わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸は総合芸術である 5(燃焼の科学2)

2009-10-03 20:36:46 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
前回に、引き続き、陶芸の科学的要素(燃焼の科学)の、話を進めます。

 ① 燃焼

  a) 目標温度まで、温度を上げる。温度上昇しない(停滞)原因の続です。

   ニ) 窯の大きさに対して、作品の量が少ない場合と、多い場合では、当然温度上昇に差が出ます。

   ・ 作品の量が少ない(棚板の使用枚数が少ない)と、ある温度までは、温度上昇は、速いです。

     しかし、もう少しで、目標温度と言う段階で、急に温度上昇が、停滞する場合が有ります。

     作品の量が少ない為、蓄熱(熱を貯めて置く事)の効果が、少ない為、熱がどんどん、

     煙突から、逃げて行くからだと、思われます。

     次回の窯焚きの際、窯道具の支柱や、割れた棚板などを、窯の中の空きスペースに入れ、

     蓄熱効果を増せば、温度が停滞するのを、防ぐ事が出来ます。    

   ・ 作品の量が多いと、「ゆっくりと」温度上昇します。速度は遅いが、確実に上昇します。

     但し、多過ぎる場合には、焼きむら、即ち、窯の中の温度差が、大きくなり、

     良く焼けた所と、焼けない所が、出易いです。

    それ故、温度が低く成り易い場所は、作品の間隔を開けて、熱の道を、作ります。

 b) 次に、焼成で大切な事は、酸化焼成か、還元焼成かを決める事です。(点火前に決める)

    同じ釉でも、酸化と還元では、焼成後の色が、違います。

  ) 還元の場合、何度で、還元焼成に入るかを、決めます。

    1230~1250℃で焼成する場合、950度前後から、還元操作をすると良いと

    書かれた本が多いですが、私の経験では、900℃程度で、還元操作を行います。

    理由は、酸化から還元へと移る際、窯の中の雰囲気は、還元操作をしたからと言いて、

    急に還元にならず、若干時間差(10分~20分程度)が出ると、思われます。

    それ故、速めに還元操作をした方が、確実に窯の中は、還元雰囲気に成ると、思われます。

  ) 還元が掛かる、タイミングについて

    還元は、釉の原料に含まれる、酸化物から、酸素を奪い取る、化学反応です。

    即ち、地球上に有る物質は、空気中の酸素で、酸化され、酸化物になっています。

    酸化物(釉の原料)は、本来の色(金属の色など)とは、異なる色をしています。

    還元とは、その本来の色を、取り戻す、化学作用で、燃料中の炭素が、釉の原料中の、

    酸素を奪い、炭酸ガス(二酸化炭素)となり、排出されます。

  ・ 還元は、釉の表面が、熱で熔け始まる前が、一番有効と言われています。

    即ち、釉は、表面より熔け、ガラス化します。完全に熔けたガラスは、酸素を通しません。

    この状態で、還元を掛けても、ほとんど効果が望めません。

    又、化学反応は、温度が高い程、活発になります。それ故、ガラス化する直前が一番、還元が

    掛かり易い事に、成ります。

    酸素や、燃料の供給量を調節し、還元の弱、強を決めます。   

  ・ 酸化は、色釉の発色が良く、還元では、所定の色が、出なかったり、変化します。(窯変)

    個人の窯(量産品の窯以外)では、複雑な色に焼き上がる、還元焼成に、人気が有ります。

  ・ 温度上昇は、中性炎の場合が、一番良いと言われています。

    強酸化、強還元では、温度は上がり難いです。

酸化焼成 還元焼成
 
コメント
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