わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

茶道と焼き物 3 (見所2)

2010-04-19 22:09:42 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
茶道と焼き物の、話を続けます。

 3) 茶道具の見所(鑑賞のポイント)

  ③ 釉の見所について

    作品に掛けられた、釉の状態も、見所の重要なポイントです。

   ) 茶陶の釉は、渋い色が多いです。その渋さの中に、落ち着いた幽玄な趣、複雑な色合いや

      優雅な情感を、感じる事が出来ます。渋さを演出する為に、胎土は黒っぽい土が、多いです。

   ) 無地の釉が多く、装飾は無いか、又は限定的です。

      但し、無地の釉の中に、濃淡、玉垂れ、二重掛け、釉の塗り残し(火間)などがあり、

      窯の中で起こる、変化(窯変)などは、景色(けしき)として、尊重されます。

    ・ 景(色)とは、茶道具に表れる、偶然出来た変化を言います。

      偶然は、茶陶を造る段階、釉を掛ける段階、焼成の段階、使用段階(雨漏り、金継ぎ)などで、

      発生します。 焦げ、指跡、火間、掛け外し、火替り(同じ釉が、所により変化している状態)

      など、釉に関る変化の他に、無釉の、備前、信楽、伊賀、南蛮なども、起こります。

      むしろ、無釉の作品の方が、表情が変化に富み、見所も多いです。

      無釉の物は、使用直前に、水を打ち、濡れた肌の美しさを、景色として、その微妙な、

      色の変化を、鑑賞します。これなどは、茶陶独特の、鑑賞方法です。

    ・ 景色の良い部分を、作品の正面にする事が、多いです。

    ・ 模様らしき物が、描かれている場合も、有りますが、何が書かれているのか、判然としない

      物が多いです。見る人によって、如何様にも、解釈できる物です。

   ) 白土を用いた、刷毛目や、片身分け(二色を掛け分ける)、更に、井戸茶碗に於ける、

      高台の梅花皮(かいらぎ)なども、鑑賞ポイントに成ります。

   ) 作る場合でも、当然、鑑賞に堪える、作品で無ければなりません。

      どの様にしたら、良い作品に成るか、苦心のしどころです。

  ④ 手造りならではの、見所

   茶道具は、轆轤でも造りますが、より個性的な、「作行き」の造形美を得る為に、楽茶碗の様に、

   手造りで造る場合も、多いです。

   ) 箆(へら)目や、箆使いは、より強烈敵な個性を、生み出す為に、作品の製作時に、

      付けられます。 備前や、伊賀の花生けや、水指に顕著です。

      又、光悦や、楽の道入(のんこう)の茶碗等にも、付けられています。

 ⑤ 手取り

   前にもお話した様に、重さの感覚も重要です。即ち触覚による見所で、茶を飲む時の

   唇や、舌の触感も、大切な見所と、成ります。

 ⑥ 仕服、箱書きの鑑賞

   焼き物ではありませんが、茶入や、茶碗などを、包み保管する為の、布製の袋(仕服)や、

   茶碗、茶入、茶杓などや、掛け物などを、収める箱に、その名称や、言われなど(伝承)を記し

   署名、捺印した物で、これも、重要な鑑賞ポイントに、成ります。

以下次回に続きます。
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