わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

燃焼のメカニズム 3

2010-04-10 21:07:14 | 失敗と対策
燃焼の「メカニズム」の話を、続けます。

2) 温度上昇に伴う土の変化

 ⑦ 1000℃以上に成ると、化学反応が、活発に成り、素地は急激に、収縮し始めます。

   この段階以降の、焼き方を、「攻(せ)め焚き」と言います。

  ・ 効率良く、温度を上昇させるのには、中性焔か、やや還元気味にします。

    強い酸化や、還元では、温度が上昇しません。特に強還元では、温度が下がる事が多いです。

  ・ 焼成中に、窯の温度上昇が、停止又は、下がる場合が、度々有ります。

    この場合、焦って、燃料の供給調整や、空気の調整(煙突の引き等)を、して仕舞い勝ちですが、

    この状態を、辛抱すれば、5~10分程度で、再上昇に転ずる事が多いです。

    それでも再上昇しない場合には、煙突の引きを、調整します。 窯の調整箇所は、2~3有るのが、

    普通ですが、あれこれ、いじり過ぎると、収拾が付かなくなり、原因を特定する事も出来ず、

    次回の参考にもなりません。

   ) 950℃近辺より、酸化、還元焼成の、どちらかの、焼き方をします。

     還元焔は、一酸化炭素(CO)が、5~6%の状態です。

    a) 釉は表面(素地側と反対面)から、ガラス化すると、言われています。表面がガラス化すると、

      内部の釉に、酸素や一酸化炭素の、影響が伝わりません。

      即ち、窯の雰囲気が、還元であっても、ガラスが邪魔して、一酸化炭素は、釉の中の成分に、

      影響を与えられず、還元が、掛からない事があります。

      それ故、酸化や還元焼成は、表面がガラスで覆われない内に、始める必要が有ります。

    b) 1200℃では、ほとんどの、釉の表面は、ガラス化されると、言われています。

      それで、1200℃以上は、酸化焼成するのが、普通です。還元を掛けると、釉中に、炭素分が

      入りこみ、釉が黒ずみます。

    c) 高温に成ると、耐火度の低い土(赤土など)は、軟らかく成ります。

      それ故、タタラ造りの、脚の付いた長皿などや、細い脚の付いた、ワイングラスの様な、

      形状の物は、変形してしまう場合が、有ります。

      長皿などは、下から支えたり、細い脚の場合は、重心が、一方に偏らない様にします。

   ) 「酔い」、「煮え」の発生を防ぐ

    a) 「酔い」とは、「攻め焚き」に移る際に、一酸化炭素(CO)の濃度や、釉が熔ける際の、

      温度上昇が速いと、釉の色が、目的の色と、違ったりする、現象です。

      例えば、本来なら、白地の物が、還元が不十分な為、黄色を帯びたりする、現象です。

    b) 「煮え」とは、長時間焙りをした結果、一部に過焼となり、釉が部分的に、熔け過ぎて、

      「あばた」や「しわ」などが出来、見苦しく、汚くなる現象です。

    ・ 対策としては、釉の珪酸と、アルミナを多くしたり、亜鉛華、マグネシア、石灰などを多くし

      釉薬の粘度を、上げます。場合に拠っては、窯の構造を変える必要が、ある場合が有ります。

  ) 1000℃周辺で、発熱反応が起こります。

以下次回に続きます。 

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