務局長の椛島有三氏が務めるなど、実質的には日本会議主導の団体だ。
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(※)日本会議とは、日本最大の右翼組織と知られ、国会議員の4割(約280人/717人)、さらに現閣僚の半数以上が所属している。
「愛国者教育」「改憲」「有事法制整備」など、今の安倍政権が進めている政策のほとんどを提言。
海外メディアからも、安倍政権の極右政策、歴史修正主義の「黒幕」として注目を集めている。
・2015/11/12 「ついに野心むき出しに! 『偽装愛国集団』日本会議と安倍政権がいよいよ憲法破壊に向けて宣戦布告! 『自民党改憲阻止』こそ野党連合の大義名分ではないのか!?
・【IWJブログ】「法的安定性は関係ない」発言の礒崎総理補佐官、言い訳にならない言い訳の裏に日本会議の思惑?
・2015/07/16 安保法制「予定通り」の衆院突破 小林節氏が岩上安身のインタビューで「共産党を入れた野党連立」を提言!自民党を牛耳る日本会議は「おかしな人たち」
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そして、同会の代表発起人には、神社本庁総長である田中恆清(たなかつねきよ)氏が名を連ね、
神社本庁を母体とする政治団体「神道政治連盟」の幹事長である打田文博氏が、事務総長を務めている。
そして同会は、2015年11月10日、「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」を開催。
超党派の「改憲派」国会議員が出席し、安倍総理もビデオメッセージを寄せ、
「『21世紀にふさわしい憲法を自らの手で作り上げる』その精神を日本全体に広めていくために、今後とも、ご尽力をいただきたいと存じます。
憲法改正に向けてともに着実に歩を進めて参りましょう」などと、露骨に支援を呼びかけている。
2015/11/10 今こそ憲法改正を!武道館一万人大会(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/274494
つまり、日本会議と神社本庁が「一心同体」(※)となって、安倍政権の憲法改正を堂々と支援しているのだ。
「狭い考え」ではない、という言葉は、「広く、深く、改憲運動に神社本庁は関わっている」という意味だったのだろうか。
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(※)日本会議の「役員名簿」を見ると、先述の田中恆清・神社本庁総長が「副会長」を務め、
他にも神社本庁や神道政治連盟の幹部、宮司が数多く「顧問」や「代表委員」に名を連ねており、
かねてから日本会議と神社本庁は「一心同体であった」と言える。
・日本会議「役員名簿」
http://www.nipponkaigi.org/about/yakuin
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▪️神社本庁による日本国憲法へのあからさまな挑戦、信仰心の悪用は「宗教の面汚し」
神社本庁が、極右組織と一体となり、あからさまな安倍政権支援の政治運動を行うなど、許されるのだろうか。
憲法第20条・89条の「政教分離」に抵触するのではないか。
そもそも、日本国憲法におけるこの条項は、戦前、国民(当時は臣民)を天皇制国家に従属させ、
戦争に駆り立ててゆく洗脳装置として機能する、国家神道を復活させないための条項だったはずである。
そうした忌まわしい過去をもつ神社界が、公然と改憲の運動に加担している。
これは、現行憲法に対する挑戦以外の何ものでもないだろう。
安倍政権の憲法改正に強く警鐘を鳴らしている、弁護士の猪野亨(いのとおる)氏は、IWJの電話取材に応じ、
「神社本庁が目指しているのは、天皇を中心とした統治体制への『王政復古』だ」と、厳しく指摘した。
「政教分離が日本で規定された一番の歴史的背景は、
大日本帝国が、神道を『国家神道』として国教化し、それが軍国主義と結びついて日本を破滅させた、という反省です。
今回の署名設置は、そもそも政教分離が何のためにできたのかという、憲法の根本趣旨からすると大問題。
世俗的な団体であるという信頼を悪用し、騙すようなかたちで本性を現したという意味でも、宗教の面汚しとも言われかねない事態です」
▪️神社本庁の方針に疑問を抱く神職も? 極右的な神社本庁の広報紙、その驚きの中身とは
書籍『前夜』の共著者であり、憲法問題に詳しい澤藤統一郎弁護士も、IWJの取材に応え、
「今回の署名設置は、本来の信仰とは何の関わりのないことをするという意味で、自殺行為だと思います」と批判。
そのうえで、神社本庁の広報紙「神社新報」11月23日号に掲載された、驚くべき「論説」を紹介した。
ここから会員限定(なのですが、ちょっと内緒でもう少し)
みなさんもぜひぜひ会員になられることをお勧めします!素晴らしい記事がてんこ盛り!手続きはこちらから→https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
「一万人大会を終へ 一千万署名と参院選に集中を」と題するこの記事では冒頭、
先述の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」主催の一万人大会について触れたうえで、
「今後なほ一千万の賛同署名の達成と、国会議員署名及び地方議会決議の獲得を目指して邁進していかねばならない」(※)などと書かれている。
神社新報記事
(※)神社新報の記事はすべて歴史的仮名遣いで書かれている。
さらには、
「自由民主党は立党六十年を迎へた。
(略)立党以来、変はらぬ党是としてきた『現行憲法の自主的改正』を再確認し、
安倍晋三総裁のもとで、必ず、憲法改正を実現することの決意表明を、ぜひともおこなってもらひたい」などと主張。
そのうえで、
「来年夏の参議院議員選挙が、改憲の大きな勝負時となってくるであらう。
(略)参議院で改憲派が三分の二の議席を確保できれば、いよいよ国民投票に持ちこめる」と意気込みをみせる。
そして、注目すべきは論説の最後だ。
そこにはこう書かれている。
「神社界の中には未だ、なぜ神職が憲法改正の署名活動までやらなければならないのか、といった疑問を抱く人もゐると聞く。
しかし、もしも神職が宮守りだけを務め、国の大本を正す活動に従事しなかったら、この国は一体どうなるのか。
心して考へてみなければなるまい。
我々自身の熱意と活動努力によって、憲法改正はぜひとも実現しなければならないのである」
全国各地の神社が初詣客を狙って改憲の署名集め!
日本会議・神社本庁が指令、戦前復活の目的を隠す卑劣な手口
2016.01.05 リテラ
http://lite-ra.com/2016/01/post-1863.html
お正月といえば初詣。
今年も神社へお参りして、一年の安寧や健康を祈った人も多いだろう。
おみくじを引いたり、絵馬に願い事を書き込んだりした人もいるはずだ。
最近は神社好きの女子、神社ガールなども登場して、若者人気も高まっている。
だが、そんな善男善女で賑わう場所で、今、不穏な動きが表面化している。
それは、“憲法改正に賛同する署名活動”だ。
これが、なんと、神社の境内で行われているのである。
しかも、怪しげな市民団体が勝手にやっているという話ではない。
驚くことに、その主体は神社そのもので、参拝客をターゲットに、署名を集める“政治運動”を展開していたのだ。
まず、筆者が出かけたのは、東京港区の乃木神社。
明治天皇崩御に際し、殉死した乃木希典将軍を祀ったこの神社は、参拝客でごったがえしていたが、
入り口に足を踏み入れると、たちまち、「誇りある日本をめざして」「憲法は私たちのもの」などと書かれた、奇妙なのぼり旗が目に飛び込む。
さらに、その付近に設置されたテントでは、額縁に入った櫻井よしこ氏のポスターが鎮座!
「国民の手でつくろう美しい日本の憲法」
「ただいま、1000万人賛同者を募集しています。ご協力下さい」なる文言とともに微笑む櫻井氏に、新年からめまいを覚えたが、
そこには、A4の署名用紙と箱が置かれていた。
神社に設置された改憲署名ブースの例(東京都港区乃木神社の入り口)
職員に聞いてみると、この署名活動は、何も乃木神社のみで行われているわけではないという。
実際、乃木神社の近くにある赤坂氷川神社にも行ってみたのだが、
やはり、門には櫻井氏のポスターが貼られ、本殿前の賽銭箱のすぐそばには、例の署名用紙と箱が置いてあった。
多くの参拝客はスルー状態であったが、それにしても、初詣のなごやかな雰囲気からすると、完全に“異物”である。
櫻井よしこ氏の改憲ポスター(東京都港区赤坂氷川神社の門)
結局、その後、区をまたいで、都内神社を計10社ハシゴしてみたところ、実に4社の境内で、この“署名ブース”の存在が確認できた。
ネット上でも、全国各地の神社で、署名活動の目撃情報があがっている。
かなり広範囲の運動であることは間違いなさそうだ。
さらに、聞き込みを進めていくにつれ、この署名活動は、組織ぐるみ、全国規模で行っていることが明らかになった。
「署名は神社庁が決めて、神社界全体で、全国的にやっていることです。
すべての神社が神社庁に所属しているわけではないので、署名をしていないところもあるでしょうが。
いつまで続けるのか?
お正月は参拝される方が多いので、ひとまずの間は、というところですかね」(都内神社職員)
署名用紙をよく見てみると、クレジットには、「東京都神社庁」とある。
これは「神社本庁」の地方機関だ。
神社本庁とは全国約8万社の神社を統括し、〈祭祀の振興と神社の興隆、日本の伝統と文化を守り伝えること〉を目的とする組織(神社本庁HPより)。
実際、また、別のある区の神社職員はこう語ってくれた。
「神社庁のほうで決まったことで、区の神社の会合で話し合ってやることになりまして。
秋には1万人の集会がありましたしね」
この職員がいう、昨秋の「1万人の集会」というのは、
11月10日に日本武道館で開かれ、本サイトでもその模様をレポートした「今こそ憲法改正を!1万人大会」という“改憲大集会”のことを指すと推察される。
同大会の会場には、大勢の国会議員が詰めかけ、安倍首相も改憲への意気込みをビデオメッセージで寄せていた。
大会の主催は、表向きには「美しい日本の憲法をつくる国民の会」なる団体だが、
共同代表として櫻井よしこ氏とともに、田久保忠衛・日本会議会長、三好達・日本会議名誉会長の名が連なるように、中心は日本会議だ。
そして、同会が目指しているのは、1000万人の改憲賛同署名である。
HPには、こうある。
〈憲法改正には国会発議とともに、国民投票で過半数(約3,000万票以上)の賛成が必要となります。
そのため、私たちは今、「美しい日本の憲法をつくる1,000万人賛同者(ネットワーク)」を全国に呼びかけています。
美しい日本を大切な子供たちに伝えていくため、どうか皆さんご協力ください。〉
ようするに、初詣でみかけた境内の署名活動は、日本会議と神社本庁による憲法改正運動のための「1000万人賛同者ネットワーク」の一環だったのだ。
事実、神社で見かけた“櫻井ポスター”には、はっきりと「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の名称が記載されていた。
そして、同会の代表発起人のひとりには、神社本庁総長である田中恆清氏の名前が記されていた。
読者のなかには「どうして神社が?」と疑問に思う人もいるだろう。
だが、神社本庁は、「神道政治連盟」という政治団体を傘下に置き、多数の政治家を支援しているのだ。
その影響力は凄まじく、実際、「週刊朝日」(朝日新聞出版)15年10月23日号によれば、
現安倍内閣の25人中22人が、「神道政治連盟国会議員懇談会」に所属。
とりわけ、その会長を務める安倍首相は、神社本庁と切っても切れない存在なのだ。
しかも、「神道政治連盟」のHPをのぞくと、こんな主張や活動内容がでてくる。
自主憲法の制定、靖国神社での国家儀礼の確立、道徳・宗教教育の推進、東京裁判と侵略戦争の否定、A級戦犯の擁護、夫婦別姓反対、ジェンダーフリー反対、皇室と日本の文化伝統の尊重……。
これだけでも、ゴリゴリの右派団体であることがよくわかるが、神社本庁の機関紙「神社新報」などからその改憲の主張を見ると、彼らの危険性がさらに見えてくる。
そのひとつが「祭政一致」だ。
これは、天皇が親政を行い、政府はそれを輔弼するにとどめるという、大日本帝国憲法で明文化されていたもの。
さらに、神社本庁は、新たな憲法では、軍の「統帥権」をも天皇に帰属させるべきだという主張もしている。
詳しくは本サイトの過去記事をご覧いただきたいが、
天皇の「統帥権」は、戦前日本の軍部がそれを大義名分にすることで、政党政治を抑えて暴走するきっかけを生み出した。
そして、日本の戦争犯罪の数々が“皇軍”の名のもとに正当化されていったことはいうまでもない。
ところが、「神社新報」2008年10月27日付「憲法の基礎となる神道精神を考える」という記事のなかで、
神道政治連盟の田尾憲男・首席政策委員は、憲法改正の目的として、
「統治権の総攬者としての天皇の地位恢復」「表の政治機能と裏のお祭りが一体となって国が治まる」などと、その復活を主張しているのだ。
さらに、この祭政一致とセットで神社本庁が狙っているのが、「国家神道」の復活だ。
国家神道というのは、日本の近代化にともなって推し進められた、神道国教化政策のこと。
この国家神道から、国民には、天皇への絶対的な忠誠が強要され、日本だけが他の国にはない神聖な国のあり方をもっているという「国体」という観念が生まれた。
そして国体は、八紘一宇という思想に発展し、侵略戦争を正当化していった。
しかし、敗戦後の1945年12月、GHQは神道指令を発布。
神道は、民間の一宗教法人とされた。
その後公布された日本国憲法では、第20条の1項と3項で、厳しく政教分離が定められた。
1. 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
3. 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
神道指令とこの日本国憲法により、国家神道は廃止されたわけだが、神社本庁はその復活を目論み、自らの支援する神道政治連盟所属の自民党議員に働きかけてきた。
実際、自民党が、2012年に発表した憲法改正草案では、
天皇の地位を「象徴」から「元首」に改める第1条以外にも、政教分離を定めた第20条の1項と3項が、このように変更されている。
1. 信教の自由は、保障する。
国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。
3. 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教の為の教育その他の宗教的活動をしてはならない。
ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。
現行憲法は、宗教団体が「政治上の権力を行使」することを禁じているが、自民党案20条1項では、その部分を削除している。
つまり、宗教団体が「政治上の権力を行使」することが、可能になるのだ。
また、3項の「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」というのも、
神道にのみ、政治活動への一体化を容認するものだ。
もうお分かりだろう。
安倍政権による改憲は、まさに、祭政一致と国家神道の復活を宿願とする、神社本庁の意向を反映したものなのだ。
そして、神社本庁は今回、この危険極まりない改憲を、何も知らない初詣客に、賛同するよう呼びかけている。
しかも、卑劣なことに、くだんの署名用紙には、上述した祭政一致、国家神道復活の目的などは、一切書かれていない。
それどころか、現在の憲法がどのように変わる可能性があるのか自体、まったく記述がないのである。
「賛同署名のお願い」と題されたそのA4の用紙に書かれているのはこれだけだ。
〈憲法の良い所は守り、相応しくなくなった所は改め、憲法の前文に日本らしさを表現し、美しい国土を守り、家族が心豊かに生活できる社会をつくりましょう。誇りある日本と子供たちの未来のために…〉
日本らしさ、美しい国土、家族が心豊かに……そんな抽象的な美辞麗句を並べ立て、なんとなくポジティヴな印象だけ与えて署名を募っているのだ。
神社本庁が目論む本質はネグられたまま、署名の“数”だけを増やし、その数を既成事実として、改憲の機運を拡大させていくつもりなのだろう。
はたしてこんなことが許されるのか。
改めて言うまでもなく、神社というのは、そのへんの新興宗教団体とはわけがちがう。
初詣、七五三、夏祭り、秋祭りなどは、大衆の生活に根付き、それこそ「社会的儀礼又は習俗的行為」となっている。
そこに、無音で、改憲という最も大きな政治イシューを持ち込み、説明もないまま賛同の署名をさせようとする。
このやり方は、ほとんど詐欺ではないか。
そもそも、神社本庁という宗教法人が、政権と一体化するかたちで、改憲というあきらかな政治運動をしていること自体、憲法20条に反している可能性もある。
本サイトは、改憲を目論むこの極右政治集団の動きを、今後も徹底追及していくつもりだ。
(梶田陽介)
↑以上、転載おわり
■今、神社で何が起こっているのか。
神社本庁=日本会議=安倍政権が進める「神社で改憲」運動の愚!
ぜひみなさまも、近所の神社を確かめてみてください!
という、佐々木隼也さんが書かれた記事が載っていました。
そんなアホな…と、?マークがいっぱい頭の中に生じたまんま読み進めていくうちに、暗澹たる気持ちに…。
↓以下、引用はじめ
初詣客で賑わう全国の神社で今、ある「異変」が起きています。
ある神社では、境内に堂々と、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏の改憲推進ポスターが貼られ、その傍らには、改憲推進署名が置かれているのです。
そんなアホな…。
三が日に、ネット上での目撃情報を目にするにつけ、悪い冗談ではないか、もしくはごくごく一部の血迷った神社だけの暴走ではないか、などと考えていました。
右だ左だリベラルだ、という思想信条など超越して、万人の信仰・自然を司る「神聖」な場所であるはずの神社で、いち政権を利するような政治運動が展開されているなんて…まさか。
ということで、神社本庁が仕事始めとなる1月5日に、港区の飯倉片町にあるIWJ事務所から半径3km圏内の神社を、試しに回ってみました。
すると、明治の軍人・乃木希典を祀った乃木神社と、虎ノ門にある金刀比羅宮で、改憲署名を発見しました。
どちらも、外部の団体が設置したものではなく、神社が自ら大々的に置いているものでした。
さらに驚くべきは、神社本庁に取材してみたところ、
この神社での改憲署名は、櫻井氏が、日本会議や神社本庁と設立した、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲運動に「協力したものだ」と、はっきり、堂々と、言い放ったことです。
同会は、2015年11月10日、「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」を開催。
安倍総理もビデオメッセージを寄せ、
「今後とも、ご尽力をいただきたいと存じます。憲法改正に向けて、ともに着実に歩を進めて参りましょう」などと、露骨に支援を呼びかけています。
つまり、同会の目的は、安倍政権の改憲を支援することなのです。
神社本庁が、極右組織と一体となり、あからさまな安倍政権支援の政治運動を行うなど、許されるのでしょうか?
↑以上、引用おわり
なんてことに…と慌てて検索してみると、きーこさんがご自身の体験を交えて記事を書いてくださっていました。
ここに写真と文章の一部を転載させていただきます。
↓以下、転載はじめ
<神社の政治的活動は許されるのか!>
初詣が悪夢に変わった日~神社の真の姿~
「九条を守ろう。憲法を守ろう」というと、政治的だからと問題にされる。
「憲法改正を推進します」と言って、神社の境内の中で署名のお願いをすることは、政治的問題ではないのか?
お正月の参拝に、数多くの人々が訪れる神社が、そのような政治的活動をしてもいいものなのか?
このような行為は許されることなのかどうか、わたしはすべての人に問いたい。
お正月の初詣に行って来られたきーこさん。
お祓いの申し込みをして、待機場所に行く途中に見たものは…。
憲法の内容を見直しましょう
賛同署名のお願い
美しい日本を子供たちへ
そしてどんな内容の署名なのか、チラシに書いてあることを読んでみたきーこさん。
美しい日本を子供たちへ
国民の手で作ろう、美しい日本の憲法
あなたのご協力で、憲法改正を実現する1000万賛同者の輪を!
世界に躍進する日本を創造するため、今や憲法改正は現実の課題です。
悠久の歴史に育まれた美しい伝統や文化、そして世界の平和と繁栄に貢献する日本の使命、それらを盛り込んだ憲法が、今こそ求められています。
憲法改正には国会発議とともに、国民投票で過半数(30000万票以上)の賛成が必要となります。
そのため、私どもは今「美しい日本の憲法を作る1000万人の賛同者」を全国に呼びかけています。
美しい日本を大切な子供たちに伝えていくため、どうか皆さんご協力ください。
きーこさんが参拝された神社は、東京都杉並区の大宮八幡宮。
東京のへそで縁結び・子育てで有名な神社で、最近では「20㎝ぐらいのおじさんの妖精が出る」ということで、パワースポットとしても有名になっているのだそうです。
櫻井よしこ氏については、ここにも何度か書いてきました。
彼女が広告塔となって盛んに訴えていることのほとんどに、わたしは賛成することができません。
きーこさんも書いておられるようなので、紹介させていただきます。
櫻井よしこの意見広告「もんじゅ」稼働は政府が決めろ~名前を連ねる人そして外れる人々
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4482.html
横尾忠則氏が抗議した。櫻井よしこ氏の「原発推進意見広告」
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1074.html
原発大賛成。
もんじゅは動かせ。
安保法制大賛成。
憲法を改正して国防軍を持とう!
等々…あの石原慎太郎と仲良しの女史なのだ。
そして…きーこさんはこの記事を書いた後、神社に行って驚いた人がたくさんいたことを知りました。
東京都港区 乃木神社入り口
東京都港区赤坂 氷川神社<櫻井よしこ氏の改憲ポスター>・神社の門に
櫻井よしこ氏の改憲ポスターが神社の門に。
淡路島 伊弉諾神宮
神社の入口に山谷えり子の看板。拝殿前に「憲法改正」の旗が幾つも。
京都 上賀茂神社
札幌 北海道神宮の本殿の前
この、全国各地の神社で起きている改憲署名運動について、IWJの佐々木隼也さん、リテラの梶田陽介さんが、記事を書いてくださいました。
↓以下、転載はじめ
【IWJブログ】
境内に櫻井よしこ氏の改憲ポスターが!
全国各地の神社で起きている「異変」
日本会議・神社本庁・安倍政権が一体となって「政教分離」を定めた憲法に違反する、改憲署名を推進!
【IWJ Independent Web Journal】2016年1月6日
http://iwj.co.jp/wj/member/archives/43292
▪️特設テントを設置して大々的に署名募集を行う乃木神社
一方で、署名を設置しない社、設置した事実を否定する社も…
東京都港区の乃木神社では、入口の売店すぐ横に特設テントが張られ、大々的に改憲署名を募っていた。
▲乃木神社の特設テント
改憲署名の設置の仕方は、神社によって様々で、同じ港区でも、虎ノ門にある金刀比羅宮では、櫻井氏のポスターの下に、「署名は社務所にて受付」と書かれているのみだった。
▲金刀比羅宮に貼られた改憲ポスター(右)
また、「港七福神宝船のお社」として有名な麻布十番稲荷神社や、「江戸氷川七社の一つ」麻布氷川神社、西久保八幡神社などは、櫻井氏のポスターも、改憲署名も設置していなかった。
11月下旬に、ネット上で、「賽銭箱の上に署名が設置されている」との目撃情報があった愛宕神社については、
敷地のどこを探しても、ポスターや署名は確認できなかった。
宮司に、署名は撤去されたのかを聞くと、「うちの社ではやっていない」と否定した。
しかし、後に電話で問い合わせると、別の担当者は、「署名はやっていたが、正月に入る前に撤去した」と回答。
「設置した経緯や設置期間を、お答えするつもりはありません」と、強い口調で電話を切られた。
神社によって設置している社としていない社があり、また設置期間や設置方法もばらばらで、愛宕神社のように、設置していた事実を否定する不可解な反応もあった。
ぜひ、本稿をご覧の方も、近所の神社で設置の有無を確認し、直接問い合わせてみていただきたい。
いずれにせよ、外部の団体ではなく、各神社が主体的に設置し、署名運動を展開していることが分かる。
▪️日本会議と「一心同体」となって改憲運動を進めていることを堂々明言した神社本庁
署名用紙には、「東京都神社庁」の文字が記載されていた。
神社庁とは、全国の神社の多くを包括する、神社本庁の地方機関である。
東京都神社庁のHPを見ると、「憲法改正を推進します」というバナーが貼られ、「憲法改正運動を推進する宣言」が掲載されている。
・東京都神社庁HP「憲法改正運動を推進する宣言」
憲法改正運動を推進する宣言
※東京都神社関係者大会(平成27年11月14日於明治神宮会館)で採択した宣言です。
日本国憲法は、昭和21年、敗戦後、占額下で制定されたものである。
我が国民は一致協力の下に、戦後の復興と経済の発展を成し遂げ、現在国際社会において大きな信頼を得る国へと発展させた。
しかし、憲法が制定されて以来69年を経た今日、国を取り巻く国際環境は激変している。
現在の憲法が将来に亘って自国の繁栄と安全を確保し、以て国際社会の発展に寄与する内容のものであるのかを見つめ直すことが必要と思われるに至った。
このような中にあって、国民の声により「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、昨年10月に神社本庁参画のもと設立された。
東京都神社庁においても「美しい日本の憲法をつくる東京都民の会」を主体として、憲法改正論の喚起と、憲法改正を実現する1000万人賛同者拡大運動を展開することとなった。
この秋(とき)にあたり、神社界では積年の課題である、現憲法の制定時に失われた日本国としての普遍的な意志と、建国以来守り受け継いで来た伝統精神を憲法に取り戻し、
「誇りある日本をめざして」との信念のもと、憲法改正の運動に取り組むこととなった。
東京都神社総代会としても、国の根幹である憲法に、正しい国民精神が涵養される麗しい日本の国柄が、活かされることを強く希望するものである。
よって本日、東京都神社関係者大会にあたり、東京都神社総代会は東京都神社庁と共に、憲法改正の本運動推進に取り組むことを総意として採択し、茲に宣言するものである。
平成27年10月14日
東京都神社総代会
東京都神社庁は誇りある日本を目指して、憲法改正を推進します。
東京都神社庁
なぜ神社が、しかも、安倍政権が憲法改正に着手しようとしている2016年の今、あからさまにそれを支援するような政治運動を展開しているのか。
IWJは、神社本庁に取材を行った。
神社での改憲署名設置は、神社本庁が主導しているのか、という質問に、担当者は「そのような狭い活動ではない」と前置きし、次のように続けた。
「『美しい日本の憲法をつくる国民の会』さんが、1000万人の(改憲推進の)拡大運動を進めており、神社本庁をはじめ、東京都神社庁も、会の活動に協力をしている。
全国の神社での署名運動は、その一貫で行っている。
この署名用紙も、国民の会が作っているものです」
「美しい日本の憲法をつくる国民の会」とは、櫻井よしこ氏や日本会議(※)会長の田久保忠衛・杏林大学名誉教授、日本会議名誉会長の三好達・元最高裁判所長官が共同代表を務め、
事務局長を日本会議事務局長の椛島有三氏が務めるなど、実質的には日本会議主導の団体だ。
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(※)日本会議とは、日本最大の右翼組織と知られ、国会議員の4割(約280人/717人)、さらに現閣僚の半数以上が所属している。
「愛国者教育」「改憲」「有事法制整備」など、今の安倍政権が進めている政策のほとんどを提言。
海外メディアからも、安倍政権の極右政策、歴史修正主義の「黒幕」として注目を集めている。
・2015/11/12 「ついに野心むき出しに! 『偽装愛国集団』日本会議と安倍政権がいよいよ憲法破壊に向けて宣戦布告! 『自民党改憲阻止』こそ野党連合の大義名分ではないのか!?
・【IWJブログ】「法的安定性は関係ない」発言の礒崎総理補佐官、言い訳にならない言い訳の裏に日本会議の思惑?
・2015/07/16 安保法制「予定通り」の衆院突破 小林節氏が岩上安身のインタビューで「共産党を入れた野党連立」を提言!自民党を牛耳る日本会議は「おかしな人たち」
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そして、同会の代表発起人には、神社本庁総長である田中恆清(たなかつねきよ)氏が名を連ね、
神社本庁を母体とする政治団体「神道政治連盟」の幹事長である打田文博氏が、事務総長を務めている。
そして同会は、2015年11月10日、「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」を開催。
超党派の「改憲派」国会議員が出席し、安倍総理もビデオメッセージを寄せ、
「『21世紀にふさわしい憲法を自らの手で作り上げる』その精神を日本全体に広めていくために、今後とも、ご尽力をいただきたいと存じます。
憲法改正に向けてともに着実に歩を進めて参りましょう」などと、露骨に支援を呼びかけている。
2015/11/10 今こそ憲法改正を!武道館一万人大会(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/274494
つまり、日本会議と神社本庁が「一心同体」(※)となって、安倍政権の憲法改正を堂々と支援しているのだ。
「狭い考え」ではない、という言葉は、「広く、深く、改憲運動に神社本庁は関わっている」という意味だったのだろうか。
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(※)日本会議の「役員名簿」を見ると、先述の田中恆清・神社本庁総長が「副会長」を務め、
他にも神社本庁や神道政治連盟の幹部、宮司が数多く「顧問」や「代表委員」に名を連ねており、
かねてから日本会議と神社本庁は「一心同体であった」と言える。
・日本会議「役員名簿」
http://www.nipponkaigi.org/about/yakuin
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▪️神社本庁による日本国憲法へのあからさまな挑戦、信仰心の悪用は「宗教の面汚し」
神社本庁が、極右組織と一体となり、あからさまな安倍政権支援の政治運動を行うなど、許されるのだろうか。
憲法第20条・89条の「政教分離」に抵触するのではないか。
そもそも、日本国憲法におけるこの条項は、戦前、国民(当時は臣民)を天皇制国家に従属させ、
戦争に駆り立ててゆく洗脳装置として機能する、国家神道を復活させないための条項だったはずである。
そうした忌まわしい過去をもつ神社界が、公然と改憲の運動に加担している。
これは、現行憲法に対する挑戦以外の何ものでもないだろう。
安倍政権の憲法改正に強く警鐘を鳴らしている、弁護士の猪野亨(いのとおる)氏は、IWJの電話取材に応じ、
「神社本庁が目指しているのは、天皇を中心とした統治体制への『王政復古』だ」と、厳しく指摘した。
「政教分離が日本で規定された一番の歴史的背景は、
大日本帝国が、神道を『国家神道』として国教化し、それが軍国主義と結びついて日本を破滅させた、という反省です。
今回の署名設置は、そもそも政教分離が何のためにできたのかという、憲法の根本趣旨からすると大問題。
世俗的な団体であるという信頼を悪用し、騙すようなかたちで本性を現したという意味でも、宗教の面汚しとも言われかねない事態です」
▪️神社本庁の方針に疑問を抱く神職も? 極右的な神社本庁の広報紙、その驚きの中身とは
書籍『前夜』の共著者であり、憲法問題に詳しい澤藤統一郎弁護士も、IWJの取材に応え、
「今回の署名設置は、本来の信仰とは何の関わりのないことをするという意味で、自殺行為だと思います」と批判。
そのうえで、神社本庁の広報紙「神社新報」11月23日号に掲載された、驚くべき「論説」を紹介した。
ここから会員限定(なのですが、ちょっと内緒でもう少し)
みなさんもぜひぜひ会員になられることをお勧めします!素晴らしい記事がてんこ盛り!手続きはこちらから→https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
「一万人大会を終へ 一千万署名と参院選に集中を」と題するこの記事では冒頭、
先述の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」主催の一万人大会について触れたうえで、
「今後なほ一千万の賛同署名の達成と、国会議員署名及び地方議会決議の獲得を目指して邁進していかねばならない」(※)などと書かれている。
神社新報記事
(※)神社新報の記事はすべて歴史的仮名遣いで書かれている。
さらには、
「自由民主党は立党六十年を迎へた。
(略)立党以来、変はらぬ党是としてきた『現行憲法の自主的改正』を再確認し、
安倍晋三総裁のもとで、必ず、憲法改正を実現することの決意表明を、ぜひともおこなってもらひたい」などと主張。
そのうえで、
「来年夏の参議院議員選挙が、改憲の大きな勝負時となってくるであらう。
(略)参議院で改憲派が三分の二の議席を確保できれば、いよいよ国民投票に持ちこめる」と意気込みをみせる。
そして、注目すべきは論説の最後だ。
そこにはこう書かれている。
「神社界の中には未だ、なぜ神職が憲法改正の署名活動までやらなければならないのか、といった疑問を抱く人もゐると聞く。
しかし、もしも神職が宮守りだけを務め、国の大本を正す活動に従事しなかったら、この国は一体どうなるのか。
心して考へてみなければなるまい。
我々自身の熱意と活動努力によって、憲法改正はぜひとも実現しなければならないのである」
全国各地の神社が初詣客を狙って改憲の署名集め!
日本会議・神社本庁が指令、戦前復活の目的を隠す卑劣な手口
2016.01.05 リテラ
http://lite-ra.com/2016/01/post-1863.html
お正月といえば初詣。
今年も神社へお参りして、一年の安寧や健康を祈った人も多いだろう。
おみくじを引いたり、絵馬に願い事を書き込んだりした人もいるはずだ。
最近は神社好きの女子、神社ガールなども登場して、若者人気も高まっている。
だが、そんな善男善女で賑わう場所で、今、不穏な動きが表面化している。
それは、“憲法改正に賛同する署名活動”だ。
これが、なんと、神社の境内で行われているのである。
しかも、怪しげな市民団体が勝手にやっているという話ではない。
驚くことに、その主体は神社そのもので、参拝客をターゲットに、署名を集める“政治運動”を展開していたのだ。
まず、筆者が出かけたのは、東京港区の乃木神社。
明治天皇崩御に際し、殉死した乃木希典将軍を祀ったこの神社は、参拝客でごったがえしていたが、
入り口に足を踏み入れると、たちまち、「誇りある日本をめざして」「憲法は私たちのもの」などと書かれた、奇妙なのぼり旗が目に飛び込む。
さらに、その付近に設置されたテントでは、額縁に入った櫻井よしこ氏のポスターが鎮座!
「国民の手でつくろう美しい日本の憲法」
「ただいま、1000万人賛同者を募集しています。ご協力下さい」なる文言とともに微笑む櫻井氏に、新年からめまいを覚えたが、
そこには、A4の署名用紙と箱が置かれていた。
神社に設置された改憲署名ブースの例(東京都港区乃木神社の入り口)
職員に聞いてみると、この署名活動は、何も乃木神社のみで行われているわけではないという。
実際、乃木神社の近くにある赤坂氷川神社にも行ってみたのだが、
やはり、門には櫻井氏のポスターが貼られ、本殿前の賽銭箱のすぐそばには、例の署名用紙と箱が置いてあった。
多くの参拝客はスルー状態であったが、それにしても、初詣のなごやかな雰囲気からすると、完全に“異物”である。
櫻井よしこ氏の改憲ポスター(東京都港区赤坂氷川神社の門)
結局、その後、区をまたいで、都内神社を計10社ハシゴしてみたところ、実に4社の境内で、この“署名ブース”の存在が確認できた。
ネット上でも、全国各地の神社で、署名活動の目撃情報があがっている。
かなり広範囲の運動であることは間違いなさそうだ。
さらに、聞き込みを進めていくにつれ、この署名活動は、組織ぐるみ、全国規模で行っていることが明らかになった。
「署名は神社庁が決めて、神社界全体で、全国的にやっていることです。
すべての神社が神社庁に所属しているわけではないので、署名をしていないところもあるでしょうが。
いつまで続けるのか?
お正月は参拝される方が多いので、ひとまずの間は、というところですかね」(都内神社職員)
署名用紙をよく見てみると、クレジットには、「東京都神社庁」とある。
これは「神社本庁」の地方機関だ。
神社本庁とは全国約8万社の神社を統括し、〈祭祀の振興と神社の興隆、日本の伝統と文化を守り伝えること〉を目的とする組織(神社本庁HPより)。
実際、また、別のある区の神社職員はこう語ってくれた。
「神社庁のほうで決まったことで、区の神社の会合で話し合ってやることになりまして。
秋には1万人の集会がありましたしね」
この職員がいう、昨秋の「1万人の集会」というのは、
11月10日に日本武道館で開かれ、本サイトでもその模様をレポートした「今こそ憲法改正を!1万人大会」という“改憲大集会”のことを指すと推察される。
同大会の会場には、大勢の国会議員が詰めかけ、安倍首相も改憲への意気込みをビデオメッセージで寄せていた。
大会の主催は、表向きには「美しい日本の憲法をつくる国民の会」なる団体だが、
共同代表として櫻井よしこ氏とともに、田久保忠衛・日本会議会長、三好達・日本会議名誉会長の名が連なるように、中心は日本会議だ。
そして、同会が目指しているのは、1000万人の改憲賛同署名である。
HPには、こうある。
〈憲法改正には国会発議とともに、国民投票で過半数(約3,000万票以上)の賛成が必要となります。
そのため、私たちは今、「美しい日本の憲法をつくる1,000万人賛同者(ネットワーク)」を全国に呼びかけています。
美しい日本を大切な子供たちに伝えていくため、どうか皆さんご協力ください。〉
ようするに、初詣でみかけた境内の署名活動は、日本会議と神社本庁による憲法改正運動のための「1000万人賛同者ネットワーク」の一環だったのだ。
事実、神社で見かけた“櫻井ポスター”には、はっきりと「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の名称が記載されていた。
そして、同会の代表発起人のひとりには、神社本庁総長である田中恆清氏の名前が記されていた。
読者のなかには「どうして神社が?」と疑問に思う人もいるだろう。
だが、神社本庁は、「神道政治連盟」という政治団体を傘下に置き、多数の政治家を支援しているのだ。
その影響力は凄まじく、実際、「週刊朝日」(朝日新聞出版)15年10月23日号によれば、
現安倍内閣の25人中22人が、「神道政治連盟国会議員懇談会」に所属。
とりわけ、その会長を務める安倍首相は、神社本庁と切っても切れない存在なのだ。
しかも、「神道政治連盟」のHPをのぞくと、こんな主張や活動内容がでてくる。
自主憲法の制定、靖国神社での国家儀礼の確立、道徳・宗教教育の推進、東京裁判と侵略戦争の否定、A級戦犯の擁護、夫婦別姓反対、ジェンダーフリー反対、皇室と日本の文化伝統の尊重……。
これだけでも、ゴリゴリの右派団体であることがよくわかるが、神社本庁の機関紙「神社新報」などからその改憲の主張を見ると、彼らの危険性がさらに見えてくる。
そのひとつが「祭政一致」だ。
これは、天皇が親政を行い、政府はそれを輔弼するにとどめるという、大日本帝国憲法で明文化されていたもの。
さらに、神社本庁は、新たな憲法では、軍の「統帥権」をも天皇に帰属させるべきだという主張もしている。
詳しくは本サイトの過去記事をご覧いただきたいが、
天皇の「統帥権」は、戦前日本の軍部がそれを大義名分にすることで、政党政治を抑えて暴走するきっかけを生み出した。
そして、日本の戦争犯罪の数々が“皇軍”の名のもとに正当化されていったことはいうまでもない。
ところが、「神社新報」2008年10月27日付「憲法の基礎となる神道精神を考える」という記事のなかで、
神道政治連盟の田尾憲男・首席政策委員は、憲法改正の目的として、
「統治権の総攬者としての天皇の地位恢復」「表の政治機能と裏のお祭りが一体となって国が治まる」などと、その復活を主張しているのだ。
さらに、この祭政一致とセットで神社本庁が狙っているのが、「国家神道」の復活だ。
国家神道というのは、日本の近代化にともなって推し進められた、神道国教化政策のこと。
この国家神道から、国民には、天皇への絶対的な忠誠が強要され、日本だけが他の国にはない神聖な国のあり方をもっているという「国体」という観念が生まれた。
そして国体は、八紘一宇という思想に発展し、侵略戦争を正当化していった。
しかし、敗戦後の1945年12月、GHQは神道指令を発布。
神道は、民間の一宗教法人とされた。
その後公布された日本国憲法では、第20条の1項と3項で、厳しく政教分離が定められた。
1. 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
3. 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
神道指令とこの日本国憲法により、国家神道は廃止されたわけだが、神社本庁はその復活を目論み、自らの支援する神道政治連盟所属の自民党議員に働きかけてきた。
実際、自民党が、2012年に発表した憲法改正草案では、
天皇の地位を「象徴」から「元首」に改める第1条以外にも、政教分離を定めた第20条の1項と3項が、このように変更されている。
1. 信教の自由は、保障する。
国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。
3. 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教の為の教育その他の宗教的活動をしてはならない。
ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。
現行憲法は、宗教団体が「政治上の権力を行使」することを禁じているが、自民党案20条1項では、その部分を削除している。
つまり、宗教団体が「政治上の権力を行使」することが、可能になるのだ。
また、3項の「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」というのも、
神道にのみ、政治活動への一体化を容認するものだ。
もうお分かりだろう。
安倍政権による改憲は、まさに、祭政一致と国家神道の復活を宿願とする、神社本庁の意向を反映したものなのだ。
そして、神社本庁は今回、この危険極まりない改憲を、何も知らない初詣客に、賛同するよう呼びかけている。
しかも、卑劣なことに、くだんの署名用紙には、上述した祭政一致、国家神道復活の目的などは、一切書かれていない。
それどころか、現在の憲法がどのように変わる可能性があるのか自体、まったく記述がないのである。
「賛同署名のお願い」と題されたそのA4の用紙に書かれているのはこれだけだ。
〈憲法の良い所は守り、相応しくなくなった所は改め、憲法の前文に日本らしさを表現し、美しい国土を守り、家族が心豊かに生活できる社会をつくりましょう。誇りある日本と子供たちの未来のために…〉
日本らしさ、美しい国土、家族が心豊かに……そんな抽象的な美辞麗句を並べ立て、なんとなくポジティヴな印象だけ与えて署名を募っているのだ。
神社本庁が目論む本質はネグられたまま、署名の“数”だけを増やし、その数を既成事実として、改憲の機運を拡大させていくつもりなのだろう。
はたしてこんなことが許されるのか。
改めて言うまでもなく、神社というのは、そのへんの新興宗教団体とはわけがちがう。
初詣、七五三、夏祭り、秋祭りなどは、大衆の生活に根付き、それこそ「社会的儀礼又は習俗的行為」となっている。
そこに、無音で、改憲という最も大きな政治イシューを持ち込み、説明もないまま賛同の署名をさせようとする。
このやり方は、ほとんど詐欺ではないか。
そもそも、神社本庁という宗教法人が、政権と一体化するかたちで、改憲というあきらかな政治運動をしていること自体、憲法20条に反している可能性もある。
本サイトは、改憲を目論むこの極右政治集団の動きを、今後も徹底追及していくつもりだ。
(梶田陽介)
↑以上、転載おわり