ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「私の契約相手は国民だ」と言っていた赤木さんの遺書と手記を読んだ、全経産相労働組合副委員長・飯塚盛康さんの思い

2020年03月22日 | 日本とわたし

わたしはまだ、亡くなった赤木さんの手記の全文を読んでいません。
残された遺族の方が公開された遺書と手記の、部分的な言葉をつなぎ合わせながら読みました。
この飯塚さんが書かれた思いを読んで、赤木さんの苦しさ、悲しさ、悔しさ、そして恐れがより一層強く胸に迫ってきて、本当にたまらない気持ちになりました。

この森友疑獄は、安倍首相夫妻の、日頃からの軽率で不謹慎な言動が招いたものです。
おだてられたらすぐに調子に乗って、あちこちの名誉校長や名誉会員になる昭恵夫人は、多分安倍首相にとっては悩みの種だったかもしれません。
けれども、同じく周りにチヤホヤしてくれる人間しか置かない首相本人も、同じ穴の狢です。
野党議員の懸命な調査と追及で、自分が国有財産の私物化に加担したことが明るみになりかけた時に、何を思ってか勢い込んで口走ったこのセリフが全ての発端でした。

『森友学園問題に私や妻が関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める』

安倍夫妻は積極的に関わっていました。
「内閣総理大臣夫人付」の経済産業省官僚・谷査惠子氏が、森友学園前理事長・籠池泰典氏の手紙を受け取った。
その後、財務省へ問い合わせ、その返事を、安倍昭恵夫人に報告した上で、籠池泰典氏にFAXした。
2016年3月15日に、籠池泰典氏が財務省国有財産審理室長・田村嘉啓氏らと面会した時の録音テープの会話の中に、安倍昭恵夫人の名前が出ていた。
財務省近畿財務局に、「安倍晋三記念小学校」設立趣意書とともに、安倍昭恵夫人の支援の根拠として提出した写真(建設予定地で撮影したもの)に、昭恵夫人が籠池夫妻と共ににこやかに写っていた。


検審議決は改ざん当時、理財局長の佐川氏に関し「『指示していない』との本人供述に信用性はない」と指摘。
「文書を改ざんする行為は一般市民感覚からすると、いかなる理由があっても許されない」と批判した。
だったものが、あれよあれよという間に全員不起訴になり、その全員が異例の昇進をしています。
この森友疑獄で安倍夫妻に反省と悔恨を促せなかったから、それが加計疑獄に、そして桜を見る会疑獄へと続いて行ってしまったのだと思います。

では、飯塚さんの許可をいただきましたので、以下↓に紹介させていただきます。

転載はじめ
中央省庁には地方を所管する地方局があり、例えば経済産業省は〇〇経済産業局、国土交通省には〇〇地方整備局、厚生労働省には〇〇厚生局があり、財務省にも〇〇財務局があり、赤木俊夫さんが勤務していた近畿財務局もそのうちの1つです。

基本的に本省は政策立案、地方局はその政策を実行するという役割になっているので、地方局の職員は、補助金の交付決定から補助金額を確定して事業者に支払うなどの実務を担っています。
赤木さんがいた近畿財務局も、国有地払い下げの「実務」を担っていたはずです。

私たち
国家公務員は、補助金や契約など、お金にからむ案件は、会計検査院の受検が一番怖いので、きちんとした書類を揃えるというのは常識です。

赤木さんが文書を改ざんさせられている最中の2017年の4月と6月に、会計検査院の受検が行われていますが、
書類は出すな、文書は保存していないと説明しろと言われたと手記に書いています。

そんな中、
7月に自分以外の人が異動してしまい、関係資料もないと分かった時、自分だけに責任を負わせようとする財務省に対する絶望感と、改ざんしたという罪悪感によって精神を病んだのだろうと思います。

ちなみに、
翌8月には安倍昭恵夫人の秘書だった経産省のノンキャリの谷査恵子氏は、イタリア大使館に一等書記官として赴任しています(怒)。

地方局では総合職、いわゆるキャリアが新規採用されることはなく、全員ノンキャリですが、幹部といわれる局長や部長は、本省からキャリアが送り込まれてきます。

本省からみれば地方局は格下と見られていて、地方局は本省の言うことを聞いておけばいいんだと、本省から送り込まれた幹部のキャリアも思っているので、赤木さんが改ざんに抵抗しても押し切られていく姿は身につまされます。

佐川宣寿局長がなぜ、
文書記録は存在しないと国会で答弁したのか、決裁文書を改ざんしたのか? 
安倍首相が国会で、「妻と自分が関係していたら総理大臣だけでなく、国会議員も辞めますよ」と言ったことが発端だということは、絶対に忘れてはならないことです。

『週刊文春』2020年3月26日号に掲載された赤木さんの遺書と手記を読んでから、ずっと心が沈んでいます。
私自身、関東経済産業局という、赤木さんが働いていた近畿財務局と同じ「管区機関」で働き、ノンキャリの課長補佐という同じ役職だったので、他人事とは思えないからです。

赤木さんがなぜ、改ざんを断ることができなかったのか? 
それは、赤木さんが旧国鉄から採用されたことにあるのではないか、と私は思います。

高校卒業後、当時の国鉄に就職した赤木さんは、国鉄の分割民営化によって、1987年に中国財務局に採用されました。

当時、10万人近い職員が余剰人員とされ、希望者は民間会社や民間鉄道会社や公務員などにあっせんされて就職しましたが、不採用になった人は国鉄清算事業団に行かされました。

財務局に採用された赤木さんは、国鉄清算事業団に行かなくて良かったと喜んだと思います。
そして、赤木さんは、財務局に恩義を感じたのではないでしょうか。
それは畑違いの仕事をしながら、もっと勉強して役に立ちたいと思って、立命館大学法学部の夜間コースに通ったことでも推察されます。

もしかしたら国鉄清算事業団に行ったかもしれない自分を救ってくれた財務局に、恩返しをしようと仕事をしていたに違いありません。
関東経済産業局にも、国鉄や林野庁の就職のあっせんを受けて来た人がいて、同じような思いで仕事をしていた人を私は多く知っています。
ですので、赤木さんも同様だったのではないかと思うのです。

そんな、
恩義のある組織から改ざんを頼まれて、涙を流して抵抗した赤木さんの無念を想像すると、胸が張り裂ける思いです。

財務省は赤木さんを見捨てたのか? 
2017年2月から決裁文書を改竄させられた赤木さんは、7月には異動できると思っていたのに、
関係した人は異動したのに自分は異動できないだけでなく、関係書類まで無くなったことで、精神を病んでしまいます。

なぜ、そんなことができたのか? 
それは、赤木さんが正式な公務員試験を通った人ではない、いわゆる「外様」だったからではないかと思います。
もっとひどい言い方をすれば、国鉄をクビになるところを拾ってやったヤツに全部責任を負わせてしまえと考えたのではないか
財務省、近畿財務局は、赤木さんを見捨てたのです。

赤木さんは、国民のために仕事ができる財務省が好きだったと思いますが、その財務省の官僚は簡単に赤木さんを見捨てて、命まで奪いました

そして、
手記が出た今でも、麻生太郎財務大臣は見捨て続けています

安倍首相は、「改ざんは二度と起きてはいけないこと」と言っていますが、
改ざんは一度たりともやってはいけないことです。
そしてその一回をやったのも、安倍首相が国会で、
「森友学園の国有地の払い下げに妻か自分が関係していたら、総理大臣だけでなく国会議員も辞める」と言ったからです。
あの時、安倍首相が辞めていれば、赤木さんが自ら命を絶つこともなかったのです。
人の命を奪ってまで首相の座にしがみつくことを許し続けている国は、およそまともな民主主義国とは言えません。

今からでも遅くないので、安倍首相は、首相も国会議員も辞めて、昭恵夫人と一緒に赤木さんの墓前で謝ってもらいたい。

佐川理財局長が命令し、美並近畿財務局長が承諾し、黒川次官が不起訴にした
佐川氏は国税庁長官、美並氏は東京国税長、黒川氏は検事長
そして赤木さんは命を奪われた
赤木さんの命を奪っておいて、安倍首相も昭恵夫人も佐川氏も黒川氏らものうのうと暮らしています。
昭恵夫人は、赤木さんが命を奪われた日に、銀座でパーティーに参加していました。
この夫婦に人の血は流れているのでしょうか?

安倍政権が続く限り、まじめに働く多くのノンキャリは、いつ第2の赤木さんになってもおかしくありません。

国家公務員は、赤木さんの言う
「私の契約相手は国民だ」という言葉を、胸に刻んで仕事をしてください。

各省庁にある労働組合は、赤木さんのような人の駆け込み寺になって、職員に違法、不当な仕事をさせないと宣言してください。

(全経済産業省労働組合副委員長・飯塚盛康)
コメント
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