ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

人生はじめての、我が家でのサロンコンサート

2018年02月26日 | 音楽とわたし
ずっとずっと念願だった、我が家でのコンサートパーティ。
それがやっと叶った。
やりたいやりたいと思いながら、いざとなると怖気づいてしまって、音楽仲間が開くコンサートパーティに出かけては、やっぱまだ無理かもなあ…なんて思ってため息ついてばかりだった。

でも今回、カーネギーでの本番までに、何度も人前で演奏したいというエリオットの考えに渋々(苦笑)賛成して、あっちこっちのお家で演奏させてもらってたら、
じゃあもう、うちでもやらんとあかんやろ、みたいな勢いがついて、自分の背中をドンと押してみた。

本番に向けてしっかり仕上げるというのが習慣になっているわたしにとって、本番までにまだまだ間があって、仕上がってもいないのに人前で弾いちゃうというのは、かなり抵抗があったのだけど、
結局は、しっかり仕上がっていないにしても、人前で弾くからにはそれ相応の演奏をしなければならないわけで、だから練習のピッチがその分上がる。
何より、緊張に負けてミスしまくる自分のトホホっぷりを何度も味わうことになり、起き上がり小法師な毎日を楽しめたりする。

ってなわけで、よっしゃやるぞ!と決めたサロンコンサート。
一体誰に声をかけたら良いのやら…と、はじめっからつまづいたのだけど、やっぱり初回からあまり欲張らないでおこうと思い、
前々からずっと、家でコンサートする時は絶対に呼んでね!と言われてた、庭続きのご近所さん3軒と、夫とわたしの共通の友だち、それから演奏者4人、合計18人でやってみることにした。

初回はとりあえず、全部自分たちで賄おうということで、料理のメニューとかも考えていた。
だけども、パーティが始まった時、ホスト役がすでに疲れているのは絶対にいけないというポリシーを持つ夫は、
わたしがきっと、しなくてもいい所までピカピカに磨いたり、あれもこれもとメニューを考えてはバタバタするだろうからと、作るのは豚汁と赤飯、それから蓮根のきんぴらのみ。
あとは自分が適当に考えて、レストランからテイクアウトするからと言った。

当日は朝から掃除開始。
夫は、わたしが普段見て見ぬ振りをしている部屋の隅っこや天井の蜘蛛の巣を、掃除機でせっせと吸い取り始めた。
掃除機が使えない間にじゃあ何をしようかと見回すと、窓の汚れが気になった。
一瞬、手を出さない方がいいよという心の声が聞こえたんだけど、気がついたらボロ布とゲキ落ち君を手に始めてしまっていた。
1枚だけと思って始めたけど、見た目はあまり汚れていないと思っていた窓も、磨くと透明感が断然違う。
あ〜あ、ほらみろと自分に悪態つきながら、結局リビングとピアノ部屋の窓、それから台所の窓を磨き終わって時間を見たら…、
えぇ〜!!あと1時間半で、今日しかできない合わせ練習をしに、ジェーンがやってくるやんっ!!
焦りまくって掃除機でダダダッと2階と1階を掃き、大鍋の豚汁の野菜を切り始めた時に時計を見ると、もうあと1時間も無いではないか!!
こりゃもう間に合わない、あかん、どうしようもない、シャワーを浴びたいし自分の練習もしたいのに、どないしよう…。
すっかり困り果てているところに、夫が「何か手伝えることあったらするで」と申し出てきてくれた。
本当はその頃には、テイクアウトの料理を頼んであったレストランに取りに行かなければならなかったのだけど、
間際になってバタバタするに違いないと確信していた夫は、歩美ちゃんの息子さんに、その用事アルバイトを頼んであったのだ。
だから家に居て、わたしを助けてくれた。
さすが25年の年月を伊達に過ごしていない。
夫の申し出をありがたく頂戴し、豚肉を切ってごま油で炒めてもらった。

とりあえず豚汁の仕込みは完了し、シャワーを大急ぎで浴び、着替えをしていたらジェーンとミッチがもう到着していた。
二人で弾く連弾の曲の合わせを何回かして、彼女が自分のソロ曲の練習をしている間に、台所のテーブルの上を整えた。

結局、当日になって、みんなが持ってきてくれたフルーツサラダやチーズの持ち合わせ、餃子やピロシキ、ケーキの盛り合わせなどが加わり、テーブルの上は大にぎわい!


よっし、これでもう、食べ物の心配はしなくても良さそうだ。

ぼちぼちと集まってきてくれたみなさん♪


演奏する順番も決めていなかったので、とりあえずそれぞれの希望と曲の雰囲気を考慮しながら、流れが良いプログラムを組んだ。
椅子やソファを、ピアノ部屋の方に向けて並べると、なんだか急に心臓がドキドキしてきた。
思いっきり演奏会やん♪
ジェーンもエリオットも、ちょっとマジ過ぎちゃう?と、心なしかビビってる。


まずはジェーンとわたしのラヴェルの連弾。
そしてジェーンのシューマンのソロ演奏。
彼女のピアノって、いつもとても表情が豊かで、細かい音符の一粒一粒が美しい。

ヴァイオリニストのサラも、飛び入りで演奏してくれた。
伴奏するわたしたち(初見演奏が難しそうだったので、ジェーンが左手、わたしが右手のパートを弾いた)もサラも、思いっきりの初見演奏だったけど、さすがサラ、とても美しい、完璧とも言える演奏だった。
ジェーンとサラの演奏を写真に撮ってくれた人がいなかったので、ここに紹介できないのがすごく残念!

そしてわたしがショパンのノクターン(遺作)を弾き、エリオットと一緒にドヴォルザークの小曲を弾き、最後にカーネギーで演奏する予定のフォーレのソナタを弾いた。





結果はというと、エリオットもわたしも、練習時や過去2回のパーティでの演奏と比べて、最悪のものとなってしまった。
その日はとうとう一度も合わせ練習ができなかったし、わたしはわたしでパーティの準備にかまけてしまい、2日丸々ピアノに向かわなかった。
でも、それでもやっぱりアレは無いよなあ…という演奏をしてしまい、お客さまに申し訳が無いったらない!

ゴゴゴッとドツボにハマりそうだったのだけど、みんなでデザートを食べながら、わいわい楽しく話していたら、あっという間に夜になり、もうこれは絶対にまたやろうね!と約束し合って別れた。

一人になって、なんで突然あんな風になってしまうんだろうと考えると、ヘトヘトに疲れているはずなのに、なかなか寝付けなかった。
翌日の日曜日も、あんなんじゃダメだ、練習せにゃ!と思うのだけど、疲れ過ぎて体が言うことを聞いてくれない。
ドレスリハーサルまであと2週間。
本番まであと4週間。

ついさっき、エリオットとチャットで話した。
お互いの問題点について、そして弱さについて。
今週木曜日、カーネギーホールの近くのリハーサルスタジオでの合わせ練習には、エリオットの最強パートナーとしこちゃんが聞きに来てくれる。
その前日の水曜日には、車を1時間ほど走らせて、日本人催眠療法士ひろこさんの治療を受けに行く。

エリオットが言った。
僕らはきっと強くなれる。互いにもっと良くなれる。
We can do it!!

あと1ヶ月、頑張るぞ!
みんな、来てくれてありがとう!
コメント
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